映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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トラフィック(2000)

スティーブン・ソダーバーグ監督の名を
不動のものにした社会派群像劇

麻薬組織の摘発に協力するメキシコ・ティファナの警察官ハビエル、麻薬に手を出した高校生の娘を更生させるために奔走するワシントンDCの最高裁判事ロバート、麻薬密輸で逮捕された夫に代わり家族を守ろうとするサンディエゴの実業家夫人へレーナ。

常習者だけでなく周囲の人間すべての人生を台無しにする麻薬の恐怖を3つのケーススタディを巧みに交錯させて描き出す社会派ドラマです。

同時期に製作された『エリン・ブロコビッチ』(’00年)とともに、2000年度のアカデミー賞監督賞にノミネートされたスティーブン・ソダーバーグ監督は、本作でオスカーを獲得しました。

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【ストーリー】
舞台は麻薬の汚染されたアメリカの首都・ワシントンD.C.
オハイオ州のロバート・ウェークフィールド判事(マイケル・ダグラス)は麻薬撲滅担当の大統領補佐官に就任するが、名門校に通う娘キャロライン(エリカ・クリステンセン)は仲間らと麻薬におぼれていた。
麻薬捜査官ハビエル・ロドリゲス(べニチオ・デル・トロ)はアメリカへの麻薬ルートとなっているメキシコ最北端の都市・ティフアナで日々、捜査にあたっていた。
カリフォルニア州では、実業家夫人のヘレーナ(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)の夫が麻薬密売に手を染め、逮捕されてしまいます。

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マイケル・ダグラスキャサリン・ゼタ・ジョーンズ、本作でアカデミー賞助演男優賞に輝いたべニチオ・デル・トロなど、総勢150人以上のキャストによる群像劇は、圧倒的な迫力で見応え満点です。

淡々と事実だけを追うドキュメンタリータッチの展開を素早いキャメラワークで捉え、全編に緊張感を持続させた撮影もソダーバーグ自身によるものです。

3つの物語が同時に進行しますが、場面転換を画面の色やフィルターのかけ方で区別し、複雑さを解消するなど、ソダーバーグ監督の職人的な演出手腕も光ります。

本作のように、骨太で硬派な語り口で、社会問題を告発し、悩める人々の姿を真摯に描く社会派ドラマは大好きです。
最近は少ないような気がしますが……。


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