映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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キンキーブーツ(2018)

心に染みるストーリーを明るく、華やかに歌い踊る
傑作ブロードウェイ・ミュージカルがスクリーンに

「松竹・ブロードウェイシネマ」では、舞台の本場アメリカ・ブロードウエイミュージカルを映画館で楽しむことができます。

本作は、2013年にブロードウェイで上演され、トニー賞に輝いた大ヒットミュージカルです。

昨年2021年に「松竹・ブロードウェイシネマ」で公開され、全国各地の映画館で満員御礼の大ヒットとなったことから、今年2022年7月26日(火)の1日限定でアンコール上映されるそうです。※数日公開される映画館もあり。

笑いと涙、感動に溢れた最高のミュージカルが再び幕を開けます!

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【ストーリー】
イギリスの田舎町ノーサンプトンの老舗靴工場、プライス社の跡取り息子チャーリーはロンドンで恋人と新たな生活を始めようとしますが、父の急逝で帰郷し、やむなく工場を継ぐことに。ところが工場は倒産寸前で、昔ながらのスタッフたちを解雇せざるを得ない状況に頭を悩ませていました。
そんななか、ロンドンで活躍するドラァグクイーン、ローラに出会ったチャーリーは「私たちに合うハイヒールが無い」と嘆くローラの言葉に、新しい靴のアイデアをひらめきます。そして、周囲の戸惑いや反発を受けながらもローラをデザイナーに迎え、「危険でセクシーな女物の紳士靴 (キンキーブーツ)」の製作に乗り出します。

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イギリスの実話を基にしたストーリーは「自分らしさ」をテーマに、チャーリーとローラの友情や葛藤、心の成長が描かれています。

子どものころから、工場を継ぐことや、男らしく生きることなど、自分の意に反することを父親から求められていた2人が、唯一無二の靴、「キンキーブーツ」を作る過程で、自分のありのままの姿を認めて望みを貫こうとする姿に勇気づけられます。

また、伝統的な靴職人たちが進歩的なローラやドラァグクイーンの仲間たちの登場で、偏見を捨て、生き生きと変わっていく姿は普遍的な展開ながらも心を打たれます。

誰の心にも触れるだろう秀逸なストーリーを、とびきりゴージャスにアレンジしたミュージカルシーンは本当に素晴らしいです!

全楽曲を手がけるのはアメリカン・ポップの女王、シンディ・ローパー。キャラクターやシーンに合わせた多彩な楽曲を、俳優たちが渾身のパフォーマンスで盛り上げます。特にローラを演じたマット・ヘンリーは圧巻です!

ローラの複雑な内面の演技と、人気ドラァグクイーンにふさわしいダイナミックなダンスシーンを見事にこなしたヘンリーは本作で数々の賞に輝いています。そして、そんな難しいローラ役を2016年と2019年の日本公演で演じ、絶賛された三浦春馬さんの才能を惜しまずにはいられません。

本作の醍醐味は、熱唱する俳優たちをアップで捉えるなど、ドラマチックなカメラワークにより、観客席とは別の視点で臨場感が味わえること。観客の様子も映し出されており、本場ブロードウェイの “通”の観客たちがノリノリで楽しんでいる姿も微笑ましいです。国境や時間を超えたミュージカルファンの一体感に思わず感動してしまいます。

クライマックスの大団円まで、圧倒的に楽しいミュージカルをぜひスクリーンで味わってほしいです( ´艸`)。


『キンキーブーツ』 オリジナル・ブロードウェイ・キャスト盤 [ オリジナル・ブロードウェイ・キャスト・レコーディング ]

broadwaycinema.jp