ボディガード(1992)
ケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストン
人気絶頂の2人がまぶしい王道ラブストーリー
私のラブストーリー映画“ベスト3”からの続きです。まずは第3位から……、
【ストーリー】
かつてロナルド・レーガン米大統領のシークレットサービスをしていたフランク(ケビン・コスナー)は脅迫状が届いた人気歌手レイチェル・マロン(ホイットニー・ヒューストン)のボディガードを依頼されます。
しかし、当のレイチェルやスタッフたちには危機感がなく、フランクを邪魔者扱いする始末。呆れたフランクはボディガードを降りようとしますが、フランクがレイチェルの危機を救ったことから、2人は距離を縮めていきます。そして、一夜を共に過ごします。
ところが、依頼人と関係を持ったことを後悔したフランクはレイチェルと距離を取ります。
フランクに突き放されたレイチェルは当てつけのように身勝手な行動をしますが、脅迫電話を受け、激しく動揺するレイチェルを救ったのはフランクでした。
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ブライアン・デ・パルマ監督の犯罪アクション『アンタッチャブル』(’87年)での正義感溢れるエリオット・ネス捜査官役で一躍脚光を浴びたケビン・コスナーは、その後、監督・主演を務めた『ダンス・ウィズ・ウルヴス』(’90年)がアカデミー賞作品賞を受賞するなど、ハリウッド屈指の人気俳優になりました。
ダンディで渋くて、カッコいい! そんなケビンが満を持してのラブストーリー映画出演で、陰ながら女性を守るボディガードを好演し、さらに人気を高めました。
でも、本作以降も、主演作が毎年公開され、『ウォーターワールド』(’95年)や『ポストマン』(’97年)といった大作を監督したケビンですが、作品の評価は徐々に下降し、正直言って、あまりパッとした活躍がないのは残念なところ。この『ボディ・ガード』がケビンにとっては、キャリアの絶頂と言えるのではないしょうか。
といっても、2000年代以降はクセの強い作品への出演が多く、ラブストーリーにはほとんど出演していないので、あまりハリウッド的王道映画には興味がないのかもしれません。そういう意味でも、本作のクールな好漢は貴重だと思えます。
ヒロイン役には、R&Bの歌姫ホイットニー・ヒューストンが抜擢され、映画女優デビューを飾りました。私も高校時代には、彼女のデビューアルバム『そよ風の贈りもの』(’85年)、『ホイットニーII』(’87年)を聴きまくり、ソウルフルな美声に痺れまくっておりました。
本作も、ホイットニーの歌う主題歌『I Will Always Love You』が映画を活き活きと輝かせ、多くの人々の心を捉えました。特にフランクがレイチェルを命がけで救うクライマックスシーンは絶妙なタイミングでサビがかかり、ドラマチックな名シーンとなっています。ケビン・コスナーがイイ男過ぎるベタベタな演出ですが、何度観ても息をつめて、見入ってしまいます( ´艸`)
ちなみに、私はサントラに入っているアップテンポな『I am every woman』が大好きです!
脅迫事件の真相にはちょっとご都合主義的な面もありますが、フランクとレイチェルのすれ違いの愛を描くもどかしい展開が見どころの、“ザ”・ラブストーリーです。2人の愛の行方がどうなるのか? “これぞ、大人の恋”と思わせる、さり気ないラストも私は気に入っています。
ただ、一つ残念なのは、本作出演直後に結婚し、不遇の私生活を送ることになったホイットニーが2012年、48歳の若さで急逝してしまったことです。ホイットニーがまばゆいばかりのスポットライトの中で歌っているシーンは、今観ると、ちょっとだけ切ない気分になります。ケビン・コスナーは彼女の葬儀で17分に渡る弔辞を読んだそうです。
自らを投影したようなスター役に挑戦し、素敵な映画と音楽を遺してくれたホイットニーに心から拍手を贈ります。
ボディガード スペシャル・エディション [ ホイットニー・ヒューストン ]