映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

人生に迷えるアラフィフ女性が、映画を通して人生について考える。ネタバレなしの映画レビューサイト。

ジュラシック・パークIII(2001)

スピルバーグからジョー・ジョンストン監督へ
ノンストップアクションとほのぼの感が楽しい第3弾

遺伝子操作で再生された恐竜と人間との闘いを、最先端の視覚効果技術を実現させ、大ヒットを記録した娯楽大作『ジュラシック・パーク』。1993年にスティーブン・スピルバーグ監督が手掛けた1作目から、実に29年となる今年2022年にはシリーズ6作目が公開される大人気シリーズです。

本作は1作目から8年後に公開されたシリーズ第3作。画期的なCGにより、忠実に再現された恐竜の迫力にただただ驚かされた1作目は、観客のみならず、映画製作者たちのアドレナリンをも刺激し、CGの飛躍的な発展に貢献しましたが、第3作では科学的根拠に基づいた、よりリアルな恐竜を完成させると同時に、謎に満ちた恐竜の神秘性をも表現しています。

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【ストーリー】
12歳の少年エリック(トレヴァー・モーガン)と母親の友人のベン(マーク・ハレリック)はコスタリカ沖でパラセーリングを楽しんでいました。空高く舞い上がる水上パラシュートに繋がれた2人が霧を突き抜けると、眼下にある高速艇の乗員が1人残らず消えていました。そして、漕ぎ手を失った高速艇の進路にはあのイスラ・ソルナ島がありました。
その8週間後、助手のビリー(アレッサンドロ・ニヴォラ)とともに恐竜の研究を続けていた古生物学者のアラン・グラント博士(サム・ニール)のもとへ、事業家のポール(ウィリアム・H・メイシー)とその妻アマンダ(ティア・レオーニ)が現われます。
2人は飛行機をチャーターし、恐竜が生息するというイスラ・ソルナ島上空をめぐるツアーのガイドをグラントに依頼します。グラントは研究資金の援助の見返りとして、島を上空から見学するだけという約束でポールたちに同行することにしましたが、約束に反して飛行機は島に着陸してしまいます。
実は夫婦はエリックの両親で、パラセーリング中に消息不明となったエリックを捜しに来たのでした。もちろん、事業家というのもウソでしたが、少年の命には代えられず、グラント博士は忌まわしい記憶を頼りにサイトBの奥へと向かいます。

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前2作を監督したスティーブン・スピルバーグが製作総指揮に専念することになり、『ロケッティア』『ジュマンジ』など、ファミリー向けのほのぼの系SFアドベンチャーに定評のあったジョー・ジョンストンが監督に大抜擢されました。

しかし、ジョンストン監督に超大作を託された気負いはまるで感じられません。のっけから体長13メートルの巨大肉食恐竜スピノサウルスで先制パンチを食らわせ、モンスターパニック映画としての期待を高め、全11種類に増えた恐竜を矢継ぎ早に見せます。

とはいえ、恐竜捕獲を目的とした前2作と比べると、恐竜の怒りもぐんと鎮まっているかのようにアクションシーンの迫力はやや控えめになりました。それはファミリー向けに徹した配慮だとも言えますが、やはりジョンストン的な穏やかな視点がなせる技でしょう。

そんなジョンストン監督の真骨頂はクライマックスの翼竜プテラノドンとの戦いで発揮されます。霧に煙った谷間で繰り広げられるバトルシーンのファンタスティックな情景は見ごたえがあります。

物語の舞台は2作目『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(’97年)に登場したイスラ・ソルナ島のサイトB。1作目でジュラシック・パークの恐怖を体験した生物学者グラント博士が再び主人公です。

歳を重ねて気骨さを増したというグラント博士役にサム・ニールが再登板しているのはうれしい限り。息子の危機に敢然と立ち向かう元夫婦に扮したのは『ファーゴ』のウィリアム・H・メイシーと『ディープ・インパクト』のティア・レオーニ。アクション作には縁遠い2人のややぎこちない姿も緊迫感とほのぼの感を与えています。

親子愛を描いたシンプルなストーリーで94分の短尺となりましたが、恐竜たちをテンポの良い演出で見せ、息もつかせぬノンストップアクションの醍醐味を存分に味わうことができます!


