映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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ロケットマン(2019)

エルトン・ジョンの哀しみの半生を
自身の名曲で綴る、壮大なショーが開幕!

栄光を極めた伝説的ミュージシャンの、栄光の陰にある苦悩と挫折を描くミュージカル伝記映画です。

2018年に製作され、世界的ブームを巻き起こした映画『ボヘミアン・ラプソディ』のクイーンに続いて登場するのは、イギリスが誇る人気ポップスター、エルトン・ジョン

ラブソングのスタンダード『Your Song(僕の歌は君の歌)』や、メロウなロックナンバー『Goodbye Yellow Brick Road (黄昏のレンガ路)』など、若き日のエルトンの情熱がほとばしる1970年代の名曲を中心にして描かれるのは、スターダムへと駆け上がる一方で、ひたむきに愛を求め続けた孤独なエルトンの姿です。

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【ストーリー】
映画冒頭、背中に羽の付いたド派手な衣装で闊歩するエルトン(タロン・エガートン)が登場してきます。勢いよく入ってきたのはステージではなく、依存症患者たちが集まるリハビリ施設。スーパースターとなってからアルコールや薬物依存に陥ったエルトンが、彼を苦しめた過去と対峙する形で物語は進みます。

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厳格な軍人の父や自由奔放な母の愛に飢えた少年時代を過ごす一方で、神童と呼ばれるほど、ピアノの才能に恵まれたエルトンは、寂しさを紛らわすかのように、ロックに傾倒し、ミュージシャンを志します。そして、レコード会社の公募広告に応募し、『Your Song』の作詞をするなど、名パートナーとなるバーニー・トービン(ジェイミー・ベル)と出会います。

その後、バーニーと共に数々のヒット曲を生み出し、一躍スターとなったエルトン。しかし、売れ続けるプレッシャーとともに、彼を苦しめたのは人間関係でした。

マネージャーで恋人でもあるジョン・リード(リチャード・マッデン)との報われない愛、自分を見放した父との非情な再会、そして、バーニーとの決別。素晴らしい音楽と圧巻のステージパフォーマンスで世界中のファンを楽しませる一方で、求める人に愛されない、満たされない思いを抱えたエルトンの心は壊れていきます。

製作総指揮にも名を連ねるエルトン・ジョン自らが10年以上前に立てた企画だといいます。70歳を超えながら、まだまだ現役のエルトンには自伝映画は早いような気もしますが、思い通りにならない人生を乗り越えて、輝いたエルトンの姿は、観る者にささやかな勇気と希望を与えてくれます。

エルトンの悲哀とシンクロするように生まれた名曲たちですが、そんなことは微塵も感じさせなかったエルトンのエンターテイナーぶりに改めて感服します。そんなエルトンの思いを尊重した本作は、彼が繰り広げたダイナミックで、ファンタジックなステージを彷彿とさせる、壮大なエンターテイメント作に仕上がっています。

独創的なエルトンになり切り、全編自分で歌った主演のタロン・エガートンのパフォーマンスにも拍手を贈りたいです。

ロケットマン (字幕版)

ロケットマン (字幕版)

  • 発売日: 2019/11/27
  • メディア: Prime Video


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