映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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悲しみが乾くまで(2007)

愛する者を亡くした人々が紡ぐ
悲しみからの再生と希望の物語

誰もが恐れながらも逃れられない最愛の人の死。夫、父、無二の親友――。かけがえのない存在を失った人々の悲しみが乾くまでの心の移ろいを、『アフター・ウェディング』の女流監督スサンネ・ビアが繊細な描写で捉えました。

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【ストーリー】
心優しく、穏やかな人柄で家族や友人たちに愛されたブライアン(デヴィッド・ドゥカブニー)が不慮の事件に巻き込まれ、突然この世を去ります。悲しみに暮れる妻のオードリー(ハル・ベリー)はブライアンとの絆を求めて、彼の親友ジェリー(ベニチオ・デル・トロ)に同居を提案します。
元弁護士のジェリーは、ヘロインに溺れ、堕落した生活を送っていましたが、決して自分を見捨てなかったブライアンの友情に報いるためにオードリーの申し出を受けます。

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オードリーや2人の子供たち、ジェリーらがブライアンと過ごした日々のエピソードが、辛い現実のはざ間で挿入されます。これらの何気ない日常を切り取ったシーンの中で、人々に献身的な愛を捧げたブライアンの姿が浮かび上がり、彼らの失った存在の大きさ、悲しみの深さが胸に迫ってきます。

ジュリーに夫の幻を求めてしまうほどに心に深い傷を負っていたオードリー、混乱する母親を前に健気に現実を受け止める子供たち、不器用ながら精一杯の思いやりで一家を見守るうちに自分の人生を見つめ直すジュリー。奇妙な同居生活を通して、同じ悲しみを共有する人々が見せるそれぞれの反応が思わぬ波乱を呼びます。

そして、人々は悲劇を受け入れ、悲しみを乗り越えなければ、決して前には進めないことを知ります。

戸惑いと憂いに満ちたオードリー役のハル・ベリー、大きな心境の変化を遂げるジェリーの複雑な胸の内を巧みに表現したベニチオ・デル・トロ。2人のオスカー俳優が入魂の演技で激突。天使のようにキュートな子役たち、大らかな笑顔が印象的なデビッド・ドゥカブニーなど、脇を固める俳優たちの自然な演技に癒されます。

感情移入を誘うキャラクターがひたむきに紡ぐ悲しみからの再生と希望の物語に強く心を動かされます。

悲しみが乾くまで(字幕版)

悲しみが乾くまで(字幕版)

  • 発売日: 2015/09/21
  • メディア: Prime Video


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