映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

人生に迷えるアラフィフ女性が、映画を通して人生について考える。ネタバレなしの映画レビューサイト。

ミス・フランスになりたい!(2020)

自分らしく生きる勇気を与えてくれる
フランスらしい個性的なサクセスストーリー

フランスの美人コンテスト「“ミス・フランス”になりたい」という無謀な夢に挑戦した“男性”の苦難と愛に満ちた道のりが描かれます。

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【ストーリー】
9歳の美少年アレックスは学校で、将来の夢を「ミス・フランスになること」と語りますが、クラスメイトに嘲笑され、その夢を封印してしまいます。
その後、24歳になったアレックス(アレクサンドル・ヴェテール)は両親を事故で亡くして以来、喪失感にさいなまれ、自信や希望を失っていました。
ある日、パリの場末のボクシングジムで手伝いをしているアレックスの前に、幼なじみのエリアスが現れます。幼い頃の夢を叶え、ボクサーになったエリアス(クエンティン・フォーレ)は自信にあふれていました。そんなエリアスに触発されたアレックスはかつて周囲に理解されず、諦めた自分の夢に向かうことを決意。ベテランのドラァグ・クイーン、ローラの助けを借りて、完璧に女装したアレックスは見事、「ミス・フランス」コンテストの地区大会を勝ち抜きます。
しかし、各地区の代表者たちを集めたキャンペーンでは、女性同士の輪に入れなかったり、彼に違和感を抱く出場者から嫌がらせを受けたりと落ち込む日々が続きます。

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孤独感に押しつぶされるアレックスは、たくましくて誇り高いローラ(ティボール・ド・モンタレンベール)や、厳しくも情に厚い下宿先の女主人ヨランダ(イザベル・ナンティ)などの貧しくも心豊かな仲間たちの応援、さらに、コンテストのやり手ディレクター、アマンダ(パスカル・アルビロ)の叱咤激励を受けて、夢への挑戦を続けます。

人に順位を付ける横暴さや、男性社会の悪しき象徴として、批判もある「ミス・コン」がアレックスの自信やアイデンティティを取り戻す場所に使われているのは、何とも皮肉めいていますが、本作にはそんな社会批判を超えた人間的なテーマがあります。

さまざまな苦悩や困難を乗り越えて、たどり着いたコンテストの舞台。まばゆいスポットライトの中で、“自分らしさ”をアピールしたアレックスが体現したのは、世間の常識や偏見に囚われることを止める“勇気”に他なりません。

アレックスのようなケースでなくても、自分の性格や境遇などを周りと比べてしまい、あまりの違いに落ち込んだり、悩んだりする人も多いのではないでしょうか。

「自分らしく生きる」ためには、「他人との違いを受け入れること」が必要です。個人主義と言われるフランスから届いた、シンプルだけど、重要なメッセージは前を向いて生き抜く力を与えてくれるはずです。

アレックスを演じたアレクサンドル・ヴェテールはパリでジェンダーレスモデルとして活躍。長編映画初主演となった本作では、繊細な問題を抱えた役柄をひたむきに演じています。

映画制作にあたり、実際の「ミス・フランス実行委員会」と提携したそうで、華やかなミス・コンの意外に厳しい舞台裏を垣間見ることができるのも興味深いです。


MISS ミス・フランスになりたい! [ アレクサンドル・ヴェテール ]

私をスキーに連れてって(1987)

‘80年代後半の熱い時代がよみがえる
スキー場の恋を軽やかに描いた大ヒット映画

バブル経済真っただ中の1987年に公開された本作は、元気で華やかな時代の雰囲気を反映した、ポップでオシャレな要素がたっぷり詰めこまれ、トレンドに敏感な若者たちの心をがっちりつかみました。

恋が生まれるロマンティックなスキー場、非現実的な世界へ誘うスタイリッシュなユーミンの楽曲、等身大の若者たちの恋と友情を描いたトレンディーなストーリーなど、36年前にリアルタイムでこの映画を観た人々は、当時の熱い時代を思い出して胸がキュンとするのではないでしょうか。

