映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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夏物語(2006)

時代に裂かれた切ない初恋
イ・ビョンホンの魅力あふれる純愛ラブストーリー

2004年、NHKの地上波で放送された韓国ドラマ『冬のソナタ』が爆発的な人気を呼び、始まった韓流ブーム。私も『冬ソナ』を始め、『オールイン』『チャングムの誓い』などの韓国ドラマにどっぷりハマりました(笑)。

いじめ、交通事故、記憶喪失、行方不明などなど、波乱だらけのストーリーに???になりながらも、ドキドキハラハラ。あり得ない展開に、一体どんなオチを付けるのか。まるで少女漫画のような面白さで毎週楽しみにしていました。(懐かしいです……。)

そんなけれん味たっぷりの韓流ドラマを情感込めて演じた韓国の俳優たちも大人気になりました。2005年頃から、韓流四天王として日本の女性たちを虜にした男優たちの1人がイ・ビョンホン

本作は当時、本国韓国はもとより日本でも人気絶頂となったイ・ビョンホンが前作の主演映画『甘い人生』(’04年)以降に届けられた100本を超える出演オファーの中から選んだそうです。

クールで男気あふれる役柄の多かったビョンホンが満を持して贈るのは、韓流映画の代名詞となった純愛ラブストーリーです。

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【ストーリー】
「初恋の人を探す」というテレビ番組で、大学教授ユン・ソギョンイ・ビョンホン)を取り上げることになります。60歳を超えた今も独身を貫くソギョンは、いかにも気難しそうな人物。教え子の放送作家スジン(イ・セウン)の依頼に困惑しつつも、「会いたい人がいるはずでは」という言葉に心を動かされ、1冊の本を差し出します。

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物語の中心になるのは、1969年の夏、田舎の村で農村活動に参加した大学生のソギョンと、村の図書館で働くジョンイン(スエ)との恋の日。独裁政治打倒を叫ぶ学生運動を冷めた目で見つめ、人の迷惑も顧みず気の向くままに行動するなど、まるでシニカルな子供のようなソギョンがジョンインに心を開き、そしてジョンインが彼の愛を受け入れる過程がゆったりとしたテンポで描かれています。

しかし、ふたりの初恋は悲恋に終わります。別れは1960年代の韓国が舞台なだけに重みがあります。

北朝鮮に渡った父親を持つジョンインと一緒にいたことでスパイ容疑をかけられたソギョン。警察で取り調べを受けるシーンでは、演技派ビョンホンの真骨頂とも言える迫真の演技を見せています。

ときにユーモラスに、ときにシリアスに、多感な大学生のソギョンになりきったビョンホンは「やはりすごい!」と思わせてくれます。

透明感あふれるスエと、のどかな夏の田園風景も、この物語の大きな魅力になっています。

今から15年前の日本、韓流ブームで湧いた時代のなんと「のどかなこと!」。個人的には、そんな懐かしい思いがこみ上げてきます。


夏物語(字幕版)