映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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アルマゲドン(1998)

世紀末の不穏な雰囲気を吹き飛ばす!
ハリウッドらしいデザスターアクション娯楽大作

「1999年7月、空から恐怖の大王が舞い降りて人類が滅亡する――」。小学生の時に『ノストラダムスの大予言』を知った私は、1999年になるまで、実はちょっぴり怖かったです(;^_^A。

また、ヨハネ黙示録に示された「ハルマゲドンが襲来し、世界を滅亡させる」という終末思想も盛り上がり、私は「ハルマゲドン」という曰くありげな響きにも、かなりの恐怖を覚えました(;^_^A

そんな不穏な20世紀末を目前にした1998年、デザスター(災害)アクション映画『アルマゲドン』が満を持して公開されました。地球に小惑星が激突するのを阻止すべく、立ち上がった8人の勇敢な男たちの姿を描いたハリウッド大作です。
※『アルマゲドン』は「ハルマゲドン」の英語読み。

地球の滅亡という衝撃的なテーマにふさわしく、製作費1億3千8百万ドルをかけた壮大なスケール作品となりましたが、タイムリーな話題に乗っかり、ただただ最新鋭のアクションシーンを見せたいだけのハリウッド映画かと思いきや、胸を熱くする人間ドラマも盛り込まれており、大ヒットの記録ととともに、記憶にも残る娯楽作となりました。

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【ストーリー】
宇宙で小惑星が爆発し、無数の隕石群が火の玉となって降り注ぎ、ニューヨークを壊滅させました。そして、その18日後には巨大な小惑星が地球を直撃し、世界中を壊滅させてしまうことが判明。それを阻止するには小惑星の地中240メートル下まで穴を掘り、核爆弾を仕掛け小惑星の軌道を逸らすしかありませんでした。そんな人類を救うミッションを命じられたのが、石油採掘のプロフェッショナル、ハリー・スタンパー(ブルース・ウィルス)でした。
ハリーはNASAの頭でっかちの宇宙飛行士ではなく、ともに石油発掘場で働く7人の仲間たちを、命を懸けたミッションの遂行者に選びました。そして、NASA内部からの反発をよそに8人の石油採掘人たちと6人のスペースシャトルの操縦士たちは宇宙へ旅立って行きます。

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CG技術が格段に進歩した1990年代後半、ハリウッドでは、『ディープ・インパクト』(’96年)、『ツイスター』(’97年)、『ボルケーノ』(’97年)など、デザスター(災害)パニックアクション映画がブームになりました。本作もそれらの中の1本ですが、けた違いのスケールで、大きな話題を集めました。

小惑星激突による地球滅亡、という前代未聞の災害に見舞われる本作では、地球を救うヒーローに選ばれたハリーのほか、人間くさいキャラクターたちが物語を熱く盛り上げています。

ハリーを始め、ガテン系の石油採掘員たちは我が道を行く自由人。命がけのミッションを前にして、「税金をただにしてくれればやる」なんて、軽口を叩きあっています。

しかし、表面では陽気にふるまっていても、実は家族を幸せにできないことに対する後ろめたさに長年苛まれている者も。ハリーもその一人で、一人娘のグレイス(リブ・タイラー)を思うあまりに、彼女とこっそり付き合っていた部下のA.J.(ベン・アフレック)にきつく当たってしまいます。この複雑な父心が熱いドラマを生み出します。

“ハイテクのNASA”対“ローテクの労働者たち”という構図も見どころの本作品。労働者の代表、無骨なハリーを演じたブルース・ウイリスがさすがの存在感です。個性的な7人の石油採掘員には、ビリー・ボブ・ホーソンや、スティーブ・ブシェーミピーター・ストーメアらインデペンデント映画界の実力者に加え、当時は注目株の若手俳優だったベン・アフレックやクライブ・オーウェンが扮しており、今観ると、とても贅沢な共演陣です。

製作はアクション映画のヒットメーカージェリー・ブラッカイマー、監督は『バッド・ボーイズ』(’95年)、『ザ・ロック』(’96年)のマイケル・ベイ。後に悪名高き『パール・ハーバー』(’01年)を生み出したコンビによる、このアクション大作は、実はゴールデン・ラズベリー賞で作品賞を含む7部門にノミネートされてしまいました。(そのうち、ブルースが最低男優賞、ベン&リブが最低カップル賞を受賞しました……。)

確かに一般人の石油採掘人たちが宇宙活動をこなしてしまうという、ご都合主義的で、ツッコミどころ満載の展開ですが、意表を突き、そして、思わず胸が熱くなるクライマックスシーンが本作を記憶に残る映画にしていると思います。

エアロ・スミスが歌う主題歌『I Don't Want to Miss a Thing』もバラードの名曲で、大団円のラストシーンを盛り上げました。

ニューヨーク、上海、パリに炎の塊となって降り注ぐステロイド小惑星)の脅威、そして一瞬にして焼き尽くされた大都市の無惨な光景は、CG映像とはいえ、衝撃的です。

決して絵空事ではない地球の未来の映像からは、地球規模から考えると私たちの営みがほんのちっぽけなことでしかないことを思い知らされます。そして、突如、地球を守る使者になった石油採掘員たちからは、この世に蔓延しているおごりを捨て、勇気を持つことの大切さを教えられます。

ただし、全世界の危機を救うアメリカ人たちを、世界中の人々が固唾をのんで見守る光景は、アメリカ礼賛がすごすぎて閉口しますが……( ´艸`)。

20世紀末に生まれた、ハリウッドらしい“豪快な”娯楽作は、21世紀になり、さらに不穏になった今観ると、実は平和で明るい未来に向けた映画なのだと、感慨深いです。


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