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【ストーリー】
クリスマスイブの志賀高原。OLの池上優(原田知世)は同僚の恭世(鳥越マリ)と女2人だけでスキーへやってきました。一方、26歳の商社マン、矢野文男(三上博史)は外科医の和彦(布施博)やメカマニアの小杉(沖田浩之)らスキー仲間たちとスキーを楽しんでいました。そして、ひょんなことから優と文男らグループは知り合いになり、一緒に滑ることになります。
別れ際、優のことが気になっていた文男は、女友達のヒロコ(高橋ひとみ)と真理子(原田貴和子)に焚き付けられ、優に電話番号を聞き出します。しかし、文男に恋人がいると勘違いした優は嘘の電話番号を教えてしまいます。
東京に帰り、文男は優に電話がつながらずに落ち込みますが、なんと優は文男と同じ商社に勤めていることがわかります。

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今ではスノーボードが主流のスキー場ですが、やっぱりスキーも楽しそう。パラレルでコブを攻めたり、友達同士で“ムカデ”をしたり、スキー板を椅子にして寛いだり……。映画序盤では、『サーフ天国、スキー天国』や『恋人はサンタクロース』などの軽快なリズムに乗せて、白銀の世界を思い思いに楽しむ若者たちの様子がたっぷりと描かれます。

夜のロッジで開かれたパーティでは、ヒロコがバニーガール姿でカクテルを配っていたり、和彦がタキシードを着ていたりと、バブリーな描写に思わず笑ってしまいますが、’80年代の“イケイケ”ぶりを垣間見られるのも、この映画の醍醐味でしょう。国産スポーツカーを乗りまわすヒロコと真理子は、当時は斬新な女性像でした。かなりぶっ飛んだ女性たちですが、素直にカッコいいです。ちなみに、切れ長の目元が凛々しい真理子を演じる原田貴和子は知世ちゃんの実のお姉さんです。

とびきり陽気なムードの中で描かれるのは、奥手の文男とシャイな優とのもどかしいロマンス。クリスマスイブに出会った2人は、互いに離れて過ごした新年のサプライズ、そして、やっと一緒に過ごせたバレンタイン・デーのアクシデントを通して、徐々に距離を縮めていきます。

主演コンビの原田知世三上博史は、当時は意外なキャスティングでしたが、映画の成功の立役者となりました。角川映画のヒロインを数々演じ、一躍人気者となった原田知世にとって、本作は角川映画以外の初主演作。角川映画では、ミステリアスな女子高生ばかりを演じたので、本作での普通のOL役はとても新鮮でしたが、控えめな優をキュートに演じています。まっ白なニット帽とスキーウエアにサングラスをアクセントにした優のスキールックは本当にかわいくて、女性の間で大流行したのもうなずけます。

そして、三上博史はまだ無名だったのですが、超絶なイケメンぶりに人気爆発! 瞬く間にトレンディ俳優となりました。(当時高校2年生だった私も大ファンになりました)

製作を手がけたのは、’80年代の若者カルチャーを牽引したクリエイター集団、ホイチョイ・プロダクションズ広告業界を舞台に、流行を生み出す“イケてる”ギョーカイ人たちの生態をパロディ化した4コマギャグ漫画『きまぐれコンセプト』(‘81年~『ビッグコミック・スピリッツ』で連載中)や、現代日本の消費文化史を国内外の歴史的事件になぞらえて解説したテレビバラエティ番組『カノッサの屈辱』(’90年~’91年)など、ホイチョイの独創的な作品は、笑いのツボと知的好奇心を大いに刺激し、本当に面白かったです。

2007年に製作されたコメディ映画『バブルへGo!タイムマシンはドラム式』以降、あまり目立った活躍のないホイチョイ・プロダクションズですが、便利なモノと同時に生き辛さも増えた令和の時代の停滞ムードを、元気な‘80年代を牽引したホイチョイ上質なユーモアで振り払ってくれたらいいのですが。。。

ここ数年、Z世代と呼ばれる若者たちの間では、‘80年代カルチャーがブームになっているそうです。ユーミンを代表とする当時“ニュー”ミュージックと呼ばれた音楽は、今はシティポップとなり、世界にまで注目されていますが、’80年代は“新しいもの”を生み出そうという意欲に満ちた時代だった気がします。誰もが 新しい世界に期待し、ワクワクできた時代。だからポジティブで楽しいのです!

