映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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ファースト・マン(2019)

ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督が描く
リアルでドラマチックな宇宙飛行と “ファースト・マン”の真実

アカデミー賞6部門に輝いた大ヒットミュージカル映画ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督が次作に選んだのは、宇宙をテーマにした壮大なエンターテイメント作品でした。

アポロ11号世界初の月面着陸に成功した宇宙飛行ニール・アームストロング、“ファースト・マン”を主人公に、1960年代にアメリカが推進した宇宙計画の顛末が描かれます。

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【ストーリー】
1961年、空軍でテストパイロットを務めるニール・アームストロングライアン・ゴズリング)は、幼い娘を亡くした悲しみから逃れるように、NASAジェミニ計画の宇宙飛行士に応募し、合格します。
家族とともにヒューストンへ移ったニールに、有人宇宙センターでの訓練と講義の日々が待ち受けます。

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東西冷戦真っただ中の1960年代、ソ連としのぎを削ったアメリカの宇宙計画は試行錯誤、そして失敗の連続でした。

死亡事故を起こしながらも、前人未踏の夢の世界を目指した宇宙計画のエピソードはドラマチックな題材として、活字や映像など、さまざまな媒体で語り尽くされています。本作でも、1969年にニールが成し遂げた月面着陸までの道のりが丁寧に綴られています。

ライバルであり、命を支え合う仲間でもある宇宙飛行士たちの友情物語や、過酷な訓練や宇宙飛行シーンなど、おなじみのエピソードが描かれますが、本作の持ち味は2点あります。

ひとつは、ニールの内面を深く掘り下げたこと。歴史に名を残しながら、無口でプライベートを語らない人物として知られるニールから、映画化の許可を得たのは、製作のオファーから2年後だったといいます。

感情を表に出さず、常に冷静沈着なニールを捉えた映画は、静かで、やや重苦しい印象も受けますが、命を懸けた重大なミッションに真摯に臨むニールの偉大な人間性をリアルに感じさせます。

ふたつ目は、まるで映画の世界に入りこんだかのようなダイナミックな映像体験です。宇宙船の振動が伝わるような宇宙飛行シーンは、緊迫感に溢れ、宇宙飛行の困難さと恐怖を味わうことができます。

クライマックスの月面着陸シーンは、IMAXの65ミリカメラで撮影。細部まで鮮明に映された映像により、観る者に月面着陸を体感させる試みに挑んでいます。

複雑な人間心理を巧みに描いた『セッション』、幻想的な夢の世界を描いた『ラ・ラ・ランド』など、独特な人間ドラマと映像表現に定評のあるチャゼル監督ならではの世界観が広がっています。


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