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きっと、うまくいく(2009)

人生の成功を手に入れるには?
学歴社会に物申す、とびきり楽しいインド映画

2010年のインド映画興行収入第1位を記録したコメディタッチのヒューマンドラマ。インド国内のアカデミー賞で作品賞を含む16部門に輝くなど、高い評価を受けています。

エンジニアを目指す若者たちが集まるインド屈指の難関工科大学を舞台に、学歴偏重の競争社会の弊害を、緩いユーモアを交えつつも力強く訴えた痛快な作品です!

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【ストーリー】
ファルラーン(R・マドハヴァン)は飛行機が飛び立つ寸前、ある知らせを受けて、慌てて飛行機を降ります。そして、大学時代の親友のラージュー(シャルマン・ジョーシー)の家へ駆けつけます。ラージューも、その知らせを受けて、寝起き姿のまま飛び出し、2人は10年ぶりに母校の工科大学ICEへ向かうことに。
彼らを呼び出したのは同窓生のチャトル(オミ・ヴァイディア)でした。今や大企業の副社長となったチャトルは「自分が一番成功している」と得意気ですが、その成功を見せつけたい相手のランチョー(アーミル・カーン)の姿はありませんでした。
ランチャーはチャトルにとっては憎きライバルでも、ファルラーンとラージューにとっては無二の大親友。そうして、3人は大学を卒業以来音信不通のランチョーを探しに行くことにします。

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映画の中心になるのは、大学時代の日々。大学時代に何があったのか? ファルラーンたちがランチョーに会いたい理由が徐々に明らかになっていきます。

IT先進国のインドで、エンジニアになることは成功の証。ファルラーンは親の期待に応えるため、ラージューは貧困に苦しむ実家を助けるため、難関工科大学のICEに入学しますが、学生たちは厳しい教育者のヴィールー学長(ボーマン・イラーニー)の下、支配的な教師たちに理不尽な扱いを受けることになります。

しかし、ランチョ―だけは屈せず、理系らしい明晰な頭脳と、子どものようにピュアな探求心、そして、生きていく上で大切な信念で窮地を切り抜けていきます。

ランチョ―の信念とは、「きっと、うまくいく」ということ。理不尽な状況に置かれたチョ―は、「うまーくいーくー」と小声で唱えるのです。映画の中では、Aal Izz Well”(アール・イーズ・ウェルとは、“all is well”の視覚方言)と言っているそうですが、実際に唱えてみると心が軽くなる言葉です。

インド映画特有のミュージカルシーンがあり、インターミッションを挟んだ2部構成で、3時間弱の長尺となりました。その中には、おかしくも、切ない学生時代のエピソードが満載されています。

ちょっぴり不思議君のようなランチョーの破天荒ぶりや、そんなランチョ―とファルラーンやラージューが親友になるきっかけ、チャトルがランチョーを敵視する理由、ランチョーの恋、大学生たちの夢と悩みなどが、コミカルに描かれていますが、鋭い社会風刺も込められています。

底意地の悪いヴィールー学長の酷い仕打ちにより、エンジニアとしての未来を閉ざされた大学生の中には自死を考える者も……。笑えないエピソードの後に見せるランチョーの姿に痺れます。

学歴偏重の競争社会を真っ向から否定するランチョ―が事あることに訴えるのは、「点を取るための勉強ではなく、学識を身に付けること。優秀なら、成功は付いてくる」。近年、IT産業で急速な発展を遂げ、世界で存在感を示すインドですが、その一方で、鬱になる学生が増え、90分の1人の学生が自殺をしているといいます。今やインドは世界1位の自殺大国なのだそうです。

そんなインドの闇をあぶり出した本作品。“社会での成功”を上回る“大切なもの”とは何なのか? 果たして現在のランチョ―はどうなっているのか? 膨大なエピソードの末にたどり着くラストシーンには思わずニヤリとしてしまいます。


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人数の町(2020)

何も考えず、「人数」として生きれば楽?
恐ろしくも魅惑的な「町」を描くリアル・ファンタジー

ディストピア・ミステリーと呼ばれる本作品。ディストピアとはユートピア(理想郷)とは正反対の世界、つまり暗黒世界の意味です。

「人数の町」とは、人が「人間」としてではなく、「人数」として存在するだけの町。そこは社会のしがらみも、人間同士の軋轢もない“気楽”な世界ですが、自我や理性を捨て、「人数」としての役目を全うすることが求められます。

