映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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ラスト・キング・オブ・スコットランド(2007)

アフリカ・ウガンダで行われた恐怖政治の実態を
明らかにする戦慄のフィクションを映画化

フォレスト・ウィテカーが本作の鬼気迫る演技で、アカデミー賞主演男優賞を受賞しました。

フォレストが演じるのは、1970年代のアフリカ・ウガンダで暴挙と殺戮の限りを尽くした独裁者イディ・アミン大統領。スコットランド出身の青年医師の戦慄の体験をとおして、イディ・アミンの狂気が生々しく描かれています。

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【ストーリー】
1971年、スコットランドの医学校を卒業したニコラス・ギャリガン(ジェームズ・マカヴォイ)がウガンダへやってきます。就任したばかりのイディ・アミン大統領に偶然出会ったニコラスはそのとき見せた大胆さと、スコットランド出身であることが気に入られ、アミンの主治医に迎えられます。

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原作であるジャイルズ・フォーデンの小説『スコットランドの黒い王様』は、実際にアミンと交流のあった西欧人の話や、アミン政権中に起こった史実をベースにアミンの実像に迫るフィクション。

映画も、政治ドラマよりも、理性を失った人間が生み出す恐怖に主眼を置いたサスペンスホラーの趣です。

陽気で気さくな人柄から国民的ヒーローとして絶大な人気を集めるアミンが、常に暗殺におびえる恐怖から疑心暗鬼に陥り、「やられる前に殺してしまえ」といとも簡単に人を始末していくようになります。

側近や家族にも容赦のないアミンの残虐性が次第に明らかになるなか、アミンの妻と関係を持ったり、アミンの暗殺計画を企てたりと、ニコラスが危険行為に及んでいく中盤以降、終始ハラハラさせられます。

アミンをはじめ、アミンに忠実な手下たちが何をしでかすか分からない狂気に満ちて恐ろしいです。

ニコラスが追い詰められるスリリングなクライマックスも心底怖いです。

エンテベ空港で実際に起こったハイジャック事件の顛末と並行して描かれるニコラスの運命。処刑か出国か。息を詰めて恐怖の行方を見守るしかありません。


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ラストキング・オブ・スコットランド (字幕版)