映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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告発のとき(2007)

イラク戦争さ中に痛切に訴えた帰還兵の悲劇
より良い社会へのメッセンジャーポール・ハギス渾身の1作

2004年度のアカデミー作品賞受賞作『ミリオンダラー・ベイビー』の脚本家として注目され、翌年発表した『クラッシュ』では、初監督にしてアカデミー賞作品賞受賞の快挙を果たしたポール・ハギスの監督2作目です。

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【ストーリー】
2004年11月、ハンク(トミー・リー・ジョーンズ)は、イラク戦争から帰還したばかりの息子マイク(ジョナサン・タッカー)が軍隊から失踪したと知らせを受けます。ハンクは軍隊が示唆した脱走の可能性を信じられずにマイクの行方を捜し始めますが、やがてマイクは凄惨な焼死体となって発見されます。ハンクは地元警察の女性刑事エミリー(シャーリーズ・セロン)と共にマイク殺害の真相を追いかけます。

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ハギス作品の素晴らしさは、不測の事態に直面した人々の思いもかけない行動を通して、変貌する人間心理や、そんな人間心理の一因となった米国が抱える社会問題を告発する点、そして、人々を苦しめる社会問題もまた、人間が作り出したものであることをまざまざと見せ付ける点です。

本作で告発されるのは、米国が主導したイラク戦争大義愛国心の名の元に、多くの若者を戦地へと送り込んだのは誰なのか。元軍人警官で、息子が戦地で立派に勤めを果たすことを期待していたハンクもまた事件の一旦とはいえないか?

映画公開時は各国兵士のイラク駐留が長期化しており、多くの米国民がイラク戦争の是非を再考するなか、ハギスはイラク戦争の弊害を声高に訴えました。

米『プレーボーイ』誌に掲載された実在のイラク帰還兵士殺害事件の記事をモチーフにポール・ハギスが脚本化。実際の犯人は仲間の帰還兵だったといいます。

ベトナム戦争以来、多くの映画監督に描き尽くされた帰還兵士の心の闇が再び身近な問題になるとは。

荒みゆく現代を如実に物語る作品ですが、それを止めるのは、平和を願う我々人間だということにも思い至らせます。人々がこの映画から受けた衝撃と痛みを過酷な現実を変える力とすることを切に願います。

息子のために死力を尽くす無骨なハンクを熱演したトミー・リー・ジョーンズは、アカデミー主演男優賞にノミネートされました。

告発のとき (字幕版)

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告発のとき [DVD]

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