とはいえ、この後、日本は浮かれまくった‘80年代の代償を払うことになるのですが(汗)、そろそろ’80年代の前向きな意欲を取り戻してもいいのではないでしょうか。〈時代は繰り返す〉といいますが、未来に希望を抱けた明るい時代が再び訪れることを願ってやみません。


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グリーンマイル(1999)

映像化して初めて伝わる物語の素晴らしさ
奇跡を信じる心をよみがえらせてくれる

本作を観て、人間の持つ残酷さに驚き、あきれ、おののき、胸が締めつけられました。と同時に、神が生み出す奇跡を信じる心を大切にしたいと痛切に感じました。

グリーンマイル』は、1996年に分冊形式で出版されたスティーブン・キングの全6巻に及ぶ長編小説。優れたストーリー・テラーをもってしても、膨大なセンテンスを要した原作は、シリアスな〈人間の真実〉を寓話的に描いた力作で、絶賛の声をもって迎えられました。

この物語には、癒しの力を持つ神の申し子が登場しますが、人間から動物まで、生きるものすべてを病気や死の苦しみから救える男の存在はまさにファンタジー、ミラクルの世界です。でも、その奇跡も残酷に見えてしまいます。

なぜなら奇跡が起こる舞台は、死の空気が重く張りつめた死刑囚官房、そして神の申し子は死刑囚なのだから。

人間の心の闇に潜む恐怖を書き続けるキングの最高傑作を、同じくキング原作の刑務所を舞台にしたヒューマンドラマ『ショーシャンクの空に』で鮮烈なデビューを飾ったフランク・ダラボン監督が1999年に映画化。最高の映像をもって具現化した、見応えある作品です。

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【ストーリー】
1935年、大恐慌最中のジョージア州、コールド・マウンテン刑務所に身長2メートルの黒人の大男が、傍らにいる心無い新入りの看守パーシー(ダグ・ハッチソン)の「デッドマン(死刑囚)・ウォーキング」という嘲りの言葉を浴びながら送還されてきました。
男の名はジョン・コーフィ(マイケル・クラーク・ダンカン)。幼い双子の姉妹を殺した罪でした。
しかし、奴隷として連れてこられた文字も書けない、物静かな男に「果たしてそんな無惨な殺人ができるのか?」と懐疑的な主任看守ポール(トム・ハンクス)の目の前で、やがてコーフィが奇跡を起こします。

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物語はポールが過去に起こった運命的な出来事を回想する形で進行します。

死をもって人を殺めた罪を償う死刑囚と、彼らにせめて「心安らかな死を」と願い、任務を全うする看守たちとの触れ合いを、何の変哲もないエピソードにユーモアを交えて描く序盤では、巧みなキャラクター造形に引き込まれます。

そして中盤、刑務所で悲惨な事件が起こります。ある死刑囚の死刑執行シーンで、人間が持つ残酷性が嵐のように吹き荒れた後、光り輝く奇跡が訪れる寓話的なエピソードから、人間の真実を浮き彫りにする怒濤のエンディングへの筋運びの上手さにうならされます。

さらにリアリティとファンタジーが交錯した映像は相当のインパクトを持ち、必ずや感動以上のものを与えてくれるでしょう。

ダラボン監督はかつてテレビ版『ヤング・インディの冒険』のシナリオを書いていたことから、ジョージ・ルーカス映像マジックを目の当たりにしており、ビジュアルイフェクツにも精通しています。コーフィが奇跡を生み出すシーンだけでなく、至るところにILMのビジュアルイフェクツが使われ、死という壮大なテーマを寓話的なストーリーに昇華させています。

撮影は『スター・ウォーズ エピソード1』のデヴィッド・タッターソル。プロダクション・デザインは2度のアカデミー賞に輝くテレンス・マーシュ。奇跡の申し子コーフィに扮したマイケル・クラーク・ダンカンは、ゴールデン・グローブ、アカデミー両賞で助演男優賞を受賞する熱演を見せています。

