映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

人生に迷えるアラフィフ女性が、映画を通して人生について考える。ネタバレなしの映画レビューサイト。

オーシャンズ11

観る者を楽しませたいという思いが溢れる
ハリウッド級の豪華で軽妙洒脱なアンサンブルコメディ

カリスマ窃盗犯のダニエル・オーシャン率いる11人のスペシャリストが一夜限りのチームを組み、大胆不敵な現金強奪事件を企てる痛快ギャングアクション『オーシャンズ11』(2001年)は、ザ・ハリウッドムービーの決定版です! 出演する人気俳優の数だけねずみ算式に観客が増えるとしたら、これほど興行収入を見込める作品は無いでしょう。
(案の定、続編2作とスピンオフ1作が製作されています)

ジョージ・クルーニーブラッド・ピットジュリア・ロバーツマット・デイモンアンディ・ガルシアドン・チードル……。これらの主演級のハリウッドスターのコラボレーションをアカデミー賞監督スティーブン・ソダーバーグが実現させました。

その受賞作『トラフィック』で150人の群像劇を巧みな構成で描ききったソダーバーグは、本作では量より質とばかりに11人のキャラクター造形にこだわっています。

騙す側と騙される側の内面を知れば知るほど、強盗計画から実行までの舞台裏にスリルが増してゆきます。なんてったって〈犯罪者も人の子〉とでもいうような視点から描かれる11人は笑うしかないドジや窮地の連続なのだから。軽妙洒脱なアンサンブルコメディをスタイリッシュに捉えたソダーバーグの技が冴えています。

そして、出演ギャラを大幅に削ってまでもソダーバーグのコマになることを望んだ豪華キャストたちもまた、主役と脇役などという些細な垣根を取っ払い、チームプレイに徹して映画作りを楽しみ、不夜城ラスベガスを舞台にした華麗な犯罪ショーを盛り上げています。

********************

【ストーリー】
窃盗罪による5年の刑期を務めて保釈されたダニエル・オーシャン(ジョージ・クルーニー)は、真っ先に親友でいかさまカード・ゲームのプロ、ラスティ(ブラッド・ピット)の元へ向かいます。
保護監察官の監視の目が光るなか、ダニエルにとってこの旧友との再会は新たな仕事に着手するためのスタートライン。ダニエルの刑期中、素人相手に冴えない仕事をしていたラスティはラスベガスを牛耳るホテル王、ベネディクト(アンディ・ガルシア)から4つのカジノの収益金、合わせて1億6千万ドルを強奪するというダニエルの計画をふたつ返事で引き受けます。
そして、ふたりは数々の厳重なセキュリティに守られた現金を奪うためにさまざまな分野から9人のエキスパートをスカウトします。
ベネディクトのホテルにカジノディーラーとして忍び込ませていたフランク(カード・ディーラー)、ベネディクトに屈辱を受けて恨みを抱く元ラスベガスの帝王ルーベン(エリオット・グールド)、ほかにも敏腕ハッカーのリビングストン(エディ・ジェイミソン)、変装の達人ソール(カール・ライナー)、爆破のプロ、バシャー(ドン・チードル)、操縦のプロ、双子のバージルケイシー・アフレック)とターク(スコット・カーン)、サーカスで働く中国系の軽業師イエン(シャオボー・クイン)、そして若きスリの名手ライナス(マット・デイモン)らが犯行遂行のために重要な役目を果たすことに。
いざベネディクトのホテルに乗り込んだ11人の仲間たちは着々と準備を進め、緻密に練り上げた計画のリハーサルにも余念がありません。
しかし、ベネディクトの妻がダニエルの元妻テス(ジュリア・ロバーツ)だと知ったラスティはダニエルの本当に奪いたいものがテスであるとにらみ、現金強奪という大仕事に私情を挟むダニエルを犯行直前に仲間からはずしてしまいます。

********************

オリジナルは41年前に製作されたフランク・シナトラ主演の『オーシャンと11人の仲間たち』。シナトラのほかにもディーン・マーティン、サミエル・デービス・ジュニアなど、当時の人気スターが総出演して話題を呼んだオールスター・キャスト・ムービーです。

キャストの顔が大事だった前作を今回リメイクする際に、ソダーバーグは無名の俳優を使ったインデペンデント映画にする予定でいたそうです。でも、結果的にかつてないほどのオールスター・キャスト・ムービーになったことについて、ソダーバークは「観客へのサービス」と語っています。

きらびやかなラスベガスのカジノホテルに、アルマーニティファニーのハイソな衣装に身を包んだ人気者、オリジナルへオマージュを捧げたクラシカルな雰囲気など、ソダーバーグの好意に甘えて洗練された世界にどっぷりと浸りたい娯楽作です。


オーシャンズ11 [Blu-ray]


Amazonプライム・ビデオ