映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

人生に迷えるアラフィフ女性が、映画を通して人生について考える。ネタバレなしの映画レビューサイト。

団塊ボーイズ

冒険は人生のスパイス!
雄大な自然と友情が悩みを吹き飛ばす

思い通りにいかない人生に、諦めと不満を抱えた中年4人組が一念発起、夢と自由を追いかけて突っ走る! 人生を輝かせたいすべての人々へ贈る痛快ロードムービーです。

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【ストーリー】
妻子と閑静な住宅街に住む歯科医のダグ(ティム・アレン)は、刺激のない仕事と父権喪失気味の家庭生活にやりきれなさを感じていました。下水配管工のボビー(マーティン・ローレンス)は家族のために小説家になる夢をあきらめ、実業家のウディ(ジョン・トラヴォルタ)は自己破産した上に妻とは離婚、パソコンオタクのダドリー(ウィリアム・H・メイシー)は恋愛とは無縁で寂しい独身生活を送っていました。

ハーレーダビッドソンを乗り回すバイク仲間の4人は、それぞれの悩みを吹っ切るために、自由気ままな旅に出ます。

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生真面目なダグ、陽気なホビー、豪快なウディ、気弱なダドリー。それぞれの性格ゆえに巻き起こるハプニングの数々がコミカルに描かれます。
4人の俳優たちが役にぴたりとはまっており、とくにこれまでのクセのある役柄の印象を覆すウィリアム・H・メイシーのチャーミングなおとぼけぶりは必見です。

鬱屈した日常から抜け出すオヤジたちの旅路は、ひたすら軽快で爽快。子供のようにはしゃぎ回り、とんでもない大騒動を引き起こすオヤジたちからマジメな人生訓話は期待できなませんが、人生を変えるために立ち上がったカッコいい大人たちの姿に元気と勇気をもらえるはず。

雄大アメリカの大平原を観ているだけでも心が癒されます。旅行や遠出に躊躇してしまうコロナ禍の今、ぜひ観てほしい作品です。


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50歳の再就職1

ピンチの後にはチャンスあり?!
うまくいかない人生からの脱却

プロフィールにも書いた、2020年に激変したこと「その①」は会社を退職したことです。

私はメーカーに勤めているのですが、コロナの影響を受け、売り上げが激減しました。そのため、会社は役職者の減給や一般社員の休業要請の後、ついに希望退職者を募りました。
ただ、1度目の応募者は少数に留まったためか、会社は2度目の希望退職を募りました。これには再就職支援会社のサポートが付いていたため、思い切って応募したのです。

元々数年前から、人間関係や経営者の方針が合わないことから、辞めたかったのですが、年齢的に転職が難しいと思い、がんばってきました。とはいえ、仕事は好きだったものの、本当に肉体的にも精神的にもきつく、限界が来ていた時に起こった予想外の展開!
支援会社の説明では、50代の再就職率は90%以上(正社員とは限らない)でしたが、コロナの状況下で、失業者が増大し、求人倍率も高まるでしょう。そもそも求人募集も減るかもしれません。そんな危険な世界へ踏み出していいのかどうか、本当に悩みました。

実は私は前回の転職活動で、社会の荒波の過酷さを嫌というほど味わいました。派遣社員をしていた2009年、リーマンショックの影響で雇い止めになり、それから次の会社に決まったのは1年7ヶ月後、38歳の時でした。
紹介予定派遣から半年後、正社員として採用が決まり、本当に「奇跡だ」と思いました。だから、最後の会社にしたかったのですが、また無職となり、恐ろしい社会の荒波に飛び込むことになりました。

またまた、なぜかうまくいかない人生――。ただ、このまま心を殺して10数年、単なる“ライスワーク”を続ける状況で人生を過ごしていいものか? そして、おそらく、会社に残っても安泰ではなく、さらにきつい業務となり、また減給や希望退職の募集もあるかもしれません。「出ても地獄、残っても地獄」。どちらへ向かっても苦しいことには変わりはないのです。

ただ、今の状況を嘆いているばかりでは、何の解決にもなりません。この選択をハッピーエンドにするのは、自分の努力と運に違いありません。私はいろいろあった人生で、悪いと思っていた状況にも良所はあり、やがて望む場所へ繋がるという経験を何度もしました。

“強く思えば願いは叶う”というモットーを信じ、とにかく自分の意思を強く持って動き、早くハッピーエンドになる日が来ますように。
その日まで、50歳からの厳しい就活体験を綴っていきたいと思います。

