映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

人生に迷えるアラフィフ女性が、映画を通して人生について考える。ネタバレなしの映画レビューサイト。

グッド・シェパード(2006)

アメリカ国家に人生を捧げた男の悲劇
デ・ニーロアプローチは監督でも健在

グッド・シェパード」とは、「良い羊飼いは羊のために命を捨てる」と語ったキリストの言葉の引用で、アメリカ国家を守るCIAを賛美した言葉と言えるでしょう。

しかし、本作はCIAを称えるのではなく、むしろ、愛国心に突き動かされ、孤独な任務に人生を捧げた諜報員エドワードの悲劇を色濃く浮かび上がらせます。

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【ストーリー】
時代は第2次世界大戦前夜。イェール大学の学生だったエドワード・ウィルソン(マット・デイモン)は、FBI捜査官サム・ミュラッハ(アレック・ボールドウィン)の依頼に応じて、親独派のフレデリック教授(フランク・ガンボン)の身辺を調査し、教授を辞職に追い込みます。この功績が認められ、大学内のエリートで構成される秘密結社スカル&ボーンズのメンバーになったエドワードは、やがて発足したCIAの諜報部員として、アメリカ国家を守るために暗躍することになります。

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戦後から冷戦時代にかけて、エドワードが関わるスリリングなCIAの諜報活動の数々が詳細に描き込まれ、家族の崩壊劇と同時に、闇の組織として成長していくCIAの歴史を丹念に掘り起こした内幕ものとしても見応えがあります。

リアリティにこだわり、役柄にとことんのめり込むデ・ニーロらしい渋いアプローチで、重厚な大人のドラマが完成しました。


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交渉人(1998)

言葉を武器に人質犯を追いつめる交渉人の
知性と頭脳の極限の戦いを描いたアクションフィルム

交渉人(ネゴシエーター)とは人質事件のスペシャリスト。その名のとおり、人質を無事解放するのが使命です。

正義が正義を証明するために悪になる――。このアイロニーの構図に、まったく対照的なふたりの男が真っ向勝負を挑む本作は、数々作られた警官VS犯人の攻防を題材にしたアクションフィルムの中でも異色作です。

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【ストーリー】
ある日、シカゴ警察で人質事件が発生し、早速交渉人が出動します。しかし、その人質犯も交渉人だったことから、人質救出のための熾烈な駆け引きが幕を開けます。
この人質事件には警察内で起こった組織的な横領事件が背景にあり、人質犯となった交渉人は自らの潔白を証明するための危険な賭けに出たのでした。

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犯人となったのは熱血型で大胆不敵な戦法の交渉人、対するはクールにあくまで話術による平和的解決が信条の交渉人。まったく対照的な交渉術をもつものの、知性と頭脳においてはまったく互角の両者に、横領事件の疑いがかかる警察組織がからみ、三者三様の思惑が人質事件を予想外の結末へ導いていきます。

力ずくで犯人を追いつめるのもアクションの醍醐味ですが、ビジュアルだけでは飽き足りなくなった人には、言葉ひとつで二転三転してゆく息詰まる戦いを先回りして、自ら解決に挑戦してみるのもいいかもしれません。

熱血型のダニー・ローマンにはサミュエル・L・ジャクソン、クールなクリス・セイビアンにはケビン・スぺーシーが扮しています。当初ダニー役に決まっていたシルベスター・スタローンの降板により、かつて『評決のとき』で犯人対検事という形で激突した両者の顔合わせになりました。

監督はブラックミュージックのミュージック・ビデオで手腕を評価され、映画界では2作目の『セット・イット・オフ』で一躍注目を浴びた新鋭F・ゲイリー・グレイ。

巧妙に練られた脚本は『ジャック』のジェイムズ・デ・モナコと新人ケビン・フォックス。『タイタニック』でオスカーを獲得したラッセル・カーペンターが撮影にあたり、シカゴの闇に繰り広げられる一触即発の緊迫感を生み出しています。

また、横領事件の鍵を握り、人質となる内務捜査官ニーバウムに扮したJ.T.ウォルシュは本作品が遺作となりました。


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女神は二度微笑む(2012)

