映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

人生に迷えるアラフィフ女性が、映画を通して人生について考える。ネタバレなしの映画レビューサイト。

マウス・ハント(1997)

憎たらしくも、お茶目なネズミに翻弄されまくり
シュールで味のあるドタバタコメディ

フィルム冒頭、どしゃぶりの雨の中での出棺シーン。棺のそばで口論するふたりの兄弟がはずみから父の遺体を放り投げてしまいます。宙高く舞う遺体はそのままマンホールの中にドボン!

そんな、まぬけな兄弟が1匹の天才ねずみを追い出すために壮絶なバトルを繰り広げる本作は、古き良きアメリカのTV番組を彷彿させる味のあるコメディです。

********

【ストーリー】
製糸業で財を築いた実業家ルドルフ・シュワルツマンが亡くなり、2人の息子が遺産を継ぐことに。楽天家の弟・ラーズ(リー・エヴァンス)はすでに傾いた製紙工場を守ろうとする一方、レストランのオーナーシェフとして成功していた兄・アーニー(ネイサン・レイン)は目ぼしい財産のない遺品にほとんど興味を示しませんでした。
しかし、父の遺産が起こしたハプニングのために、悲惨な境遇に陥ってしまった兄弟は、仕方なく父の遺産の廃屋で寝泊まりすることにしますが、なんと、そこが高名な建築家の作品であることを知ります。
そこで、すぐに売ろうと計画を立てますが、家に住み着く1匹の賢いネズミがことごとく邪魔をします……。

********

ネイサン・レイン演じる野心家で利己的な兄と、リー・エバンス演じる誠実だが気弱な弟とのキャラクターの妙も最高で、たった1匹のねずみ退治が思わぬ展開を見せます。

憎たらしいけれど、とってもお茶目なねずみには、演技指導(?)をした約60匹の本物のねずみとハリウッドの名門特殊効果スタジオ、スタン・ウィンストン・スタジオによるアニマトロニクス(ロボットを使った視覚効果)が使われています。

元々、ねずみは賢い動物ということですが、人間の罠をかいくぐって縦横無尽に走り回るシーンでは1カットの中で理想どおりのスムーズな動きを撮影したというから驚きです。

『ベイブ』のリズム&ヒューズ社が視覚効果を担当した、わずか体長10センチのスーパーねずみの名演をとくとご覧ください!

ザ・リング』(’02年)、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ3部作(‘03~’07年)を手がけたゴア・ヴァービンスキー監督のデビュー作で、スマッシュヒットを記録しました。

本作を観れば分かりますが、ヴァービンスキー監督はかなり癖のある作風なので、『パイレーツ~』などの超メジャー級のハリウッド娯楽作の監督に抜擢された時は驚きましたが、その独特な“癖”が新味となり、多くの人々に受け入れられたのはうれしいかぎりです。


マウス・ハント (字幕版)