映像化して初めて伝わる素晴らしさもあることが再認識させられる作品です。


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ミス・ポター(2006)

絵本『ピーターラビット』から生まれた夢と愛の物語
原作者ポターの前向きな生き方に勇気をもらえる

無邪気な子うさぎのピーターや、太っちょの子ねこのトムなど、のどかな自然に暮らす動物たちの物語『ピーターラビット』。

この愛すべき絵本の原作者ビアトリクス・ポターはどんな人だったのでしょうか? ポターの夢と愛、そして『ピーターラビット』と共に歩んだポターの半生が描かれています。

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【ストーリー】
20世紀初頭のイギリス、上流階級の娘ビアトリクス・ポターレニー・ゼルウィガー)は、32歳で独身。結婚を急かす母を尻目に、部屋にこもっては大好きな動物たちの絵本を描き、出版することを夢見ていました。
1902年、ポターは出版社に絵本の企画を持ち込み採用されますが、経営者のウォーレン兄弟は初めて働く三男のノーマン(ユアン・マクレガー)が失敗しても構わないように、ポターの企画を選んだのでした。
ところが、希望に燃えるポターとノーマンが生み出した第1作『ピーターラビットのおはなし』は、瞬く間にベストセラーになります。そして、2人の間にも愛が生まれますが……。

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封建的な上流社会の常識に抗い、かけがえのない夢真実の愛を追い求めたポターの奮闘を描いた正統派のヒューマンドラマです。

旺盛な独立心とは裏腹に、恋には奥手のポターと紳士的なノーマンがゆっくりと愛を育む過程を描く前半には、とってもお茶目でロマンティックな演出があります。

ポターの描いたピーターや動物たちの絵が、紙から飛び出し、スクリーンを埋め尽くします。ポターの弾む気持ちを表現し、実写とアニメの合成で実現されたマジカルなシーンは可愛らしくて感動的です。

ほかにも忠実に再現された格調高い上流階級の生活や、絵本の舞台となった湖水地方の自然など、丁寧に捉えられた映像に魅了されます。

柔らかな雰囲気漂うレニー・ゼルウィガー優しさと強さを兼ね備えたポターを好演。悲恋を乗り越えて、湖水地方環境保全に尽力したポターという女性の素晴らしさを見事に伝えた作品になっています。


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ロッキー・ザ・ファイナル(2006)

夢への挑戦を続ける不屈のボクサー、
ロッキー最後の勇姿に共感

不屈のボクサー、ロッキーが奇跡の復活を遂げました! 失意のどん底にあえぐロッキーが再起をかけて、世界王者とのタイトルマッチに挑む姿が大きな感動を呼んだ第1作『ロッキー』から30年の節目となった2006年に、『ロッキー・ザ・ファイナル』は16年ぶりの新作として公開されました。

60歳になったシルベスター・スタローンが再びロッキー役に挑んだ本作もまた、第1作に負けない感動を与えてくれます。

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【ストーリー】
物語前半は、ボクサーを引退したロッキーのあまりにもわびしい姿が描かれます。イタリアンレストランの経営者としてスタートした第2の人生で待っていたのは、店の客を相手にリングでの歴戦を語り聞かせる日々。
さらに最愛の妻エイドリアンを亡くし、一人息子のロバートの反発にあうロッキーは、深い孤独感に打ちのめされます。そんな虚しく、寂しい現実から抜けだすために、ロッキーは再び夢に挑戦することを決意し、現役復帰をめざすのです。

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アカデミー賞作品賞に輝いた名作『ロッキー』で挫折を乗り越え、栄光をつかみとるロッキーの姿に、励まされ、勇気をもらった人は多いはず。監督・脚本も手掛けたスタローンが、本作で試みているは、再び勇気と励ましを与えること。夢も希望もない人生に悩んでいるなら、自分で行動を起こさなければならないと、ロッキーの身をもって伝えます。

ただし、現実は甘くはありません。50代になったロッキーが求めたのは、栄光や成功など大きな夢ではなく、自分らしく生きられる場所、小さなリングでした。ロッキーは勝敗を競わないエキシビジョン・マッチで復帰を果たします。

