映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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ザ・ロイヤル・テネンバウム(2001)

ちょっぴり“闇”気味の癖強めキャラたちがぶつかり合う
反面教師テネンバウム家に見る極上のヒューマンドラマ

人はだれも家族を選んで生まれてくることはできませんが、それでも家族は無条件に愛を注げる対象でしょう。だから家族に愛情を抱けないことほど哀しいことはありません。

ところが、身勝手な父ロイヤルを家長とするテネンバウム家は22年にわたり、その悲劇に見舞われていました――。

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【ストーリー】
性格の不一致を理由にロイヤル・テネンバウム(ジーン・ハックマン)が勝手に別居してから22年。妻エセル(アンジェリカ・ヒューストン)の再婚話をぶち壊すために家に戻ってきます。
「余命6か月」と嘘をついてエセルの同情をかったものの、彼から多大な影響を受けて成長した3人の子どもたち、長男チャス(ベン・ステイラー)、養女マーゴ(グゥイネス・パルトロウ)、次男のリッチー(ルーク・ウィルソン)はさまざまな反応を見せます。
兄妹たちはそれぞれの分野で、10代で成功し、天才児と呼ばれていましたが、それから20年後、それぞれの問題を抱えていました。

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家族の再生を描いたドラマは数々ありますが、これほど困った家族もいないでしょう。別居夫婦の絆、父子の確執、義姉弟の秘めた愛など、いびつな形で繋がりを求める家族の姿にじんわり熱いものが込みあげてきます。

ダージリン急行』(’07年)や『グランド・ブダペスト・ホテル』(’14年)など、超強烈なキャラクターたちが織りなす、ポップでシュールな世界観が人気のウェス・アンダーソン監督の3作目の長編映画。本作では米アカデミー賞脚本賞候補になるなど、デビュー当初は21世紀のハリウッドを担う逸材として注目されていました。

家族の絆がとことん崩壊した、いわば反面教師のテネンバウム家が悲劇的な状況に終止符を打つまでを描いた極上の家族再生物語です。

テネンバウム一家を演じる豪華キャストのほかにも、オーウェン・ウィルソンビル・マーレイ、ナレーターにアレック・ボールドウィンなどの演技巧者が集まり、 “癖強め”なヒューマンドラマを盛り上げています。


ザ・ロイヤル・テネンバウムズ (字幕版)