そんな“不条理”、いや、考えようによっては“魅力的”な町へやってきた若者・蒼山を通して、現代人が抱える闇を描き出しています。

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【ストーリー】
借金取りから暴行を受けていた蒼山(中村倫也)は、黄色いツナギを来た男(山中聡)に助けられます。男は蒼山のことを“チューター”と呼び、「“居場所”を用意してやる」と話しました。
男に誘われるまま、不気味なバスに乗った蒼山は、とある「町」にたどり着きます。そこでは簡単な労働と引き換えに衣食住が保証され、深く考えなければ、気の合う仲間たちと楽しく、穏やかに暮らすことができました。
簡単な労働とは、ネットへの書き込みや、別人を装っての選挙の投票、デモへの参加など、単なる「頭数」になることでした。それが問題行為や犯罪であっても気にしません。「町」へ帰ればバレないのだから……。

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不気味な設定だけに、「町」の謎や住民たちの秘密が徐々に明らかになる過程がスリリングで引き付けられます。

中村倫也が得意のひょうひょうとした雰囲気を醸しだし、不思議な物語世界へ自然に誘います。

「町」の暮らしを堪能する謎めいた美女(立花恵理)や、失踪した妹を探すために仕方なくやってきた紅子(石橋静河)などと接するうちに、社会のレールから脱落した蒼山が選んだ道とは?

厳しい社会で「人間」として生きるか、愉楽の世界で「人数」として生きるか? 本当にどこかにあるかもしれない「町」の生活を疑似体験し、自分の人生について考えてみるのもいいでしょう。

第1回木下グループ新人監督賞・準グランプリ受賞作。突飛な舞台設定を巧妙に練り上げたのは、監督・脚本の荒木信二。これまで多くのCMやMVを手掛けてきましたが、本作で長編映画監督デビューを果たしました。


人数の町【Blu-ray】 [ 中村倫也 ]

アントブリー(2006)

いじめっ子はアリの生活を体験すべし!
小さなアリたちが秩序と思いやりの心を説く

ピクサー・スタジオが『トイ・ストーリー』(’95年)で成功させたフルCG 長編アニメーションは画期的な技術で、映像革命とも呼ばれています。

以来、本家のピクサーはもちろん、スピルバーグが創設者の1人でもある映画製作会社ドリームワークスの『シュレック』(’01年)、ブルー・スカイ・スタジオ製作『アイス・エイジ』(‘02年~)など、さまざまな生き物を擬人化したフルCG長編アニメが本当にたくさん登場しました。

シリーズ化されるほどの大ヒット作もあれば、そうでない作品もありますが(こちらの方が圧倒的に多いです)、“アリ”の生活を体験する少年のアドベンチャーを描く本作は、正直、どれほどの方が観たいと思ったでしょうか……(;^_^A。

しかしながら、アリだからこそ伝えられるメッセージがありました!

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【ストーリー】
10歳の少年ルーカス(声/ザック・ニーカス)は引っ越してきたばかりで、友だちができず、挙句の果てに近所のガキ大将にいじめられる始末。そこでルーカスはいじめっ子にからかわれたうっぷんを庭のアリ塚を壊すことで晴らしていましたが、アリにとっては生命の危機にほかなりません。怒ったアリたちは魔法の秘薬でルーカスをアリのサイズにして、巣穴へ連れ込んでしまいます。ルーカスが元の体に戻れる条件は、秩序やチームワークを重んじるアリの習性を身に付けることでした。

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“ブリー”とは英語で“いじめ”のこと。その気はなくても、弱い者への八つ当たりは立派ないじめです。いじめられっ子が相手を変えて、いじめっ子になってしまう、という、人間の心に巣くう身勝手な部分をさりげなく、えぐり出します。

「ルーカスみたいな人はいませんか」と、キュートなCGキャラクターが結構、耳の痛い話をしてくれます。

アリや昆虫たちとのユニークなアドベンチャーを通して伝えるのは、秩序や仲間を思う心の大切さ。子どもはもちろん、大人もぜひ観てほしい作品です。

トム・ハンクスが『ポーラー・エクスプレス』(’04年)に続いて製作を手がけたフルCG長編アニメーションで、声優には、ニコラス・ケイジ(アリの魔術師ゾック)、メリル・ストリープ(女王アリ)、ジュリア・ロバーツなど、豪華スターが顔を揃えています。


アントブリー [ ザック・タイラー ]

トップガン(1986)

ご存じ、トム・クルーズ出世作
‘80年代の熱き時代を感じさせるアクション映画

アメリカ海軍のエリート航空訓練学校、通称“トップガンを舞台に、若き海軍パイロット訓練生たちの成長と青春の日々を描くアクション映画。

1986年の全米興行収入1位を記録し、主演を務めた24歳のトム・クルーズを一気に世界的スターへと押し上げた本作は、ハリウッドを代表するアクション映画の一つと言えるでしょう。