元世界ライトヘビー級王者だった俳優アントニオ・ターヴァーと戦うクライマックスのボクシングシーンの迫力は、シリーズ最高といっても過言ではありません。欲も邪念もなく、ただ自分を確認するために戦うロッキー、いやスタローンのひたむきな姿に心から感動します。

16年前、私は映画雑誌の編集者としてマスコミ向けの試写で、この作品を観ましたが、他の映画の試写会に比べて、圧倒的に中高年の男性が多く、『ロッキー』が多くの若者たちに与えた影響力の大きさを感じました。

そんな『ロッキー』をリアルタイムで映画館で観た世代もまた、ロッキーとともに歳を取り、ロッキーの境遇に思うところがあったのでしょう。クライマックスでは、鼻をすすり上げる音が響いていたのが印象的でした。

そして、私もまもなく、本作のロッキーの年齢になり、彼と同じ境遇になります(汗)。怖いし、不安ですが、期待と希望もあります。とにかくがんばっていくしかありません!

『ロッキー』シリーズの完結編。「失意のどん底から何度も立ち上がったロッキーは、もう決してリングには戻らない。最後の雄姿をしっかり目に焼き付けよう……」と公開時は思ったのですが、2015年に公開された『クリード チャンプを継ぐ男』でトレーナーとして復活しましたね。( ´艸`)

いくつになっても、元気で自由なスタローンはやっぱり偉大です!

良いも悪いもさまざまな経験を経て、いっそう頑固で寡黙になったロッキーですが、ボクサーを夢見る若者との熱い交流を描いた『クリード』シリーズもなかなか良いです。


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50歳の再就職(5) 奇跡のその後

人生は良いことと悪いことの繰り返し
だから、どん底に落ちても必ず抜け出せる!

人生、一寸先は闇。明日は何が起こるか、1年後に自分が一体何をしているのか、本当に想像ができません。この2年間の経験を通して、つくづく思います。

私は以前、ブログに書いた通り、昨年8月、50歳で転職を果たしました。でも、奇跡と思って入った会社はパワハラ社長のいる会社でした。入社早々、社長が営業部の方をまるでヤクザのような口調で叱りつけていて、「ヤバい会社かも」と思ったのですが、その後も横暴な言動が止まりませんでした。

社長を含め、従業員9人の小さな会社なのですが、内情をよく聞けば、私が昨年の8月に入る前までに3人辞めており、8月以降も3人退職(1年で6人退職)。もちろん、それ以前にも入っては辞める繰り返しだったそうです。そして、昨年12月には、私の上司がうつ病気味になり、退職しました。上司は入社10年目のベテランで、口だけで何もできない社長に代わり、会社の要となっており、辞めてしまうと困る方でした。だから、社長は上司の退職届けを破り捨てる!という暴挙を働き、なんとか引き留めようとしていましたが、心身ともに本当にキツかったようで、辞められてしまいました。

そして、今年に入り、私は転職活動を始めました。同僚たちはみんな良い人ばかりで、和気あいあいとし、仕事も面白かったのですが、その会社にいることに恐ろしさを覚えたからです。私は希望退職だったので、仕事を失う辛さを経験しました。でも、“辞めたくても辞められない”恐怖もある、と思いました。むしろ、その方が恐怖かもしれません。この先、他の社員も辞めてしまい、私がベテランになっていけば、おそらく私もうつ気味になってしまった上司と同様、心を病んでしまうに違いないでしょう。

ダメ元の転職活動でした。でも、なんと就活を始めて、2ヶ月程で1社から内定をもらい、5月に転職をしました! 50歳を過ぎて、2度目の転職成功です。これはまた、奇跡!と思いきや、現実は甘くないですね。今のところもいろいろあり、いつまでいられるか分かりません(この話はまた追って)。ちなみに前社は今年も6人退職しました(本当に辞めて良かった)

やはり人生は、良いことと悪いことの繰り返しなんですね。結婚しても離婚したり、起業しても失敗したり。たとえ夢がかなっても、真っ逆さまに転落することもある。そんなことを思ったのは、サッカーWカップの代表選手たちを見たからです。憧れの代表になっても、試合で結果を出せず、さらには心ない批判を浴びてしまった人もいる。決して良いことばかりではない……。

