映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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メトロポリス(2001)

手塚治虫が創造した斬新な未来観を映像化
日本アニメ界の闘志がみなぎる力作

人間とロボットの共存により繁栄する未来社会の本質を鋭く見つめた手塚治虫原作の漫画『メトロポリス』。1949年(昭和24年)に発行された原作は、手塚治虫の初期SF三部作と呼ばれる中の1本で、斬新過ぎる未来観ゆえに映像化は不可能といわれた伝説の名作です。

発表から実に半世紀を経て、まさに21世紀の幕開けに映画化された本作には、CGアニメ先進国の仲間入りを果たそうとする日本アニメ界の闘志がみなぎっているようにも見えました。

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【ストーリー】
私立探偵のヒゲオヤジこと伴俊作と甥のケンイチは国際手配犯のロートン博士を追って、超近代的な巨大都市国家メトロポリスにやってきます。
ところが、優秀なロボット刑事ぺロの協力を得て、ようやく居所を突き止めたのもつかの間、ロートン博士は秘密研究所の火災で死亡してしまいます。
ケンイチはその焼け跡でティマという名の少女と出会いますが、ふたりは誤って二重構造となっているメトロポリスの地下社会へ迷い込んでしまいます。
ケンイチは自分のことを知らないティマを「火災のショックで記憶を失っている」と思い込みますが、実はティマはメトロポリスの実権を握るレッド公の命令によって、ロートン博士が開発した高性能ロボットであり、恐るべき使命とそれを遂行する邪悪な力を持たされていました。

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銀河鉄道999』のりんたろうが監督を、『AKIRA』の大友克広が脚本を手掛けたのを始め、ジャパニメーション(’90年代後半~2000年代前半まで、よく使われていましたが、今は死語ですね)のトップクリエーターたちが製作に尽力し、それは、それは壮大な作品に仕上がっています。

3DCGと2Dアニメーションの融合で作り出されたメトロポリスの光景は本当に素晴らしいです! 行き過ぎれば神経質に見える複雑さと精密さは、日本人ならではの感性でしょう。

天空の城ラピュタ』の名倉靖博総作画監督とキャラクターデザインを兼任し、マッドハウスがアニメーション制作を担当しています。

おなじみのヒゲオヤジも登場するキャラクターは2Dアニメで製作され、人間的なぬくもりを出すことで、冷徹な社会の中で愛することの尊さを描き出しています。

2002年1月より全米公開され、同年夏の〈モントリール・ファンタジア2001〉で最優秀アニメ賞を獲得するなど、世界的にも高い評価を受けました。


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