謎解きの面白さが存分に味わえる
インド発の正統派サスペンスミステリー

2012年に公開され、インド映画界のアカデミー賞で5部門を独占し、ハリウッドリメイク版の製作も決定したという注目のサスペンスミステリー映画です。

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【ストーリー】
2年前、毒ガスによる地下鉄無差別テロ事件が起こったインド・コルカタに妊婦のヴィディヤ(ヴィディヤー・バーラン)がやってきます。ロンドンから来た彼女の目的は、1ヶ月前に行方不明になった夫のアルナブを探すこと。しかし、彼の宿泊先にも勤務先にも、アルナブがいたことを証明する記録は一切ありませんでした。
アルナブの故郷へ行ったり、社員ファイルを探しに無人の勤務先に忍び込んだり、懸命に夫の痕跡を掴もうとするヴィディヤ。その一方で、国家情報局がヴィディヤの行く手を妨害したり、ヴィディヤが訪ねた関係者が次々に殺されたり、不穏な雰囲気が立ち込める。そして、遂にヴィディヤも命を狙われて……。

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ヴィディヤはわずかな手掛かりから、推理を働かせ、一歩一歩真相に近づいていきます。謎のヒントはすべて映像の中に提示されており、謎解きの面白さが存分に味わえる正統派の推理劇になっています。

熱気渦巻くコルカタを縦横無尽に駆け巡る、スピード感溢れるストーリーテリング、美しく逞しいヒロインのヴィディヤや、身重のヴィディヤを気遣う心優しき警察官ラナ(パラム・ブラト・チャテルジー)ら、時にユーモラスなキャラクターの妙演など、賑やかで楽しい演出はインド映画の面白さが再確認できます。

タイトルにある“女神”とは、“ドゥルガー・プージャー”の祭りで祝われるヒンドゥー教の戦いの女神ドゥルガーのことを指しています。

夫の行方を探し、数々の敵と戦うヴィディヤの身に何が起きるのか。ラストのどんでん返しまで目が離せません!


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アメリア 永遠の翼(2009)

空に人生を捧げた女性飛行家アメリアの愛と夢
ヒラリー・スワンクが勇敢なヒロインを好演

世界で初めて大西洋横断飛行に成功した米国人女性アメリア・イアハート。その輝かしい栄光の陰にある苦悩や挫折、愛、そして非業の死までが描かれます。

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【ストーリー】
幼い頃から空を飛ぶ事を夢見ていたアメリア(ヒラリー・スワンク)は、1928年、大西洋横断飛行を成功させ、一躍、時の人となります。
勇気ある女性アメリアの元には講演やCM出演依頼が殺到し、パブリストのジョージ・バットナム(リチャード・ギア)が彼女の広報担当になります。
やがてアメリアとジョージは恋に落ち、二人三脚でアメリアの飛行記録の夢を追うことになります。

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自分の信念を貫き、空を飛ぶという夢をひたすらに追ったアメリアの姿は鮮烈です。明るい未来へとつつながる夢への一歩を踏み出せず、閉塞的な現代に立ちすくむ人々は強く背中を押されるでしょう。

しかし、同時に、夢を追う生き方は大きなリスクと犠牲が伴うのかと複雑な気分にもなります。伴侶となったジョージの温かな愛に応えるため、最後の夢に挑んだ世界一周旅行で彼女は消息を絶ってしまいます。

芯の強いアメリアを魅力的に演じたヒラリー・スワンク、妻の夢を後押しする寛大なジョージを演じたリチャード・ギアなど、配役がぴったり。

人生に迷える大人に向けた愛と夢の物語です。


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ダンケルク(2017)

クリストファー・ノーラン監督が生み出した
生々しい戦場体験を可能にした戦争映画

ダークナイト』『インセプション』のクリトファー・ノーラン監督が初めて実話に挑んだ戦争映画です。

驚愕のストーリー展開や革新的な映像世界など、作品ごとにさまざまなチャレンジを試み、映画の醍醐味を味わわせてくれるノーラン監督ですが、その真骨頂は、何といっても、ひたひたと迫りくる恐怖の演出でしょう。

本作の題材は、第2次大戦中、フランス・ダンケルクでドイツ軍に追い詰められた40万人の英仏連合軍の兵士たちを、軍艦だけでなく、民間船までもが救出に向かい、助け出したという、感動的な撤退作戦です。

イギリスでは、命がけで仲間を助けた人々の不屈の精神を称え、「ダンケルク・スピリット」として語り継がれているようですが、ノーラン監督は、単なる英雄譚には終わらせません。

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【ストーリー】
ダンケルクの浜辺から何とか逃げようとする少年兵トミーの姿を中心に、軍の要請に応じ、ダンケルクへ向かった民間船の船長とその息子や友人、そして、形成不利の中で出撃する英空軍パイロットなど、それぞれの危機を、リアルな映像と独特な音響を駆使して、臨場感たっぷりに描き、戦場や死への恐怖を生々しく伝えます。

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描かれるのは、〈敵を倒すため〉ではなく、〈生き延びるため〉の闘い。血生臭い戦闘シーンを通して、客観的に戦争の悲惨さを伝えるのではなく、懸命に生きようとする人々の姿を通し、直接的に戦場を体感させる新しいタイプの戦争映画です。

ノーラン監督の才能に改めて驚かされました。


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理想の彼氏(2009)

理想から抜け出した異色カップルが
教えてくれる大切なこと

誰でも理想的な恋人に巡り合いたいと思っているでしょう。でも、理想って一体何なのでしょうか?

