映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

人生に迷えるアラフィフ女性が、映画を通して人生について考える。ネタバレなしの映画レビューサイト。

ミルク(2008)

マイノリティーでもあきらめない!
希望を求めて突き進んだミルクの光と影の人生

1970年代、アメリカで初めて同性愛者を公表して、公職についた政治家ハーヴィー・ミルク。その勇気と希望に満ちた行動の軌跡と非業の死を、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』の名匠ガス・ヴァン・サント監督が映画化しました。

ミルクを演じたショーン・ペンが『ミスティック・リバー』に続き、2度目のアカデミー賞主演男優賞に輝きました。

********

【ストーリー】
1972年、40歳のハーヴィー・ミルク(ショーン・ペン)は20歳年下のスコット・スミスジェームズ・フランコ)と出会い、愛しあうようになります。2人は自由の地、サンフランシスコの「カストロ地域」に移り住み、職にも就かず気ままに暮らした後、カメラ店カストロ・カメラ」を開店します。
アイルランドの保守的なカトリック層と、同性愛者やヒッピーなどリベラルなマイノリティー層が対立する地域で、ミルクはしだいに黒人や労働者なども含めたあらゆるマイノリティーの代弁者として多くの人々の支持を受けるようになります。スコットや同性愛者たちの協力の下、商工会を結成したミルクは、1973年、マイノリティーの問題を政治的に解決するために、サンフランシスコ市の市政執行委員選挙に立候補します。

********

ミルクは3度落選した後、1977年、4度目の出馬でようやく当選します。映画では、その間、マイノリティーの圧倒的な支持を受けて、変革と希望のヒーローとなる一方で、政治家への道と引き換えに恋人との愛や幸せを失うはめになるミルクの光と影を描き出しています。

ガス・ヴァン・サント監督は、ミルクの歴史的な活躍をリアルかつパワフルに描くと同時に、活躍の裏に秘められたミルクの苦悩をも見事に捉えました。

無謀に思えた同性愛者初の政治家への挑戦を成し遂げ、勇気ある偉人として語り継がれるミルクですが、40歳の誕生日には「自分は何も成し遂げていない」と、孤独と虚無感に満ちた人生を嘆いてました。

そんな彼が抱いた思い通りに行かない人生に対する憂いや戸惑いに共感できる人は多いでしょう。野心ではなく、希望のある人生を求めた人間味溢れる政治家ミルクを、ショーン・ペンが生き生きと演じ、感情移入を誘います。

ミルクが敵対する議員に撃たれ命を落としてから42年となります。より一層混迷が深まる現代に、希望を求めるマイノリティーの先導者だったミルクの勇姿を目に焼き付けてほしいです。

ミルク [DVD]

ミルク [DVD]

  • 発売日: 2009/10/21
  • メディア: DVD


Amazonプライム・ビデオ