潜水服は蝶の夢を見る

過酷な運命を突きつけられたらどうするか?
絶望を希望に変えて生きる心の力

重度の脳梗塞で倒れ、全身麻痺となったフランス人男性ジャン=ドミニク・ボビーが、清らかな“心”で人生を見つめた渾身の自伝が、2007年に映画化されました。

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【ストーリー】
1996年、43歳のジャン・ドー(マチュー・アマルリック)は、世界的なファッション雑誌『ELLE』の花形編集長として、華麗なキャリアのまっただ中にいました。内縁の妻とは女性問題で破局しましたが、3人の子供たちに恵まれ、愛する恋人もいました。自信と活力に満ち溢れ、欲しいものは何でも手に入れ、思いのままに人生を歩んできたようなジャン・ドーが、ある日突然、左目以外の体の機能を失い、自由を奪われてしまいます。
病院で目覚めたジャン・ドーは、意識は正常なのに体が動かないために、感情や意思がまったく伝えられなくなっていました。ロックトシンドローム(閉じ込め症候群)という希少な後遺症で、有効な治療法がないなか、まず必要だったのは、ジャン・ドーが意思を伝えられる手段を作ることでした。

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「人生一寸先は闇」。何が起こるか誰にも予測不可能ですが、ジャン・ドーの身に起きた出来事はあまりにも過酷です。励まし、支えてくれる周囲の人々や、自分の意思とは無関係に進む病院での日々に苛立ちや虚しさを募らせても、それを伝える術はありません。「化け物のようだ」と自嘲した、変わり果てた体で生きる苦痛と苦悩をたった一人で抱えていく人生。そんな底なしの絶望から抜け出すジャン・ドーの心の軌跡が描かれます。

ジャン・ドーに再び生きる希望を与えたのは、過去の記憶と夢を見られる想像力、そしてかけがえのない家族や友人の温かい心でした。日々の生活のなか、人は目に見える物質や機能を求めるあまりに、いつもそばにある心を見失いがちになります。
でも、心の持ちようで人生は輝くことを、心の中だけで生き抜いたジャン・ドーは教えてくれます。

ジャン・ドーとの会話は、一人がアルファベットを読み上げ、ジャン・ドーが、言いたい言葉の一文字ずつ左目のまばたきで合図し、文章化するという方法で行われました。1997年に出版された原作は、そんな途方もない労力と忍耐を要して書かれたことで話題を呼びました。ボービーは本の出版の2日後に亡くなられたそうです。

しかし、彼は決して特別な人ではないでしょう。絶望を希望に変える、逞しく、豊かな心の力は、きっと誰にも備わっているはずです。

重い題材ですが、まるで夢物語のような、優美で繊細な映像世界の中で、生きる素晴らしさをしっかりと伝えてくれます。


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小さな命が呼ぶとき

難病の我が子を持つ父親が起こした奇跡
どんな困難でも克服できると信じさせてくれる希望の物語

治療薬がなく、いずれ死に至る難病の子供2人を持つ父親が治療薬開発の先頭に立つ――。
我が子を思う父親の凄まじい執念が不可能を可能にした奇跡の実話を映画化です。

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【ストーリー】
ジョン・クラウリー(ブレンダン・フレイザー)は妻アイリーンや3人の子供たちと仲睦まじく暮らしていますが、8歳の長女メーガンと6歳の次男パトリックは生まれつきポンぺ病を患っていました。
ポンぺ病とは、徐々に全身の筋肉が動かなくなる不治の病で、2人の子供たちはすでに自力歩行が出来ない状態でした。平均寿命は9年で、メーガンは何度も呼吸停止の危機に見舞われます。
有効な治療薬が無い中、ジョンはインターネットで見つけたポンぺ病研究の第一人者、ストーンヒル博士(ハリソン・フォード)に会いに行きます。博士は「残された時間を子供と過ごすよう」助言しますが、そこにはポンぺ病研究が医療界で冷遇視されている事情がありました。
ポンぺ病は希少性のために治療薬には利益が見込めず、開発に投資する企業はなかったのです。ジョンは実験費50万ドルを用意すると約束し、孤高の博士に最後の希望を託します。
もちろん、一介のビジネスマンのジョンに50万ドルを用意する力はありませんでしたが、知人たちと共にポンぺ病財団を設立し、なんとか9万ドルの寄付を集めます。すると博士はバイオ・テクノロジーベンチャー企業を共同で設立しようと提案します。

