映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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クリスマス・キャロル

誠実に生きることの大切さを伝えるクリスマスの出来事
革新的な3D映像と感動的な物語が見事に融合

2009年にディズニーが文豪チャールズ・ディケンズの不朽の名作『クリスマス・キャロル』を3DCGで映画化した本作は、人を愛し、善良に生きる大切さを伝えた原作の素晴らしさ、映像を立体的に見せる3D映画の楽しさを改めて示した秀作です。

ジム・キャリーが嫌われ者の主人公スクルージの声と3Dアニメーションで描かれるキャラクターの動きを担当。子どもから現在までのスクルージや3人のゴーストなど、7つのキャラクターを演じ分け、芸達者ぶりを発揮しています。

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【ストーリー】
ロンドンで金貸業を営むスクルージは強欲で冷酷な男。ビジネスパートナーのマーレイの死に悲しみも見せず、棺に横たわるマーレイの両まぶたから銅貨をひったくる罰当たりな行為で葬儀屋を驚かせます。
それから7年後、1843年のクリスマス・イブ。聖なるクリスマスの到来に沸き立つ人々を横目にスクルージは「金にも仕事にもならないクリスマスなどめでたくない」と渋い顔。クリスマスのディナーに誘う甥フレッドを追い返し、家族でクリスマスを祝うために休暇を願い出る事務員クラチットには減給を言い渡し、貧しい人々への寄付を請われれば、「余分な人口は減った方がマシだ」と毒づきます。
その晩、1人で寝ているスクルージの元に、重い金庫のついた鎖を全身に巻きつけ苦しむマーレイの亡霊が現れます。マーレイは怯えるスクルージに告げます。「これは生き方を間違えた結果の姿。これから3人の精霊が訪れるだろう。お前にはまだやり直す時間がある」と。

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窓越しに外を眺めているような奥行き感、劇場全体に雪が降っているような臨場感など、不思議な感覚をもたらす精巧な3D映像に驚かされます。何気ない町の光景にさえ目を奪われ、一気に物語世界に引き込まれます。

心底憎らしいスクルージが、「過去」「現在」「未来」の3人のクリスマスの亡霊たちと出会ったことで改心する物語。スクルージの「過去」に何があったのか、人々は「現在」のクリスマスをどう過ごしているのか、そして、スクルージにはどんな「未来」が待ち受けているのか。

物語の要となる3つのエピソードは映像はもちろん、感情移入を誘う人間ドラマも見応えがあります。なかでも慎ましくも、温かいクラチット家の生活を描く「現在」のエピソードには思わず涙を誘われます。スクルージ同様、観ている方も心を改めずにはいられません。

製作・脚本・監督は、『フォレスト・ガンプ/一期一会』のアカデミー監督ロバート・ゼメキス。アニメと実写を融合させた『ロジャー・ラビット』、リアルな人間の表情にこだわったフルCGアニメ『ポーラー・エクスプレス』など、革新的な映像表現に挑み続ける監督の挑戦が本作で見事に結実しました。


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