映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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ボーン・アイデンティティー(2002)

マット・デイモンが生み出した人気キャラクター
記憶をなくしたヒーローの正体に迫る

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』のナイーブな青年役で注目されたマット・デイモンは、多くの男優がアクション映画を使って男性的な魅力をアピールしようとするなかで、人間の内面性を描いたドラマに精力的に出演し、若手演技派の代表格に成長しました。

そんなマット・デイモンが2002年公開のアクション映画初主演作として選んだのがミステリー作家、ロバート・ラドラム原作『暗殺者』を映画化した本作品。俳優としての彼の魅力をさらにアピールする結果になりました。

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【ストーリー】
嵐の地中海を漂流していた男(マット・デイモン)がイタリアの漁船に救出されます。男は肩に弾丸を受け、記憶を失い、身元を明かす物も一切持っていませんでしたが、まるで特殊訓練を受けたかのように明晰な頭脳と強靭な肉体は彼のただならぬ過去を物語っていました。
肩に埋め込まれた貸し金庫の鍵を頼りにチューリッヒ相互銀行を訪れた男は、貸し金庫の中からジェイソン・ボーンという人物のアメリカ国籍のパスポートを始め、彼の顔写真が貼られた世界各国の偽造パスポートを見つけます。
ますます男の正体が謎に包まれる一方、CIA本部では男の暗殺計画が立てられていました。

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ボーンは一体何者なのか。CIAがなぜ彼の命を狙うのか。このふたつの謎が明かされるラストまで緊張感が持続します。これはマットが卓越した戦闘技術や頭脳を駆使して追っ手を交わすクールなアクションヒーローに成りきる一方、自分の正体に疑念を抱くボーンの焦燥感や不安感など、ヒーローの内面まで丁寧に表現したからにほかなりません。

ボーンの逃亡に巻き込まれた女性マリーはサスペンスフルな展開を際立たせます。行動をともにするうちに恋愛関係に発展するという、蛇足的な存在のマリーが、実は何かとてつもない危険をはらんでいるように見えるのは、『ラン・ローラ・ラン』のフランカ・ポテンテミステリアスな魅力の賜物です。

このふたりの好素材を巧みに生かしたのはインディーズフィルム『go』のダグ・リーマン監督。頭を空っぽにして楽しむのが常のアクション映画の中で、キャラクターをじっくり観察することをお薦めしたいです。


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