映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ(2009)

激動の人生を歩むジョン・レノンの最初の試練
2人の“母”の間で揺れるジョンの切ない青春時代を描く

ビートルズ結成前、母の愛を求めて苦悩したジョン・レノンの青春時代が描かれます。

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【ストーリー】
1950年半ばのリバプール。ジョン(アーロン・ジョンソン)は幼い頃から伯母ミミ(クリスティン・スコット・トーマス)の家で育てられました。厳格なミミに対し、伯父ジョージ(デヴィッド・スレルフォール)は温かい人柄で、生意気で素行不良のジョンの良き理解者でした。ところが、ジョンが14歳の時、ジョージが急死。その後、ジョンは実母ジュリア(アンヌ=マリー・ダフ)がすぐ近所に住んでいる事を知らされます。

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そばにいるのに、長らく実母に会えなかった、というジョンの境遇に少なからずショックを覚えました。

ビートルズのメンバーとして一世を風靡した後、大スターの宿命とも言うべき栄光と葛藤に満ちた人生を歩んだジョン。その激動の人生は青春時代から始まっていたのです。

ジョンはミミに内緒でジュリアと会うようになります。陽気で奔放なジュリアは、ジョンにありったけの愛を注ぎますが、ジョンは新たな家族を持つジュリアとの距離を感じます。さらに、ジュリアに会うことを禁じたミミに反発したジョンは自分の居場所を見失ってしまいます。

“生みの母”と“育ての母”。姉妹でありながら対立する2人の“母”を持つジョンが、辛い過去と向き合い、乗り越え、成長する姿が丁寧に描かれ、深い感動を呼びます。

主演の新鋭アーロン・ジョンソンが破天荒なのに繊細なジョンに見事になり切り、観る者をジョンの青春時代へとタイムスリップさせてくれます。

ジュリアの影響で音楽に目覚めたジョン。学校の友達と初めてのバンド「クオリーメン」を結成し、ポール・マッカートニージョージ・ハリスンと出会うエピソードなど、ビートルズのルーツにも触れられ、興味深いです。

2人の母の存在に揺れ、荒れるジョンを、ポールがいさめるエピソードには、2人の深い縁と強い絆を感じずにはいられません。2人は出会うべくして出会ったのです。

主題歌はジョン・レノンの『マザー』。この映画により、切ない歌詞の意味が鮮明になると、涙なくしては聴けません


ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ [Blu-ray]


「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」オリジナル・サウンドトラック