トム扮するマーヴェリックが着用した米軍のフライトジャケットが若い男性の間で一大ブームになるなど、男女を問わず、若きトム・クルーズのカッコよさには一目置いてしまうはずです。当時、高校生だった私も、爽やかなトムの魅力にどっぷりハマった、懐かしい作品です。

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【ストーリー】
コールサイン“マーヴェリック”と呼ばれるピート・ミッチェル(トム・クルーズ)はアメリカ海軍の艦上戦闘機F-14パイロット。天才的な直観力と操縦技術を持つマーヴェリックは無鉄砲な飛行をして上官に睨まれることもしばしばでしたが、さらに高度なドッグファイト(空中戦)の教育を受けるため、相棒のグース(アンソニー・エドワーズ)とともにミラマー海軍航空基地のエリート航空戦訓練学校(通称:トップガン)へ派遣されることになります。

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トップガンに集まったパイロットたちによる熾烈な競争と友情、美しい教官チャーリー(ケリー・マクギリス)とマーヴェリックとの恋の駆け引き、そして、自信家のマーヴェリックを襲った悲劇からの復活など、ストーリー自体はオーソドックスな青春ドラマです。

でも、映像のセンスの良さが見応えある作品にしています。

映画冒頭、朝焼けの飛行場で戦闘機を整備するシーンをシルエットで映し出す静かな幕開けから、ケニー・ロギンスが歌う主題歌『デンジャー・ゾーン』をバッグに戦闘機が次々に大空へ飛び立っていくシーンへの繋がりに、ワクワクしてきます。

そして、やはりトム・クルーズの一挙一動に見とれてしまいます。大空を戦闘機で縦横無尽に飛び回ったり、夕日に照らされながらバイクで疾走したり、チャーリーを大胆に誘ったかと思えば、恋心が愛に変わると少年のような初心な一面を見せたり。屈強さと繊細さを併せ持つマーヴェリックを自然体で演じたトムもさることながら、トム・クルーズという好素材を、センスの良いシチュエーションに落とし込んだトニー・スコット監督ほか製作陣の演出手腕もほめるべきでしょう。

製作の1人には、『フラッシュダンス』(’83年)や『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ(’03年~)などを手がけ、今やアクション映画のヒットメーカーとして知られるジェリー・ブラッカイマーが名を連ねています。

シルエットで見せたマーヴェリックとチャーリーのラブシーンはオシャレで、ドキドキしてしまいました。

マーヴェリックのクールなライバル、アイスマンヴァル・キルマー、グースの妻にはメグ・ライアンなど、後に主演級のスターとなる俳優たちが脇を固めているのも見どころ。個人的には、陽気で心優しいグースを演じているのが、後に大人気テレビドラマ『ER』の主要キャスト、グリーン先生を演じるアンソニー・エドワーズだったことに驚きました。(よく見ないと同一人物とは思えません(;^ω^))

また、躍動感溢れる『デンジャー・ゾーン』、セクシーな『愛は吐息のように』など、サントラも大人気となりました。

近年は『ミッション:インポッシブル』シリーズなど、すっかりアクション俳優になってしまいましたが、まだまだハリウッドのトップスターとして君臨するトム・クルーズ。なんと、今年5月27日より『トップガン マーヴェリック』として、36年ぶりの続編が公開されます! 1作目に良い思い出のある身としては、一体どんな展開になるのか、観たいような、観たくないような、ちょっぴり怖い気がするのですが、やっぱり楽しみです( ´艸`)


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ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画(2019)

不可能に挑んだインドの火星探査ミッションとは?
ポジティブになれる楽しいインド映画

2014年、インドがアジアで初めて火星探査機「マンガルヤーン」の打上げに成功しました。その快挙までの軌跡をユーモラスに描いた本作は、インド映画らしいポジティブなパワーに溢れた作品です。