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我が子のために一心不乱に突き進むジョン、難病にもめげず強く逞しく生きるメーガンなど、クラウリー家の面々は実に人間的で魅力的です。

物語の中心になるのは、難病と闘う子供のいたいけな姿ではなく、彼らを救おうとする大人たちの前向きな姿。死ぬまでの過程を描く難病ものの定番とは一線を画し、生きるための挑戦を描く本作には勢いと明るさがあり、物語は弾むように進んでいきます。

個人が大企業を動かし、偉業を成し遂げる過程が実にリアルに描かれ、見応えたっぷり。さまざまな困難を乗り越えて行くジョンの行動力には驚くばかりですが、この物語が素晴らしいのは、ジョンの熱意を科学者や事業家が利害を超えて支えたことにあります。

不可能なことなど何もない、と信じさせてくれる希望に満ちた物語です。


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ライオン 25年目のただいま

日本にいてはわからない世界の現実に驚愕
グーグルアースが生みだした奇跡の実話

25年もの間、迷子だった男性が、グーグルアースで故郷を見つけ、家族に再会します。

2012年、今や日常生活に不可欠となった便利なツール、グーグルアースが起こした奇跡として、大きな話題を呼んだ実話ですが、この感動の実話が生まれるまでの過程に心底驚かされます。

そして、数奇な人生をたどったインド人男性サルーの幸せを願わずにはいられません。

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【ストーリー】
1986年、インドのとある町で、母と4人の兄妹と暮らしていた5歳のサルーは、列車で夜の仕事へ向かう兄に着いていきます。ところが、兄のいない間に乗り込んだ回送列車が走り出してしまいます。

数晩走り続けた列車から降りた駅は、インドならではの混雑ぶりで、幼いサルーを気に留める人もいません。サルーは自分の住所はおろか、母の名前、自分の苗字さえもわからず、家に帰る術がまったくありませんでした。

ホームレスの子どもに混ざったり、子どもの売買をする大人たちに狙われたり、インドの過酷な現実が5歳の子どもに容赦なく襲いかかります。警察に保護され、送られた施設で、オーストラリアに住む夫婦から「サルーを養子にしたい」という申し出があります。

オーストラリアへ渡ったサルーは、理解ある養父母に愛情いっぱいに育てられ、大学にも通い、何不自由ない生活を送っていました。ところが、インドでの出来事を話した友人から、「グーグルアースで故郷を探せるかもしれない」と提案されます。そして、サルーの人生をたどる、“仮想”の旅が始まります。

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グーグルアースが人助けをした、ということでドラマチックに思えますが、サルーの25年間を思うと、丁寧に触れなくてはいけないデリケートな問題が数多く含まれ、映画化するのは難しい題材だと思います。

5歳の子どもがオーストラリアへ行かざるを得なかったインドの現実、インドの孤児を育てる養父母の存在など、遠く離れた世界の現実に驚くと同時に胸のつぶれる思いがすします。グーグルアースでの捜索は、サルーに新たな苦悩や葛藤を生みだしますが、それらを乗り越えた先にある再会シーンは、涙なしには見られなません!

英国王のスピーチ』の製作陣による、堅実な作りに好感が持てます。サルーを支える養父母の心情、そして、タイトルの『ライオン』という意味など、さりげなく明かされる真実の数々にも心を打たれます。


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ジュリー&ジュリア

人生、何が起こるか分からない! 
生きる張り合いを求めた2人の女性の奮闘と成長

2004年、29歳の女性ジュリー・パウエルは、夢には程遠い冴えない自分の生活を変えるために、ある目標を立てます。
憧れの料理家ジュリア・チャイルドの料理本「フランス料理の王道」にある524のレシピを1年間365日ですべて作り、その記録をブログで綴ることに決めたのです。
ジュリーのブログ「Julie/Julia Project」は評判を呼び、書籍化され、公共機関の臨時職員だったジュリーは小説家になる夢を実現しました。

2009年に製作された本作は、ジュリーの原作を基に、微笑ましくも過酷な目標に挑んだジュリーの泣き笑いの1年と、ジュリア・チャイルドが、1961年にアメリカ初の家庭向けフランス料理本「フランス料理の王道」を出版するまでの悪戦苦闘の道のりをオーバーラップさせながら、生きる張り合いを求めた2人の女性の奮闘と成長を描いています。

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【ストーリー】
始めは、ブログへの書き込みやメディアからの問い合わせなど、数々の変化に浮き立つジュリーでしたが、次第に毎日作り続ける義務感や結果が得られない焦燥感に苦しむようになります。
生活に余裕がなくなり、無謀な挑戦にくじけそうになるジュリーの心を支えたのはジュリアの真っ直ぐな生き方でした。

