映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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終着駅 トルストイ最後の旅(2009)

偉大な理想主義者を夫に持った妻の悲劇
トルストイと妻が辿る壮絶な晩年

ロシアの偉大な文豪トルストイが晩年、48年連れ添った妻ソフィアと繰り広げた愛憎の日々が描かれます。

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【ストーリー】
物質主義や宗教を否定し、愛や平和、平等を追求する人道主義を唱えたトルストイクリストファー・プラマー)は多くの熱き信奉者を生み出しました。その1人、ワレンチン・ブルガコフ(マイケル・マカヴォイ)はトルストイの弟子ウラジミール・チェルトコフ(ポール・シアマッティ)により、トルストイの助手に採用されます。そして、トルストイの遺言を巡る争いと、その衝撃的な死に立ち会うことになります。
トルストイは自らの理想を貫くため、自作の著作に関する権利をロシア国民に与えようとしていましたが、財産を奪われる事になる妻のソフィア(ヘレン・ミレン)は断固反対します。

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トルストイの理想を理解しなかったことから、世界3大悪妻の1人とまで言われるソフィアですが、彼女の主張にも一理あるのではないでしょうか?

ソフィア、またトルストイ自身が本当に求めたものは何だったのか。映画は、純粋な夫婦愛が許されなかった2人の心の葛藤を圧倒的な迫力で描いていきます。

48年、苦楽を共にした夫婦の心の底には愛が息づいているように見えます。しかし、即物的な妻の元から永遠に去る覚悟を決めたトルストイは82歳で家出、田舎の駅でその生涯を終えます。

ソフィアは彼の最期に立ち会うことが認められませんでした。夫が偉大な理想主義者である夫婦の複雑な愛は悲しく、切ない結末を迎えますが、理想家の若者ワレスチンが真実の愛を見つける契機ともなります。

監督・脚本は『素晴らしき日』『ソードフィッシュ』のマイケル・ホフマントルストイの遺産をめぐる攻防という歴史的事実から、美しく、崇高な愛の物語を生み出しました。

ヘレン・ミレンクリストファー・プラマーら名優の熱演に支えられ、見応えのある作品に仕上がっています。


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