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【ストーリー】
2010年、インドの宇宙事業の命運をかけたロケットの打ち上げが失敗に終わります。それは、
インドの宇宙研究機関(ISRO)で、プロジェクトディレクターとして働くタラ(ヴィディヤ・バラン)の判断ミスでした。
タラはプロジェクト責任者のラケーシュ(アクシャイ・クマール)とともに、火星探査プロジェクトに移動させられてしまいます。技術力も予算も劣るインドにとって、火星探査機の開発など夢のまた夢で、2人はいわば「閑職」へ追いやられたのでした。
ラケーシュは実現不可能な火星ミッションに虚無感を感じていたものの、主婦のタラが「揚げパン」の作り方にヒントを得て、火星プロジェクトの可能性を見い出したことから、がぜんやる気に。ISRO幹部の反対を押し切り、火星ミッションに着手します。
ところが、期待されていないプロジェクトへ配属されてきたのは、経験の浅い人材ばかりでした。家庭問題に悩む妊娠中の女性設計士、NASAを目指す野心家の女性エンジニア、女性運が無い奥手の男性技術者、定年退職間近の老設計士など、壮大なプロジェクトの実現には頼りない面々でしたが、ラケーシュは前向きにプロジェクトに取り組み始めます。

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未熟な技術や低予算、天候の問題など、次々に訪れる困難をインドの“ジュガード”(創意工夫)の精神で解決していきます。その中心になるのが、鮮やかなインドの民族衣装サリーをまとった女性たちというのがこの作品の見どころでもあります。

彼女たちがプロジェクトもさることなら、女性ならではのプライベートやキャリアの悩みも軽やかに乗り越えていく姿がとても清々しい!

キャラクターのドラマチックなエピソードはフィクションでしょうが、不可能を可能にした奇跡の実話には、信念を貫き、前向きに生きることの大切さを改めて気づかされます。

インドで清潔な生理ナプキンの開発に成功した男性の実話を描き、スマッシュヒットを記録した『パッドマン 5億人の女性を救った男』(’18年)の主演・製作スタッフが再集結。

本作でも、インドの偉業を称えるとともに、観る者に希望と勇気を与えるインド映画の魅力を世界へ発信しています。


ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画 [ アクシャイ・クマール ]

レプリカント(2001)

アクション俳優ジャン=クロード・ヴァンダムが熱演
生まれたばかりのレプリカントの成長過程を追ったSFアクション


ローランド・エメリッヒ監督のSFアクション『ユニバーサル・ソルジャー』(’92年)、大ヒットを記録したタイムトラベルSFアクション『タイムコップ』(’94年)など、1990年~2000年代にかけて、肉体派アクション俳優として数々のアクション映画で活躍したジャン=クロード・ヴァン・ダム

本作は、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが極悪非道の連続殺人鬼と、純粋無垢なクローンという対照的な2役を演じたSFアクションです。

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【ストーリー】
刑事のジェイク(マイケル・ルーカー)は子持ちの母親ばかりを狙う殺人犯“トーチ”の逮捕に執念を燃やしていましたが、志し半ばに辞職してしまいます。
一方、NSF(国家安全局)は現場に残されたトーチの頭髪から彼の複製(レプリカント)を創造し、その記憶を頼りにトーチの正体を突き止めるという極秘プロジェクトを進めていました。
しかし、生まれたばかりのレプリカントジャン=クロード・ヴァン・ダム)は赤ん坊同然で成長を促す必要がありました。その教育係に選ばれたジェイクはトーチのDNAをすべて引き継ぐレプリカントに対して、再び殺人鬼を創造したのではと懐疑的になり、レプリカントを徹底した厳しさで調教します。

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連続殺人鬼のクローンを再生し、その記憶とテレパシー能力をもとに犯人を追跡するというプロットの作品で、主演は肉体派俳優ジャン=クロード・ヴァン・ダム。典型的なSFアクションに終始する恐れも否定できない要素の中で、キャラクターの個性を際立たせ、意外にも(!)見応えある人間ドラマに仕上がっています。

極悪非道な人間と純粋無垢なレプリカントという、まったく対極にある2役を演じ分けたヴァン・ダム。アクション映画にこだわる肉体派俳優が、抑えきれない感情に驚き、戸惑い、苦悩する究極のキャラクターへとぐいぐい引き込む妙演を見せています。

ジェイクとの生活の中でレプリカント人間性が表れ、成長していく姿に主眼が置かれており、レプリカントのドラマとして見るとラストに爽快感が味わえます。

しかし、トーチを凶悪犯行に駆り立てる動機が甘いため、トーチを追い詰めるアクションとして見ると肩透かしを食らいます。

いずれにしろアクション俳優のヴァン・ダムがいつになく演技に力を入れているのが見どころ。香港出身のリンゴ・ラム監督が、自身のハリウッド進出作『マキシマム・リスク』(’96年)で見事なタッグを組んだヴァン・ダムから再び新たな一面を引き出しました。


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