映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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フラバー(1997)

コミカルなロビン・ウィリアムズを脇にまわすのは、
ILMの最新テクノロジーを結集させたすごいヤツ

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(’97年)で、初めてアカデミー最優秀助演男優賞に輝いたロビン・ウィリアムズが同年に出演した本作は、もうひとつの助演(?)作品です。

主演はもちろんフラバーです! といっても、フラバーとは単なる緑色のくねくねした物体。しかし、これが、ジョージ・ルーカスが創始した、世界最高峰の特殊視覚効果を誇るVFX工房、ILM(インダストリアル・ライト&マジック)の最新テクノロジーを結集させたすごいヤツなのです。

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【ストーリー】
底抜けにうっかり者の天才科学者フィリップ教授(ロビン・ウィリアムズ)は研究に没頭すると周囲が見えなくなってしまいます。そのため、勤めている大学の学長で婚約者のサラ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)との結婚式を2度もすっぽかしていました。最後のチャンスとなった3度目の結婚式の当日、フィリップは長年研究していた究極のエネルギー体“フラバー”の発明に成功し、またまた結婚式をすっぽかしてしまいます。
当然、サラは激怒し、フィリップとの別れを切り出します。しかし、フィリップは資金難の大学を救おうと考えます。

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フラバーとは空飛ぶゴム(フライング・ゴム)のことで、自由自在に形を変えますが、その動きはいたってナチュラル。しかも目も鼻も口もない、ただの塊なのに悪戯好きの子供のようなパーソナリティを持っています。この世紀の発明をめぐる大騒動が夢溢れる映像で描かれていています。

1961年に大ヒットしたコメディ『うっかり博士の大発明フラバァ』をリメイク。製作・脚本はホームアローン』のジョン・ヒューズ、監督は『34丁目の奇蹟』('94 年)のレス・メイフィールドが手掛けています。

完全に子どものためにディズニー映画ですが、製作時の最新技術をふんだんに使った、実に野心的な映画です。

もう一人(?)助演女優賞にも匹敵する演技を見せているロボット、ウィーボの演技にも注目。そして、何より、天然ボケのフィリップを楽しそうに演じている、コミカルなロビン・ウィリアムズがたっぷり見られるのもうれしいです。

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【素顔のロビン・ウィリアムズ

ロビン・ウィリアムズは'98年に『フラバー』、'99年に『パッチ・アダムズ』、’00年に『アンドリューNDR114』と3年連続、映画のプロモーションのために来日しました。

これは作品に対する意気込みの表れか、相当な親日家か、とにかく映画メディアに携わる者にとっては貴重な俳優であることには間違いなかったですが、同時に彼は記者泣かせとしても有名でした。

なにしろロビンの登場とともに有名俳優を待ちかまえる記者会見場の緊迫した雰囲気は一転、コメディクラブの様相を呈し、質問などそっちのけでスタンダップコメディショーが始まります。そして記者たちは笑い涙を流すのです。

ロビンの得意芸は何と言っても物まねです。「もしもこんな人が『ハムレット』をやったら」といきなり始めたのが、【低音で暗くつぶやくスタローン】、【ターミネーターの悪漢ばりのシュワルツェネッガー】、【陽気なジャック・ニコルソン】、【食べることが好きなマーロン・ブランド】。

さらに、ロバート・デ・ニーロや、その当時、天才子役として注目を集めていた『シックス・センス』のハーレイ君の物まねもやってくれました。

また、ある年の記者会見では、最前列の記者のビデオカメラを取り上げて、当時話題になっていた『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の一幕を演じてくれました。自分で持ったビデオカメラに向かって決死の演技をするあの場面です。

ただ、贅沢なエンターテイメントショーの代償なのでしょうか、ロビンが映画の質問にまじめに答えるのはほんのわずかで、いつもギャグ6+下ネタ4で切り返されてしまい、本当に記者泣かせ(´;ω;`)。

でも、特徴をついた見事な模写や、人を幸せな気分にさせるパフォーマンスには、その裏にある研究熱心さと、きめ細やかな一面をうかがうことができました。

さて、『アンドリューNDR114』は映画俳優活動の一時休業を宣言したロビンが、休業直前に出演した作品で、本作以降、映画PRで来日することはありませんでした。

とっても明るいロビンでしたが、アルコール依存症になるなど、長年、心の病
心の病を抱えていたようですね。彼の弾けるような笑顔が本当に恋しいですね……。


フラバー (字幕版)


フラバー [ マーシャ・ゲイ・ハーデン ]