映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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ハチ 約束の犬(2009)

日本が誇る忠犬ハチ公がハリウッドへ
心優しい秋田犬と温かい人々の姿が心に沁みる

大正時代、東京・渋谷駅の片隅で帰らぬ主人を9年もの間、じっと待ち続けた秋田犬のハチ。渋谷駅ではその姿が銅像として残されるほど、日本で長年、愛され続けてきた忠犬ハチ公の逸話が、2009年、ハリウッドで映画化されました。

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【ストーリー】
ひょんなことから、秋田犬の仔犬がアメリカへ配送されてしまいます。アメリカの東海岸の郊外ベッドリッジに住む大学教授のパーカー(リチャード・ギア)は、駅のホームに取り残された秋田犬の仔犬を見つけます。そして、愛犬を亡くした悲しみの癒えない妻ケイト(ジョアン・アレン)の反対を押し切り、飼うことにします。
仔犬の首輪に漢字の「八」の字が刻印されていたことから、パーカーは仔犬を「ハチ」と名付けます。パーカーの愛をたっぷり受けて育ったハチは、毎朝、パーカーを駅まで見送り、午後5時になると迎えに行くのが習慣でした。
しかし、パーカーが大学の講義中に突然、他界してしまいます。以来、パーカーの死がわからないハチは駅でパーカーを待ち続けるのでした。

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日本を代表する秋田犬アメリカの地に違和感なく交わるかどうか注目されましたが、リチャード演じるパーカーがハチとの絆を築いていく前半から胸に熱いものが込みあげます。

ハチを心から愛するパーカーと、パーカーの愛を静かに受け止めるハチ、さらに仲睦まじい2人を温かく見守る町の人々など、純朴なキャラクターたちにどっぷり感情移入してしまいます。

そして、何といっても、昼も夜も、雪の日でも、駅の改札口をつぶらな瞳で見つめ、ただひたすらにパーカーを待ち続けるハチの姿はやっぱり涙を誘います。年齢ごとにハチを演じた3匹の秋田犬たちが貫禄たっぷりに名演を見せています。

主演を務めたリチャード・ギアが脚本に感動して、共同製作を手がけ、ギアの盟友ラッセ・ハルストレム監督を抜擢。『ギルバート・グレイプ』(’93年)、『ショコラ』(’00年)など、田舎町を舞台に、しみじみとした、味わい深い人間ドラマを手掛けてきたハルストレム監督は奇をてらったハリウッド映画とは一線を画す、穏やかで心が洗われる会心のリメイクを作り上げました。


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