映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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永遠の門 ゴッホの見た未来(2018)

孤高の画家ゴッホの謎めいた生涯と創作の秘密に迫る
圧倒的な映像美で魅せるアートエンターテイメント作

美術史上最も人気の高い画家の一人として知られる、印象派の巨匠フィンセント・ファン・ゴッホ

しかし、彼の作品が世に認められたのは、彼の死後のことで、そんな不遇な境遇も、ゴッホが人々の心を捉える一因ではないでしょうか?

本作では、代表作「ひまわり」を始め、自然をモチーフにした色彩豊かな名画を生み出す一方で、衝撃的な耳切事件を起こすなど、心の闇を抱えたゴッホ37歳で謎の死を遂げるまでの激動の10年間が描かれます。

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【ストーリー】
パリで認められなかったゴッホウィレム・デフォー)は、27歳の時に、親友の画家ゴーギャンオスカー・アイザック)の勧めに従い、南フランスのアルルへ向かいます。そこで美しい自然に出合い、感動したゴッホは、意欲的に創作活動に打ち込むことに。
ところが、地元の人々とのトラブルや、同居を始めたゴーギャンとのいさかいなどから、ゴッホはたびたび精神を病んでしまいます。周囲からは危険人物とみなされ、ゴーギャンにも去られ、絵がまったく売れない、孤独で絶望的な日々の中でも、ゴッホは自分の使命を信じ、情熱的に絵を描き続けます。

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監督・共同脚本は、『バスキア』('96年)、『潜水服は蝶の夢を見る』('07年)などを手がけたジュリアン・シュナーベル。画家として活躍した後、映画監督となった偉才による、こだわりの映像世界が堪能できます。

特に、ゴッホにインスピレーションを与えた、美しく、心地よい自然の光景は必見。シュナーベルを含む画家チームが描いた130点ものゴッホの絵画も登場します。

主演のウィレム・デフォーは63歳でありながら、27歳~37歳までのゴッホ役に挑戦。闇が深いゴッホの複雑な心情を繊細かつ情熱的に表現し、2018年度の第75回ヴェネチア国際映画祭男優賞を受賞するなど、高い評価を受けました。

悩めるゴッホがなぜ素晴らしい作品を描くことができたのか。不遇なゴッホに丁寧に寄り添ったスタッフ、キャストの温かい心が生み出した至高のアートエンターテイメント作品です。

本作で実りある芸術の秋を楽しんでほしいです。


永遠の門 ゴッホの見た未来 [ ウィレム・デフォー ]


永遠の門 ゴッホの見た未来(字幕版)