アメリカの歴史的事件にも関与した不気味なヒーロー集団
複雑で壮大な謎に満ちた新感覚アクションスリラー
黒い模様がうごめく白マスクをかぶった〈ロールシャッハ〉、全身が粒子状の〈ドクター・マンハッタン〉など、謎めいた姿とさまざまな特徴を持つヒーローで構成された〈ウォッチメン〉。
アメリカでカルト的な人気を誇るグラフィックノベルが映画化されました。
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【ストーリー】
1985年、ニューヨークの高層マンションの1室で壮絶な格闘が繰り広げられ、住人の男が命を落としてしまいます。
胸にスマイル・マークを付けたその男は、かつて〈ウォッチメン〉と呼ばれたヒーロー集団のメンバーでした。男の死をきっかけに、陰のヒーロー、〈ウォッチメン〉の真実が明らかになります。
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〈コメディアン〉と呼ばれたメンバーの衝撃的な死から始まる映画版は、ウォッチメンの複雑で壮大な世界観を見事に構築しています。
物語の軸になるのは、コメディアンから始まるウォッチメン連続殺害事件の真相。〈監視者〉を意味する〈ウォッチメン〉は、凶悪犯罪が激化した1940年代に生まれた刑事による自警集団です。
仮面やマスクで顔を隠すことで、躊躇なく凶悪犯に法を超えた制裁を与え、ケネディ暗殺やベトナム戦争など、歴史的な事件にも重大な役割を果たした彼らがなぜ狙われるのでしょうか?
その理由をひも解くために、ウォッチメンの過去が断片的に挿入されます。現在と過去がめまぐるしく交錯し、ウォッチメンの迷宮にはまっていく……。
横暴で自己中心的なコメディアン、元は人間だったドクター・マンハッタンなど、曰くつきの過去を持つメンバーたち。癖のあるキャラクター造形をしっかりと掘り下げ、現在と過去のエピソードをじっくりと描いた展開で、2時間40分にのぼる長尺となりました。
しかし、決して見飽きることはありません。
ダークでスタイリッシュな映像、ハードなアクション、謎が謎を呼ぶ緻密なストーリーなど、斬新なアイデアがふんだんに詰まった新感覚のアクションスリラーです。
監督は『ドーン・オブ・ザ・デッド』『300』のザック・スナイダー。出演は、『オペラ座の怪人』のパトリック・ウィルソン、『P.S.アイ・ラブ・ユー』のジェフリー・デイーン・モーガンなど。
そして、ハリウッドから15年間姿を消した後、本作で突然カムバックを果たして話題を呼んだジャッキー・アール・ヘイリーがロールシャッハを演じ、くせ者ぶりを発揮しています。