映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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天外者(2020)

日本の未来のために奔走した五代友厚を熱演した
俳優・三浦春馬の雄姿をしっかりと胸に刻みたい

激動の幕末から明治初期、日本の産業や商業の発展のために尽力した実業家、五代友厚

大阪商工会議所を創設し、今日に続く商都大阪の礎を築き、「西の五代友厚、東の渋沢栄一と呼ばれる功績を残しながらも、ほかの維新の志士たちに比べると、その活躍はあまり大きく語られてはいません。

そんな影のヒーロー、五代の熱き生き様を、『利休にたずねよ』『海難 1890』の名コンビ、監督・田中光敏と脚本・小松江里子によるオリジナルストーリーで映画化。

2020年に急逝した三浦春馬が渾身の演技で、五代に息を吹き込んでいます。

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【ストーリー】
江戸末期の長崎、薩摩藩士の五代才助(後の友厚)は攘夷か開国かで世間が揺れるなか、坂本龍馬(三浦翔平)や岩崎弥太郎西川貴教)、英国商人のグラバーらと親交を深め、世界へ目を向けます。

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激動の時代に五代が目指したのは「誰もが夢を見ることのできる国」

望まぬ結婚でイギリスへ渡った遊女・はる(森川葵)とのほろ苦い別れや、侍たちの暴挙による龍馬や大久保利通の無念の死を経て、日本の未来を築くために、いち早く民間に転じた五代。しかし、時代の先を行く彼の取り組みは批判され、世間の目は冷たいものでした。

それでも、新しい時代のために行動する五代を、三浦春馬が熱く、軽やかに演じています。ラストシーンで、日本の未来を熱く語る気迫のこもった演説は、虚無感の漂う現実世界に生きる我々も鼓舞しているように聞こえ、胸が熱くなます。本当に惜しい才能を失ってしまいました。

「天外者(てんがらもん)」とは、鹿児島県の方言で、「すごい才能の持ち主」を意味するのだそうです。

五代友厚三浦春馬。明治と平成を颯爽と駆け抜けた2人の“天外者”たちからの真摯なメッセージをしっかりと受け止めたいです。


天外者 [ 三浦春馬 ]


映画ノベライズ 天外者 [ 小松 江里子 ]