アントブリー(2006)
いじめっ子はアリの生活を体験すべし!
小さなアリたちが秩序と思いやりの心を説く
ピクサー・スタジオが『トイ・ストーリー』(’95年)で成功させたフルCG 長編アニメーションは画期的な技術で、映像革命とも呼ばれています。
以来、本家のピクサーはもちろん、スピルバーグが創設者の1人でもある映画製作会社ドリームワークスの『シュレック』(’01年)、ブルー・スカイ・スタジオ製作『アイス・エイジ』(‘02年~)など、さまざまな生き物を擬人化したフルCG長編アニメが本当にたくさん登場しました。
シリーズ化されるほどの大ヒット作もあれば、そうでない作品もありますが(こちらの方が圧倒的に多いです)、“アリ”の生活を体験する少年のアドベンチャーを描く本作は、正直、どれほどの方が観たいと思ったでしょうか……(;^_^A。
しかしながら、アリだからこそ伝えられるメッセージがありました!
*******
【ストーリー】
10歳の少年ルーカス(声/ザック・ニーカス)は引っ越してきたばかりで、友だちができず、挙句の果てに近所のガキ大将にいじめられる始末。そこでルーカスはいじめっ子にからかわれたうっぷんを庭のアリ塚を壊すことで晴らしていましたが、アリにとっては生命の危機にほかなりません。怒ったアリたちは魔法の秘薬でルーカスをアリのサイズにして、巣穴へ連れ込んでしまいます。ルーカスが元の体に戻れる条件は、秩序やチームワークを重んじるアリの習性を身に付けることでした。
*******
“ブリー”とは英語で“いじめ”のこと。その気はなくても、弱い者への八つ当たりは立派ないじめです。いじめられっ子が相手を変えて、いじめっ子になってしまう、という、人間の心に巣くう身勝手な部分をさりげなく、えぐり出します。
「ルーカスみたいな人はいませんか」と、キュートなCGキャラクターが結構、耳の痛い話をしてくれます。
アリや昆虫たちとのユニークなアドベンチャーを通して伝えるのは、秩序や仲間を思う心の大切さ。子どもはもちろん、大人もぜひ観てほしい作品です。
トム・ハンクスが『ポーラー・エクスプレス』(’04年)に続いて製作を手がけたフルCG長編アニメーションで、声優には、ニコラス・ケイジ(アリの魔術師ゾック)、メリル・ストリープ(女王アリ)、ジュリア・ロバーツなど、豪華スターが顔を揃えています。