映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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トレジャー・プラネット(2002)

先入観は禁物! 冒険小説の王道『宝島』を
ディズニー流にアレンジした会心の一作

本作が製作された2000年初頭、ディズニーのオリジナル長編アニメーションはあまりヒットしませんでした。その原因はおそらくマンネリ感にあったのでしょう。

一貫して夢と冒険を描くテーマ性もさることながら、呼び物となるはずの最新のCG技術を駆使した映像がそうした印象を抱かせました。

冒険小説の王道『宝島』を引っ張り出し、壮大なアクションアドベンチャーに仕立てた本作にも当然、ディズニー的な要素が詰め込まれています。でも、先入観は禁物です。

大胆なアレンジにもかかわらず、原作を冒涜しないドラマメイキングと、宇宙冒険を体感させる映像に思わずうならされました。ディズニー会心の一作と言っていいでしょう!

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【ストーリー】
15歳の少年ジムは反抗期真っ盛り。無謀な行動でトラブルばかり起こしては女手ひとつで彼を育てる母を困らせていました。しかし、事務は偶然、伝説の海賊フリント船長が財宝を隠したとされるトレジャー・プラネットの地図を手に入れたことから、母の営む宿屋が地図を狙う海賊たちに破壊されてしまいます。
ジムは苦労をかけてきた母のために宝を探す旅に出ます。

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宇宙船レガシー号に乗り込んだジムの前にご存知、片目の料理人ジョン・シルバーが現われます。サイボーグという設定はSF的な要素のためだけではなく、宝探しに取り憑かれて人生を台なしにしてしまった海賊の悲哀を表現するのに効果を発揮しています。

向こう見ずだが、何事にもひたむきなジムに心を動かされ、柄にもなく生きる指針を示すシルバーと、そんな彼を父のように慕いはじめるジム。過去に囚われ、前に進めないふたりの男たちが精神的な成長を遂げ、友情を育む様がファンタスティックな冒険を通して描かれます。

臨場感とスピード感に溢れるアクションシーンや、愛嬌たっぷりの宇宙生物モーフや陽気なロボット、ベンなどオリジナルキャラクターに見るユーモアセンス、そして心に染みるストーリーなど、すべてが丁寧に作り込まれた印象を受けます。

そんなディズニーの製作姿勢から「自分を信じて、最後まであきらめないこと」という作品のメッセージが伝わってきます。

私はこの映画を劇場で観たときに、「誇りを持って良作を作り続けていれば、必ず報われる時が来るはず」と明るい希望をもらいました。


トレジャー・プラネット 【Disneyzone】 [ ジョン・マスカー ]


トレジャー・プラネット (オリジナル・サウンドトラック)