映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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パンダフルライフ

ワ(パ)ンダフルに生きるには?
パンダが教えてくれる心地よい生き方

2017年、上野動物園でパンダの赤ちゃん、シャンシャンが生まれて以来、パンダブームがヒートアップしています。

2018年には和歌山県アドベンチャーワールドで彩浜(さいひん)が生まれ、驚異的な自然繁殖率を誇る同園のパンダファミリーがクローズアップされました。そして、2020年11月にも人間の年齢にして80歳を超える、お父さんパンダの英明(えいめい)が驚異のがんばりを見せ、赤ちゃんパンダが誕生しましたね。

生まれたばかりの赤ちゃんパンダのかわいらしくて、神秘的なこと。体重はわずか100g程、ほとんど皮膚だけの身体に、徐々に産毛が映え、白黒のパンダ模様が日に日に現れてくるのは本当に不思議です。さらに、2歳くらいまでの子パンダの愛くるしさといったら、もう半端ありません。

2020年12月、残念ながらシャンシャンは中国への返還期限を迎え、来年には日本で見ることができなくなってしまいますが……(涙)

前置きが長くなりましたが、私は大のパンダ好き。パンダの無邪気な姿に本当に癒されます。

本作は2008年に製作された中国・四川省にある成都パンダ繁育研究基地を舞台に、1年にわたりパンダたちの生活を追ったドキュメンタリー映画。かわいいだけじゃないパンダの魅力とパワーを捉えた映像は、鬱屈した現実に生きる人々の心に響くものがあるでしょう。

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【ストーリー】
絶滅の危機にあったパンダを救うために設立された施設には、約60頭のパンダが人工飼育されていました。双子のママになった7歳のチャンジーは、初の子育てに挑戦中。その双子の1人のジーヨーは、自力でお乳を吸えないほど体力がなく、おまけに体毛が灰色で、無事に成長するのか不安視されています。
17歳のヤーヤーは、出産間近の行動を取りますが、なかなか産まれません。その理由は想像妊娠だったと発覚します。
繁殖のために和歌山県南紀白浜アドベンチャーワールドからやって来た4歳の双子、リュウヒンとシュウヒンは、環境の変化やオスとしての本能に目覚めたことから、仲良しだった2頭の絆が断ち切れてしまいます。

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日がな1日、笹を食べたり、仲間と遊んだり、ただぐでっと寝そべっていたり。愛嬌たっぷりの風貌で、マイペースに行動するパンダたちの姿は本当にかわいらしく、目を細めて見入ってしまいます。

あくせくと働く我々人間にとっては、まさに“ワンダフルライフ”を送るパンダたちですが、双子を産んだ母親はどちらか1頭の子供しか育てないとか、繁殖のために年齢別に暮らすパンダたちは生後1年で母と永遠に別れることになっているとか、意外と厳しい生存ルールの中で生きていることが分かります。

さらに、パンダたちはやがて施設を出て、野生の山で暮らさなければなりません。甘い暮らしはいつまでも続かないのですが、それでも、パンダたちの生き方がワンダフルと思えるのはその生活ではなく、パンダ固有の気質からでしょう。

飼育員がエサやりの合図をしても全然集まらなかったり、身の危険さえ心配してしまうほど激しい遊び方をしたり、ぐでっと寝そべりながら授乳したりと、どのパンダも実に悠長で大胆で豪快。突拍子もない行動、それを悪びれもしない無邪気な姿に大笑いさせられます。

どんな生活をもありのまま受け入れる潔さと大らかさが、パンダが人々に癒しを感じさせる理由であり、心地よく生きるための秘訣なのかもしれません。


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