40歳近くで初めて恋に落ち、電撃結婚したジュリアは、外交官の夫エリックの転勤に伴い、パリへ渡ります。それまで政府機関に勤務し仕事一筋だったジュリアは、駐在員妻の退屈な生活から抜け出すために名門フランス料理学校のプロ養成クラスに入学します。
やがてジュリアは、2人の女性料理家に協力し、フランス料理本の出版を目指すことになります。

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ジュリアの料理家への道が日常への焦りから始まり、しかも40歳を超えてからだったのにはジュリーならずとも励まされます。

執筆に苦労したり、出版社に断られ続けたり、私生活では子供が出来なかったり、ポールの転勤で世界各国を転々としたりと、決して順風ではないジュリアの生活。それでも、明るく前向きに生きるジュリアが実に魅力的です。
テレビの料理番組の本番中に失敗しても気にしない大らかなキャラクターで人気を集めたジュリアをメリル・ストリープがはつらつと演じています。

料理を通して、夢を実現させたジュリーとジュリアは肩肘張っていないところがいいです。特に人生に迷い、すがる思いでブログを始めたジュリーには共感できる人も多いのでは。

まったくのゼロから歩き出した2人にあったのは熱意と根気、そして努力する妻をそっと支える夫の愛の力。ジュリーの女性らしい細やかな感性が光る原作を、ロマンティックなヒューマンドラマに仕上げたのは監督・脚本は『めぐり逢えたら』『ユー・ガット・メール』の女流監督ノーラ・エフロン

2人の運命を変える第3の主役、フランス料理の数々も見応え満点です。


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ミリキタニの猫

正しく生きれば、きっとその思いは報われる――
ホームレスの画家ミリキタニに訪れる奇跡の物語

正しく生きようとする真摯な思いが奇跡を生み出す過程を描いた感動的なドキュメンタリー。2006年に製作され、世界各国の映画祭で高い評価を受けました。
渋いけれど、めちゃめちゃ良い映画です。

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【ストーリー】
ニューヨーク、ソーホーの路上で絵を売るホームレスの老人から絵を買ったリンダ・ハッテンドーフ監督は、代金の代わりに老人の生活を時々ビデオカメラで撮影することにします。
絵を買わない限り施しを受けず、閉店後の料理店の軒先で静かに夜を過ごす老人。リンダは、何の気なしにこの不思議な老人を追っていましたが、9.11事件が二人を強く結びつけ、孤独な老人の運命を変えていきます。

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崩壊したツインタワー付近の路上で暮らす老人を放っておけず自宅に招きいれたリンダは、彼がケア付き老人ホームへ入れるよう申請しますが、社会保障番号がないため却下されてしまいます。

老人が一体どんな人生を送ってきたのか。彼がぽつぽつと語る過去の話を元に、老人のルーツを熱心に辿るリンダの行動が次々と奇跡的な出来事を生み出していきます。
しかし、奇跡の数々を真に感動的なものにするのは、老人の態度。やがて社会保障番号が判明した老人は、「アメリカの社会保障はいらない」と頑なに拒むのです。

老人はジミー・ツトム・ミリキタニという名の日系人。80歳を超えた心もとない体にも関わらず、安全な生活よりも孤独なホームレスを選ぼうとした理由には、第2次世界大戦中の悲劇がありました。

米国籍を持ちながらも、日系人強制収容所へ入れられたミリキタニは、不当な政府への反抗から自ら市民権を放棄し、以降、苦しい生活を強いられました。原爆を投下された母の故郷・広島への思い、姉と生き別れ、友人の死を目にした収容所での辛い経験、そして人生を狂わせたアメリカへの怒りを抱えながら、戦後60年もの間、ひたむきに生きてきたミリキタニ。反骨精神に押さえつけられた人を信じる心が、リンダや彼女の活動を助ける人々との幸福な出会いにより、ゆっくりと顔をのぞかせていきます。

戦争と米政府の罪を告発し、怒りと傷に満ちたミリキタニの心に明るい希望をもたらした意義深いドキュメンタリー。正しく生きれば、きっとその思いは報われる――。そう、心から信じられる奇跡のラストシーンには涙が止まらなくなるでしょう。

ミリキタニ氏は2012年に92歳で逝去されました。
2016年には、ミリキタニ氏と交流のあった人物が彼との思い出を語った短編『ミリキタニの記憶』が製作されました。


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