レネー・ゼルウィガーの面目躍如
魂を揺さぶるパフォーマンスは必見
栄光を極めたスターはなぜ波乱の人生を歩むのでしょうか?
1939年に公開されたミュージカル映画『オズの魔法使』で、聡明で勇敢なヒロイン、ドロシーを好演し、17歳で一躍スターダムを駆け上がったジュディ・ガーランドも悲哀に満ちた人生を送りました。
本作は、47歳の若さで死去したジュディの最後のステージを通して、落ちぶれた後半生を送ることになったジュディの苦悩と、スターとしての輝きを見事に描き出しています。
***********
【ストーリー】
1968年、度重なる遅刻や無断欠勤のせいで、映画オファーが激減したジュディ(ㇾネー・ゼルウィガー)は2人の子どもたちを引き連れ、巡業ショーで生計を立てていました。ホテルの宿泊費を滞納して追い出され、やむなく元夫のシド(ルーファス・シーウェル)の家へ身を寄せます。シドとは子どもの親権をめぐり、もめていました。
そんなとき、ジュディにイギリスのクラブ〈トーク・オブ・ザ・タウン〉からショーの依頼が舞い込みます。ジュディは愛する子どもたちとの生活を守るため、単身でロンドンへ向かいます。
***********
初日のステージ前に、プレッシャーから薬と酒を飲みすぎ、酩酊状態になってしまってしまうなど、情緒不安定なジュディが一歩ステージに上がると一流のエンターテイナーと化し、観客を魅了します。
この驚くべきギャップを鮮やかに表現したレネー・ゼルウィガーはアカデミー賞主演女優賞ほか、数々の賞に輝きました。全曲をレネー自ら歌い、踊るステージが圧巻で、6年間の休業を経て復帰したものの、かつての面影を失い、活躍しきれていなかったレネー自身の華麗な復活劇にも胸が熱くなります。
かつて「虹の彼方に夢がある」と歌い、人々に希望を与えたジュディでしたが、実情は映画会社の厳しい管理に苦しめられていました。スターで居続けるために薬漬けにされており、その影響で薬に依存し、最後には鎮静剤の過剰摂取で急逝してしまいます。
傑出した歌の才能のために、皮肉な運命に翻弄されながらも、歌い続けたジュディ。今なお、多くの人々の心を捉える代表曲『オーバー・ザ・レインボー/虹の彼方に』のパフォーマンスが涙を誘います。