映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

人生に迷えるアラフィフ女性が、映画を通して人生について考える。ネタバレなしの映画レビューサイト。

パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち(2003)

まったく新しいアドベンチャーに生まれ変わった
カリブの海賊〉映画版の記念すべき第1作

ディズニーランドのアトラクション〈カリブの海賊の映画化と聞けば、「ハリウッドアクション映画もついに(ネタ切れ?)……」、の感が強かったのですが、そこは数々のアクション大作を大ヒットさせてきた敏腕プロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーのこと、ミステリアスかつ痛快な海賊映画のエッセンスを究めた冒険活劇に仕上げました。

大海原を漂う海賊船に迷い込んだかのような臨場感のある映像と、ジェットコースターに乗っているかのようなスピード感満点のアクションシシーンに興奮が止まりません!

**********

【ストーリー】
時は18世紀、12歳のエリザベスは殖民地に赴任する父とともにカリブ海を航行中、海洋を漂う少年ウィルを助けます。海賊の襲撃に巻き込まれたと思われる少年はどくろが刻印された金のメダルをかけていました。
好奇心からそのメダルを手に入れたエリザベスは、8年後、メダルを狙うバルボッサ船長(ジェフリー・ラッシュ)率いる海賊たちに誘拐されてしまいます。
エリザベス(キーラ・ナイトレイ)の救出に向かうのは鍛冶屋になったウィル(オーランド・ブルーム)と、偶然居合わせた孤高の海賊ジャック・スパロウジョニー・デップ)。実は彼らは海賊たちと深い因縁で結ばれていたのです。

**********

映画の中にはアトラクションでなじみのシーンも登場するものの、基本的には珍妙なものになりかねないアトラクションの映画化という概念は取り払われています。しかし、すでに古典的ジャンルとなっていた〈海賊映画〉の製作はかなりの試練だったに違いありません。

難関を初めに突破したのは『シュレック』で注目されたテッド・エリオットとテリー・ロッシオの脚本家コンビ。カリブ海で海賊に襲撃された船から逃げ延びた少年ウィル・ターナーが身に付けていた黄金のどくろのメダルをめぐるオリジナルストーリーはいたってオーソドックスですが、とぼけたユーモアのあるキャラクター造形とセリフが抜群に面白いです!

そして、とぼけたユーモアの演出は『マウスハント』『ザ・メキシカン』のゴア・ヴァービンスキー監督が最も得意とするところです。

そして、何といっても、キャスティングの妙が本作の勝因でしょう。海賊に扮した、かつての異端児俳優ジョニー・デップがおどけたパフォーマンスで笑わせ、ジェフリー・ラッシュに至ってはILMの視覚効果マジックにかけられ、骸骨に変身させられてしまいます。娯楽大作とは無縁の個性派俳優たちが完全に役に陶酔しているので、観ている方もワクワクしてきます。

女性に人気沸騰中のオーランド・ブルームや、勇ましいヒロインを好演したキーナ・ナイトレイら、当時、注目株だった若手俳優たちのはつらつとした活躍も、波乱のストーリーを盛り上げます。

美しいカリブ諸島のロケーション、忠実に再現された18世紀の海賊船、怪奇ミステリー風の海賊伝説など、童心に帰る要素が十分に揃ったプロジェクトを、キャストもスタッフもさぞかし満喫したことでしょう。

それは観客も同じこと。シリーズは5作を数え、近々シリーズ第6作の話も聞かれる大人気シリーズとなりました。

さすがヒットメーカー、ブラッカイマーの面目躍如となった作品ですが、チャレンジングなプロジェクトを一から練り上げ、成功させたご褒美として当然かもしれません。


パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち(期間限定) [Blu-ray]


パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち (字幕版)


パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち (字幕版)