映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

人生に迷えるアラフィフ女性が、映画を通して人生について考える。ネタバレなしの映画レビューサイト。

つぐない(2007)

プライドと偏見』のスタッフが手がけた壮大な大河ロマン
愛と許しを求める3人の男女の過酷な運命を描く

原作はブッカー賞作家イアン・マーキュランのベストセラー小説『贖罪』。

早熟な少女のついた1つの嘘が、少女を含めた3人の男女の運命を大きく狂わせます。

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【ストーリー】
1935年、イングランド。ある夏の日、政府官僚の末娘で小説家志望のブライオニーは、初めて自作の戯曲を書き上げ、喜び勇んで屋敷内を駆け回っていました。庭では、使用人の息子ロビー(ジェームズ・マカヴォイ)と険悪なムードで向き合っていた姉のセシーリア(キーナ・ナイトレイ)が、突然服を脱ぎ出して噴水に飛び込み、この光景を偶然窓から目撃したブライオニーを驚かせます。
その晩の晩餐会の最中、ロビーの手紙をきっかけに互いへの愛に気づいたセシーリアとロビーは、初めて熱烈な抱擁を交わしますが、その光景をブライオニーに見られてしまいます。その直後、屋敷に身を寄せていた幼い双子の兄弟が家出し、家族が探している間にいとこのローラが暴行される事件が発生。ローラを襲う人影を目撃したブライオニーが、それを「ロビーだ」と証言したため、ロビーは逮捕されてしまいます。

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4年後、ロビーは刑期短縮のためにドイツ軍との激戦地ダンケルクへ出兵し、セシーリアはひたすらロビーの帰りを待ちわび、ブライオニーは、少女の頃の嘘を悔やんでいました。

3人が過酷な運命のなか、それぞれの望みを叶えるために生きる姿が切ない……。ロビーとセシーリアの愛は叶うのか、ブライオニーの罪は許されるのでしょうか。

プライドと偏見』のジョー・ライト監督が、巧みな演出手腕を発揮。タイプライターを叩く音を基調にした音楽で、不穏な気配とスピード感を高めるなど、冒頭からミステリー性が強調され、物語世界に一気に引き込まれます。

ロビーとセシーリアの本物の愛がほとばしるような官能的なラブシーンにゾクゾクしたり、極限状態に陥った兵士たちの姿が不気味な戦場シーンに身震いしたり、見せ場もたっぷりありますが、何と言っても素晴らしいのは、3人の運命の結末を描いたラストシーン。〈贖罪〉の意味が痛切に分かる劇的なクライマックスは心に深く残ります。

哀しく、切ないラブストーリーです。

つぐない (字幕版)

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  • 発売日: 2015/01/05
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つぐない [Blu-ray]

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贖罪 (新潮文庫)

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