映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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102(2001)

あのクルエラ・デ・ビルがリベンジにやって来た
前作以上の衝撃的なクライマックスに乞うご期待

視覚効果技術(CGI)が急速に発展した1990年代後半、本物の動物を主役にした実写映画が次々に作られるようになりました。

調教した動物とCGIを組み合わせ、まるで動物たちが本当に演技しているような世界観は子ども向けのファンタジーながらも、素直に楽しむことができました。

本作はそんなハリウッドのブームを象徴する1本といえるでしょう。

ドディー・スミス原作の名作童話『101匹わんちゃん』を実写で映画化した『101』(’96年)の続編、その名も『102』。あの、毛皮マニアの悪女クルエラ・デ・ビルがリベンジにやってきます!

リベンジの相手はもちろん純白のボディにちりばめられた黒ブチがなんともキュートなダルメシアンたち。1作目で子犬誘拐の罪で捕らえられたクルエラが、刑務所内の実験治療により愛犬家の〈エラ〉に生まれ変わったのもつかの間、再びダルメシアン柄の毛皮を作ろうと奔走します。

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【ストーリー】
子犬誘拐の罪で服役中だったクルエラ・デ・ビル(グレン・クローズ)が模範囚として出獄しました。クルエラはみずからを〈エラ〉と名乗り、屋敷にある自慢の毛皮コレクションにも拒否反応を示すほどの愛犬家に生まれ変わります。
第2の人生を送り始めたエラは、破産寸前の〈セカンドチャンス〉という名の捨て犬シェルターを支援することに生き甲斐を見いだし、一躍動物愛護のシンボル的存在になりますが、保護監察官のクロエ(アリス・エバンス)は、エラの改心を信じきれずにいました。
偶然にもクロエの愛犬ディップスティックはかつてクルエラに誘拐された101匹の子犬たちの中の1匹で、今は3匹の子犬の父親となっていました。
そんなある日ビッグベンの鐘の音がエラの耳に響いたとき、クロエの疑念は的中。鐘の音により、邪悪な本能がよみがえったクルエラは、再びダルメシアン柄の毛皮を作るため、子犬たちを誘拐してしまいます。

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〈童話の世界を忠実に〉という意識で製作された1作目は、調教された本物の動物たちの演技も見事でしたが、それ以上にクルエラになりきり、怪演と評されたグレン・クローズが素晴らしかった!

オリジナルストーリーの続編では、さらにクルエラのキテレツぶりが強調され、クローズもその期待に十分に応えています。

そんな恐ろしいクルエラに勇敢に立ち向かうのが黒ブチのないダルメシアンの子犬、オッド。彼女こそが本作『102』の主役なのですが、子犬なりにも自分の体にコンプレックスを持っており、コピーの黒インクに体をこすりつけたり、黒ブチ柄のセーターをおねだりしたりと、懸命にダルメシアンらしく振る舞おうとする姿がなんともいじらしいです

でも、不幸中の幸いとはまさにこのこと。黒ブチがないためにクルエラの手から逃れた102匹目のオッドちゃんが仲間たちのピンチに大活躍します。

そして、またまたこてんぱんにやっつけられるクルエラのクライマックスシーンでは、前作の衝撃以上に悲惨な姿グレン・クローズにお目にかかれるので乞うご期待です。

監督はディズニー長編アニメ『ターザン』のケビン・リマ。実写映画を手掛けるのは本作が初めてとなりましたが、躍動的でテンポのよい演出は冴えを見せています。

撮影は『エイリアン2』のエイドリアン・ビドル。荘厳なイギリスから華やかなパリへとグローバルになった救出劇はハラハラドキドキの連続です。

視覚効果ショットを担当したのは『ダイナソー』を手掛けたディズニーのデジタルスタジオ、ザ・シークレット・ラボ(当時、ディズニーが満を持して設立したCGスタジオでした)。そのほとんどがオッド役のダルメシアンの子犬から黒ブチ柄を取り除くために使われたそうです。

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今月末(2021年5月)から、悪女“ヴィラン”として、クルエラの誕生秘話を描く『クルエラ』が公開されます。クルエラを演じるのは若手演技派エマ・ストーン。予告編を見るととってもスタイリッシュになっていて、20年の時代の進化を感じます。

エマ・ストーングレン・クローズのような体を張った演技を見せてくれるのでしょうか……?


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