映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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G.I.ジェーン(1997)

デミ・ムーアが孤高の女性海軍大尉に!
女性の底力を見せるサバイバルアクション

ゴーストになった、見えない恋人との切ない愛を描いた傑作ラブストーリー『ゴースト/ニューヨークの幻』(’90年)で世界的なブレイクを果たしたデミ・ムーア。『ゴースト~』の大ヒットはストーリーの面白さもさることながら、ショートカットのデミ・ムーアがとってもキュートだったからだと思います。

一躍スター女優になったムーアはその後、1991年から1997年の本作まで、毎年、主演作や主演級の作品に出演しましたが、実はそのうち、5度ゴールデンラズベリー賞の最低主演賞候補になり、受賞も3度しています💦。

『ゴースト~』のキュートな面影もどこへやら、斬新な切り口で描かれた女性像を演じてきたデミ・ムーア女優魂はついに米海軍の扉を叩きました。

本作でデミが扮するのは、湾岸戦争へ志願するほどの強い意志をもった女性将校オニール大尉です。

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【ストーリー】
アメリカ海軍情報局に所属するジョーダン・オニール大尉(デミ・ムーア)は性差別撤廃を政治政策にする野心家の女性議員(アン・バンクロフト)によって、男の牙城SEAL(海軍エリート偵察部隊)の訓練テストに送り込まれます。そこは男性でも60%が脱落する地獄の訓練プログラムでした。
オニールはたった1人の女性だったことから男性たちから蔑視されますが、頭を刈って坊主になり、男性隊員たちとともに過酷な訓練に挑みます。
そんな彼女はマスコミの恰好のネタとなり、“G.I.ジェーン”と書き立てられます。さまざまな試練が彼女を襲い、めげそうになる時もありましたが、突如、実戦に参加するチャンスがやってきます。

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原案は女流作家ダニエル・アレキサンドラ。そして企画段階からデミも製作にかかわっており、並みいる男性たちを相手に孤軍奮闘するヒロインの物語は女性たちの手で創り出されたものでした。

しかし、決して性差別の撤廃を声高に唱えた女性讃歌ではありません

脚本は『逃亡者』(’93年)のデビッド・トゥーヒー、監督にはリドリー・スコットを起用し、地獄の訓練だけではないヒロインを苦しめる状況をリアルに、そしてシニカルに描いています。

一歩間違えばデミ・ムーアのプロモーションビデオにもなりかねない題材ですが、リドリーの造形の深い女性描写に助けられ、女性2人の華麗な逃避行を描いた秀作ロードムービーテルマ&ルイーズ』(’91年)を彷彿させる爽快な作品に仕上がっています。

オニールに壮絶なしごきをするウルゲイル曹長に『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのアラゴルン役でブレイクする前の、ヴィゴ・モーテンセンが扮しています。

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と、私はなかなか楽しめたのですが、本作でも、ゴールデンラズベリー賞最低主演女優賞に輝いてしまいました💦。(それもむべなるかなと、思わせる部分もあるのですが……。)


G.I.ジェーン [ ヴィゴ・モーテンセン ]