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決算! 忠臣蔵(2019)

赤穂浪士たちは、討ち入りのお金に困っていた?!
人気時代劇「忠臣蔵」の舞台裏をユーモラスに描く

江戸時代、47人の赤穂浪士たちが無念の死を遂げた藩主・浅野内匠頭のために、命をかけて仇討ちを果たしました。このドラマティックな史実は、「忠臣蔵」と名付けられ、文学、歌舞伎、映画など、さまざまなメディアで語り継がれています。

討ち入りに至る侍たちの苦悩や苦難を描いた人間ドラマは、多くの日本人に感動を与えてきました。が、しかし! 現実的な問題として、討ち入りには多額のお金が必要でした!

本作は、そんな討ち入りの予算捻出にまつわる騒動を描いたコメディタッチの「忠臣蔵」です。大石内蔵助が遺した、いわゆる“収支決算報告書”を分析した、東大教授で江戸時代研究の第一人者・山本博文の著書『「忠臣蔵」の決算書』を基に、リアル過ぎる「忠臣蔵」の実情を描いた、痛快エンターテイメントです。

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【ストーリー】
気性は激しいものの、火消しの浅野として、江戸市民に人気の浅野内匠頭阿部サダヲ)が賄賂まみれの幕府の重臣吉良上野介に斬りかかり、即日切腹となってしまいます。
その後、赤穂藩は取り潰され、筆頭家老の大石内蔵助堤真一)は、浅野家復興を願い出て、残務整理に励んでいました。
内蔵助は再興費に頭を抱えますが、幼馴染の勘定方・矢頭長介(岡村隆史)の力を借りて、浅野の妻・遥泉院(石原さとみ)の持参金800両(9500万円)をかき集めます。

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現在の兵庫県にある赤穂藩から江戸への旅費や、討ち入りを希望して江戸に残る浪士たちの家賃、さらには討ち入り道具の費用など、なんだかんだで、どんどんお金が減っていく過程がユーモアたっぷりに描かれます。

内蔵助を始めとする忠義な侍たちは、実は、金に無頓着で、律儀な勘定方を困らせてばかり。まるで現代の企業のような、“営業”と “経理”との攻防が繰り広げられていた、というのは知られざる舞台裏でしょう。

終始、お金のことで揉めている赤穂藩士たちは、一見、頼りなげですが、人間味に溢れています。堤真一とともにW主演を務めたナインティナイン岡村隆史を始め、西川きよし木村祐一など、吉本興業所属の芸人たちが多数出演。リアルな関西弁を駆使して、“せこく”て“熱い”男たちに息を吹き込みました。

浜田岳や荒川良々など、俳優たちのコメディ演技も光り、終始、笑いの絶えない展開ですが、討ち入りまでの侍たちの葛藤もきちんと描かれています。

特に、討ち入りを決める理由のひとつと言える事件の顛末には驚きとともに、熱いものがこみ上げます

監督は、『アヒルと鴨のコインロッカー』『殿、利息でござる!』など、ユニークな作品で知られる中村義洋。本作のノベライズも手がけています。


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