本作は理想を追い求めてさ迷う人々に贈るロマンティックコメディ。理想通りの結婚生活が幻だった40歳のシングルマザーのケースを通して、理想の恋人について考えます。

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【ストーリー】
40歳の専業主婦サンディ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は郊外の瀟洒な家で、年上の裕福な夫と2人の子供と共に平穏に暮らしていました。しかし、夫の浮気が発覚したことから離婚を決意し、小学生の子供たちを連れてニューヨークへ移り住みます。
一方、アラム(ジャスティン・バーサ)は24歳のフリーター。大学を卒業しても自立できずに両親と同居、おまけにグリーンカード目当てで彼と結婚した“妻”の裏切りを知っても、彼女のために離婚を悩んでいるような優しい、というか優柔不断な男です。
サンディはアパートや念願の仕事を決め、ブラインドデートにも挑戦し、第2の人生を前向きに歩き出す。アラムとはひょんなことで知り合い、ベビーシッターを頼むことに。そして2人は恋に落ちていきます。

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まったく恋愛対象にはなかった男女が予想外の出来事を通して惹かれあう様子がとても自然に描かれています。サンディは身勝手で高慢な元夫にはないアラムの素朴さや温かさに惹かれます。でも、果たして、それがサンディの求めるものなのでしょうか?

自由と個人主義の国アメリカでも、女性が16歳も年上のカップルが異色に思われるのは意外ですが、この特殊な格差愛の行方が教えてくれるのは、既成概念や固定観念に囚われず、自分の価値観を持って生きることの大切さです。

自分がどう生きたいか考え、行動した後にこそ、素晴らしい未来が待っているのでしょう。その未来には、きっと理想の伴侶も含まれるはず。

サンディのおませな子供たちの言動など、軽妙なユーモアが満載された微笑ましいロマコメですが、キャラクターやメッセージは実に現実的。サンディやアラムならではの、一風変わった、しかし、まさしく理想的なラストに好感が持てます。

観終わった後、自分なりの愛、仕事、人生観について、改めて考えてみたくなるはずです。


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オールド・ルーキー(2002)

多くの人々を勇気づけたアメリカン・ドリーム
その夢への軌跡を丹念に描いた感動作

1999年、大リーグ史上最年長記録となる35歳にしてメジャーリーガーになる夢を果たしたジム・モリス。その夢への軌跡を描いた『オールド・ルーキー』はノスタルジックな趣きを持つシンプルなテイストの作品です。

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【ストーリー】
肩の故障でマイナーリーグを引退したジム・モリスは地元テキサスの高校で化学教師になり、弱小野球部の監督を務めていました。
ある日、地区大会に出場する選手たちを奮い立たせるために挑戦することの大切さを説いたジムは、逆に選手たちから「先生は夢をあきらめていないか」と問いかけられてしまいます。そこでチームが優勝したら、ジムも再びメジャーリーグの夢に挑戦するという約束が交わされます。
チームの奇跡的な優勝を受け、デビルレイズの入団テストを受けたジムは、なんと156キロの剛速球を投げ、マイナーリーグへスカウトされまし。
しかし、妻と3人の子供を養う一家の主であるジムにとって、安定した高校教師の職を捨て、再びマイナーリーグから出発することは、家族の犠牲的な協力が不可欠でした。

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ジムと彼の夢を支えた家族の愛の物語が、穏やかな時の流れを感じさせる雄大なテキサスの自然を背景にじっくりと丹念に描き出されています。

監督は『真夜中のサバナ』『パーフェクト・ワールド』などの脚本家として有名なジョン・リー・ハンコック

ドラマチックな実話をベースにしたサクセスストーリーであるため、感動的な大団円の結末はある程度予想されるものの、生真面目すぎるくらいに過度な演出を避け、深く心に染み入る作品に仕上げました。

揺るぎないチャレンジ精神で夢を叶え、多くの人々を勇気づけた新しいタイプのアメリカンヒーロー、ジム・モリスを演じるのは気概のある男役に定評があるデニス・クエイド

「夢」と「家族」を秤にかけるという試練の厳しさに説得力を与えます。


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