映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

人生に迷えるアラフィフ女性が、映画を通して人生について考える。ネタバレなしの映画レビューサイト。

海を飛ぶ夢(2004)

死に直面した人々の姿をとおし
生きる意味について考えさせるヒューマンドラマ

スペインの元漁師ラモン・サンペドロは25歳のとき、事故で四肢麻痺になってしまいます。首から下の自由を一切奪われた彼は26年間、家族の介護を受けながらベッドの上で寝たきりの人生を過ごした後、せめて魂の自由を得るために死を決意し、尊厳死を合法化する道を模索します。

1999年、望みをかなえ、みずからの意思で55歳の生涯を終えたラモンが死へ旅立つまでの道のりを描いた本作は、喜びと辛さの伴う〈生きる〉という行為について静かに深く考える機会を与えてくれます。

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【ストーリー】
兄夫婦と甥、年老いた父の献身的な介護を受けながら暮らすラモンの元へ3人の女性がやって来ます。ストーリーはそのうちのひとり女性弁護士フリアとラモンとのドラマチックな関係が軸になります。
ラモンは自分に同情的な人々、死ぬことを非難する人々にうんざりしていましたが、フリアだけは彼を特別扱いしませんでした。彼の話に冷静に耳を傾ける聡明なフリアにラモンは惹かれていきます。
一方のフリアも不治の病に冒され、いつかは植物人間になるという現実に直面したとき、ラモンの気持ちを心から理解します。そして、ふたりはラモンの著作が出版された日に、苦痛の続く現実から共に旅立つことを約束します。

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死にたいと願い、本当に死んでしまった男の実話です。テーマは重いですが、死を前向きに捉え、まったく決意の揺るがない強い意思を持ったラモンの姿、また彼の決意に心を揺さぶられながらも真剣に死に向き合う周囲の人々の姿に救われます。

だれとも分かち合えない苦悩を抱えながら、人前では常に微笑んでいようとするラモン。ときに気難しい面も見せますが、知的でユーモラスでチャーミング。映画の通りなら、ラモンは本当に魅力的な人物だったのでしょう。

ラモンを演じたハビエル・バルデム顔の表情だけでラモンの感情を見事に表現。さらに撮影当時は30代と知り、奇跡の名演に心から感動しました。

監督は『オープン・ユア・アイズ』『アザーズ』のアレハンドロ・アメナバール

海を飛ぶ夢 Blu-ray

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  • 発売日: 2016/10/19
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