映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

人生に迷えるアラフィフ女性が、映画を通して人生について考える。ネタバレなしの映画レビューサイト。

恋するベーカリー(2009)

元夫婦の複雑な恋の行方をユーモアたっぷりに描く
メリル・ストリープ主演のロマンティックコメディ

恋愛適齢期』『マイ・インターン』など、恋愛や仕事に悩む女性の姿を、ユーモラスかつおしゃれに描き、どんなことがあっても《人生捨てたもんじゃない!》と前向きなメッセージをくれるナンシー・マイアーズ監督の作品が好きです。

本作は50代の離婚した元夫と元妻の恋の行方を描くロマンティックコメディです。

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【ストーリー】
ジェーン(メリル・ストリープ)は10年前に離婚後、一人で3人の子どもを育て上げ、大人気ベーカリーの経営者としてキャリアを築き、女友達とシングルライフを謳歌するなど、着々と自分の道を進んでいました。
弁護士の元夫ジェイク(アレック・ボールドウィン)は離婚原因の不倫相手と再婚しましたが、子どもや共通の友人を通して会う機会のあるジェーンとジェイクは距離を置いて接していました。
そんな2人が子どもの大学卒業式に出席するためニューヨークの高級ホテルに滞在。偶然、居合わせたバーで飲み明かすうちに一線を超えてしまいます。

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その後、ジェイクが「やっぱり君がいい」とジェーンの家に通い始めるから、さあ大変。昔の過ちなどケロリと忘れてジェーンに熱を上げる能天気なジェイクと、彼のアプローチを拒絶しながらも思わず受け入れ、悩んでしまう真面目なジェーンとのドタバタぶりが抜群に面白いです。

普通なら、一度苦い思いを味わい、人生経験も積んだ50代の男女が《今さら何やってるんだか》と思ってしまうところ。でも、ジェイクはキャリアウーマンの若妻に不妊治療を強要され、妻の幼い連れ子には軽く見られて肩身が狭く、一方のジェーンは仕事や子ども、友人に恵まれながらも漠然とした虚しさを感じていました。

そんな年を重ねたことで生まれる悩みを抱えた2人が心の拠り所を求めてしまうのも無理はないかもしれません。別れても一度は愛した人への微妙な思いは恋愛経験者なら心当たりがあるのでは。

人々を惑わす複雑な恋愛感情をテーマに、笑いと共感を誘う物語に仕上げたメイヤーズ監督の脚本が見事。

ジェーンは誠実な建築家アダム(スティーブ・マーティン)にも好意を寄せられ、2人の男性の間で決断を迫られます。

今後の生き方を模索するジェーンの心の成長を描き、大人の女性の一つの生き方を示す普遍的な人生訓も込められていますが、何といっても本作はコメディ映画としての面白さが際立っています

久々に現代的なラブストーリーに帰ってきたメリル、勘違い男ジェイクがぴたりとはまったアレック、穏やかなのに何だか可笑しいスティーブ。芸達者な俳優たちによる粋な大人のラブコメディはお腹がよじれるほど笑うこと請け合いです!


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