映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

人生に迷えるアラフィフ女性が、映画を通して人生について考える。ネタバレなしの映画レビューサイト。

ポーラー・エクスプレス

幻想的なクリスマスの光景は必見の価値あり
トム・ハンクスが製作・“主演”を務めたフルCGアニメ映画

サンタクロースなんて嘘っぱち、CG人間なんて紛いもの。そんな頭の固いことを言わず、信じてみよう。クリスマスの持つ魔法の力を見事に映像化した珠玉のファンタジーです。

*********************

【ストーリー】
主人公はサンタクロースの存在に疑いを抱く少年ヒーロー・ボーイ。その真偽のほどがいよいよ分かるクリスマス・イブの晩、不安で眠れぬヒーロー・ボーイの部屋の外にまばゆい光に包まれた巨大な蒸気機関車が停車します。それは北極点へ向かう「ポーラー・エクスプレス」。ヒーロー・ボーイは乗車を促す車掌の言葉に迷いながらも、走り行く列車に飛び乗りました。

*********************

原作はC・V・オールズバーグの絵本『急行「北極号」』。原作の大ファンというトム・ハンクスが映画化権を獲得し、『フォレスト・ガンプ』『キャスト・アウェイ』でコンビを組んだロバート・ゼメキスに監督・脚本を依頼。チャレンジ精神とユーモア感覚、ハートフルなマインドを備えた映像作家はフルCG長編アニメ映画として完成させました。

製作されたのは、CGアニメ映画が続々と登場するようになった2004年。トム・ハンクスそっくりの車掌をCGで製作するなど、主要キャストが人間であるために、当時はまだCG映画の泣き所であったCG人間の創造に挑んだ野心的な作品と見られがちでしたが、本作のフルCG化の目的は別にあります。

満天の星空に照らし出された深い森、粉雪に包まれて走る列車、パジャマ姿ではしゃぐ子供たちや歌って踊るウェイターがいる明るい列車内、暗闇の氷原に浮かび上がるオーロラなど、神秘的な映像はページをめくるたびに美しい絵に出会える絵本の楽しさが味わえます。

〈絵本のイメージをそのままスクリーンに描き出したい〉という製作者の願いが見事に実現されました。

列車で旅するアドベンチャーというテーマを発展させられたのもフルCG化の効用です。列車からの視点を捉えたキャメラワークはスピード感に溢れ、まるでジェットコースターに乗っているよう。険しい山道をぐるぐる回って登り詰めたら、山頂から見えるのは終点の北極点。暖かい灯りのもれるレンガ壁の家々を通り過ぎると、色とりどりのライトが飾られた巨大なクリスマスツリーが見えてきます。夢のようなクリスマスタウンの光景は感動もの!

人里離れた場所に住み、クリスマスは寂しい日と思っていたロンリー・ボーイ、そんな彼を励まし希望を与えるヒーロー・ガール、無邪気と無分別の境が微妙な知ったかぶりっ子など、映画オリジナルのキャラクター造形もよく練られ、感情移入を誘います。

ヒーロー・ボーイとその仲間たちがクリスマス・イブの冒険をとおして何を知り、何を得るのか? 毎年、クリスマスの時期には必ず見たくなる1本です。


ポーラー・エクスプレス【Blu-ray】 [ トム・ハンクス ]


Amazonプライム・ビデオ