パフューム ある人殺しの物語(2006)
少女の香りを作り出す調香師の狂気を映像化
匂いを視覚化した、グロテスクな映像世界
魅惑の香りが生み出した殺人鬼ジャン=バティスト・グルヌイユの生涯が描かれます。
1985年にドイツで出版され、センセーショナルな内容から世界的なベストセラーを記録した猟奇スリラー小説の映画化です。
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【ストーリー】
18世紀のパリ。悪臭漂う不衛生な魚市場で生まれたグルヌイユ(ベン・ウィショー)は超人的な嗅覚を持っていました。だれにも愛されない不遇な少年時代を過ごした彼は、パリの街角で芳しい少女の香りをかぎ、初めて幸福を感じますが、誤って少女を殺してしまいます。
再び幸福感を得るために、グルヌイユは香水の調香師となり、美しい女性を次々に殺しては死体を原料にした少女の香りの香水を作っていきます。
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鋭い嗅覚に従って生きるグルヌイユ。彼の恐るべき人間性を形成した匂いの世界を表すために、世間にあふれるさまざまな匂いを視覚化するなど、前代未聞の映像が数多く登場します。
猟奇殺人を扱うためにグロテスクな描写がありますが、その衝撃はまだ序の口だったことにクライマックスシーンで気づきます。
猟奇殺人の背景にあるのは愛への渇望。グルヌイユが作り出した禁断の香りが、奇跡のような愛を生み出します。
『ラン・ローラ・ラン』のトム・ティクヴァ監督が映像表現の限界に挑んだ作品です。高度なCG技術や俳優の生身の演技がもたらす衝撃をぜひ体験してほしいです。
グルヌイユに香水の調合法を教えるイタリア人調香師バルディーニ役をダスティン・ホフマンが演じています。