映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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シェイプ・オブ・ウォーター(2007)

鬼才ギレルモ・デル・トロ監督の究極のラブファンタジー
“愛する者を助けたい”というピュアな想いが奇跡を起こす

ダーク・ファンタジーの鬼才、『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロ監督が、そのたぐいまれなる才能を発揮。孤独な女性と異形の生物とのラブストーリーを、夢のように美しくも切ない、究極のファンタジーに仕上げました。

2008年度の第90回アカデミー賞では最多13部門にノミネート。作品賞を含む4部門を受賞しました。

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【ストーリー】
時は1962年。1階が映画館という風変わりなアパートに1人で暮らすイライザ(サリー・ホーキンス)は、アメリカ政府の機密機関である“航空宇宙研究センター”で夜間の清掃員として働いています。
子どもの頃のトラウマから声を出せないけれど、職場と家を往復するだけの生活では特に不便はありませんでした。
ある日、航空宇宙研究センターにものものしい警備のもと、不思議な生物が運びこまれます。アマゾンの奥地で現地の人々に神と崇められていたという、その生物を偶然目にしたイライザは、“彼”(ダグ・ジョーンズ)の奇妙だが、神々しい姿にひと目で心を奪われます。
自分の大好物のゆで卵をあげたり、レコードを持ち込んで音楽を聴かせたり、ダンスを踊ったり……、イライザと “彼”はゆっくりと心を通わせていきます。そして、その生物が生体解剖されることを知ったイライザは、“彼”をセンターから連れ出そうと試みるのです。

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冷戦時代のアメリカの不穏な雰囲気、半魚人のような姿で凶暴な一面も持つグロテスクな“彼”や、内向的でつつましいイライザなど、恐怖と哀愁に満ちた、デル・トロ監督ならではの不思議な物語世界が広がります。

イライザと“彼”との一見、滑稽なラブロマンスに引き込まれるのは、2人はもちろん、彼らを取り巻くキャラクター造詣が豊かだからでしょう。イライザの心優しき友人で、売れない画家のジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)の“絆”を渇望する気持ち、イライザと“彼”を追い詰める威圧的な軍人ストリックランド(マイケル・シャノン)の徹底した恐ろしさなど、脚本も手掛けたデル・トロ監督が、俳優を当て書きしたというキャラクターは、物語に共感とリアリティを与えてくれます。

そして、特筆すべきは映像美。“水”がつなぐ、甘美で幻想的なラブシーンは必見の価値あり。

イライザの“愛する者を助けたい”というピュアな想いが奇跡を起こす波乱のクライマックスまで、デル・トロ監督が生み出した、独創的な映像世界にどっぷりと浸ってほしいです。


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