映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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初雪の恋 ヴァージン・スノー(2007)

日韓の若手スターたちが初々しい高校生に扮した
心が洗われる、ピュアで古風な初恋物語

NANA』(’05年)の宮崎あおいと韓流映画『王の男』(’05年)のイ・ジュンギがW主演を務めた日韓合作映画です。

当時、日韓の映画界で目覚しい活躍を見せていた実力派の若手俳優が京都とソウルを舞台に切ないラブストーリーを繰り広げています。

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【ストーリー】
父親の仕事の都合で京都に住むことになった韓国人の高校生ミン(イ・ジュンギ)は偶然立ち寄った神社で、怪我の手当てをしてくれた巫女姿の女の子、七重(宮崎あおい)に一目ぼれします。
転校した高校で、偶然にも七重と同級生になったミンは七重に猛アタック。始めは、積極的にアプローチするミンに戸惑っていた七重も、やがてミンのひたむきさと誠実さに触れて心を開き、二人は恋人同士になります。
しかし、幸せの真っただ中で突然、七重が姿を消してしまいます。

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デビュー作『ホテルビーナス』(’04年)や一躍脚光を浴びた『王の男』、クールな高校生を演じた『フライ・ダディ』(’07年)など、内面に苦悩や葛藤を抱えた男性を演じてきたイ・ジュンギにとって、快活で熱いミンのような明るい役は本作が初めて。

物語前半では、屈託のない笑顔をはじけさせ、恋にときめく男子高校生をはつらつと演じて新しい顔を見せています。

一方、清楚で奥ゆかしい京女の七重を演じる宮崎あおいは、表情豊かに七重の喜びや悲しみを表現。愛らしい顔立ちにも魅せられ、観る者の目を釘付けにする名演を随所で見せます。

南禅寺や嵐山など、古都・京都のしっとりとした情景の中で育まれる初恋は、古風でまるで夢物語のよう。若い2人の出会いと別れ、そして再会を描いたシンプルな物語ですが、韓国の新人ハン・サンヒ監督は、情感あふれるシーンをちりばめて、好きなのに離れてしまった2人の切ない恋の世界へと誘い込みます。

終幕、すれ違いを繰り返してもなお、「初雪の日は恋人と一緒に」という、韓国の恋人たちの愛の証であるロマンティックな風習に最後の願いを託すミンと七重の姿が切々と胸に迫ります。

純愛の切なさと美しさを見事に描き出し、心が洗われる物語です。


初雪の恋〜ヴァージン・スノー 【Blu-ray】


オリジナル・サウンドトラック「初雪の恋 ヴァージン・スノー