映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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マスター・アンド・コマンダー(2003)

雄大な海原で繰り広げられる海の男たちの戦い
ラッセル・クロウがカリスマ艦長に魂を吹き込む

原作は英国海軍ジャック・オーブリーが活躍する『オーブリー&マチュリン』シリーズ。元々娯楽冒険小説なのだから、ワクワクハラハラするだけの娯楽アクションと思いきや、大海原での戦いに挑む海の男たちのドラマは格調高く、味わい深いです。

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【ストーリー】
舞台はナポレオン戦争中の1805年。フリゲート艦サプライズは、ラッキー・ジャックこと名艦長ジャック・オーブリー(ラッセル・クロウ)指揮の下、仏海軍の強力な私掠船アケロン号の拿捕命令を受けていました。
しかし、アケロン号はサプライズよりも、速度もまた艦の規模も勝っており、アケロン号との最初の戦いで、サプライズは甚大な被害を被ってしまいます。

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描かれるのは、宿敵の仏軍艦アケロン号を追う英国海軍フリゲート艦サプライズ号の航海の日々。カリスマ的なジャック艦長のもと船員たちは一丸となって戦いますが、敵は仏軍だけではありませんでした。気まぐれな自然や艦内の閉塞的な状況など、さまざまな脅威が船員たちを襲います。

ジャックを演じるラッセル・クロウさすがにいい味を出しています。戦いに貪欲な野心家の面もあれば、若い士官候補生には厳しくも優しい態度で軍人の誇りを伝える二面性が人間味を感じさせます。

帆船による勇壮なアクションシーン、長引く戦況が引き金となって起こる人間ドラマも見応えがあります。

原作の大ファンという『いまを生きる』(’89年)、『トゥルーマン・ショー』(’98年)のピーター・ウィアー監督が丹精込めた作品です。

‘80~’90年代にかけて、優れたヒューマンドラマを手がけてきたウィアー監督ですが、本作を最後に映画監督作品は無いようで、本当に残念です。

なお、本作は2004年度の米アカデミー賞で10部門にノミネートされ、そのうち、撮影賞と音響効果賞を受賞しました。

そして、今年(2021年)、本作の新作が企画されていると報じられました。小説シリーズの第1作「新鋭艦長、戦乱の海へ」をベースに、艦長に就任した若き日のジャックの活躍と、本作でポール・ベタニーが演じたスティーブン・マチュリン軍医との出会いが描かれるそうです。

ラッセル・クロウの再登板があるのか、気になるところです。


マスター・アンド・コマンダー [ ラッセル・クロウ ]


マスター・アンド・コマンダー (字幕版)