それでも、今の結果を受け止め、前を向いて、歩いていけば、きっとどん底から這い上がることができる。良いことも悪いこともあるのが人生。今は悪い時期なだけ。また良い時が来る。そう信じることがてきるのは、この2年間の、天国と地獄を繰り返した日々のおかげです。

図らずも、来年はまた転職活動になりそうです。2年前には想像していなかった3年連続の転職活動。でも、2年の間に2社に就職できるとも思いませんでした。本当に人生何が起こるか分かりません。でも、さしずめ今は地獄なので、きっと天国にいけるでしょう。来年の今頃は好きな仕事をして、心から笑っていたいです( ´艸`)。

タイタニック(1997)

ジェームズ・キャメロン監督がまじめに描いた
タイタニック号とともに沈んだ人々のドラマ

ターミネーター』のアクション監督ジェームズ・キャメロン史上最悪の沈没事故タイタニック号の悲劇を映画化した『タイタニック』は、1997年に公開され、世界的な大ヒットを記録、アカデミー賞最多の16部門でオスカーを獲得しました。

そして、主演のレオナルド・ディカプリオが大ブレイクを果たし、セリーヌ・ディオンの歌う主題歌『マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン』が世界中の人々の心を震わせ、当時の最先端の特殊視覚効果を駆使した映像もダイナミックで驚かされます。

また、主人公の恋人たちがタイタニック号の船首で両手を広げる名シーンも一大ブームを巻き起こしました。

本作が数々の記録と多くの人々の記憶に残り、映画史にその名を刻む作品であることに異論はないでしょう。

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【ストーリー】
1996年、トレジャー・ハンターの調査団がタイタニック号とともに沈んだとされる最高峰のダイアモンド「碧洋のハート」を探すためにタイタニック号を探索していました。すると彼らは「碧洋のハート」らしきダイヤを身に着けた女性の絵画を発見します。そのニュースを見た100歳の老女ローズは驚き、調査団の船を訪れ、豪華客船で起こった出来事を語り始めます。

1912年、上流階級の令嬢だったローズ(ケイト・ウィンスレット)は母や婚約者とともにタイタニックの処女航海の旅に出ます。一方、画家を目指す貧しい青年ジャック(レオナルド・ディカプリオ)は新天地ニューヨークでの成功を夢見て、賭けポーカーで得たチケットを手に出航間近のタイタニック号に駆け込みます。

ローズは家のために好きでもない男と結婚しなければなりませんでしたが、思いがけずジャックと恋に落ちます。2人が身分の違いを超えて、愛を確かめあうなか、タイタニックに悲劇が起こります。氷山に激突したタイタニックは浸水して徐々に傾き、船内は逃げ惑う人でパニックに陥ってしまいます。****************************

物語の軸になるのは、婚約者のいる資産家の娘ローズと、画家志望の若者ジャックとの身分違いの許されぬ恋の行方

観る前は悲劇的な史実をラブストーリーとして脚色することに違和感を覚えもしましたが、キャメロンが描きたかったのは、迫り来る死を前にした人々の姿でした。

主人公の2人を始め、沈没の責任と向き合うタイタニック号の設計者や、乗客が逃げ惑う甲板で最後まで安らかな協奏曲を奏でる楽団員、揺れるベッドの上で抱き合って死を待つ老夫婦など、混乱のタイタニック船上で繰り広げられる数々の人間ドラマに大いに泣かされました。

政略結婚を企む姑息な婚約者は名ヒールぶりを発揮、ドラマチックな展開に拍車をかけます。

今さら紹介するまでもないド級の人気作ですが、ハリウッドの贅を尽くした超エンタメ作に食傷気味だったり、“レオ様”と呼ばれてアイドル的人気を博したディカプリオに白けたり、なんて理由で観ていなかったら、もったいないです。

3時間以上の大作ですが、キャメロン監督の作術劇のうまさにはまり、一度見始めると最後まで見入ってしまいます。


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