映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

人生に迷えるアラフィフ女性が、映画を通して人生について考える。ネタバレなしの映画レビューサイト。

オズの魔法使

悩みを克服するキャラクターたちに感動
自分にとって本当に大切なものを見つける物語

1900年に出版された人気児童書を、1939年にハリウッドが実写映画化したミュージカル映画の名作。未来への希望を歌った名曲『オーバー・ザ・レインボー/虹の彼方に』は、本当に胸を打たれます。

これも35歳の失業中に観て、感動で涙が止まりませんでした(2回目以降はそうでもないのですが……)。おそらく知恵や心、勇気、そして安住の地が無いと嘆く、いたいけなキャラクターたちの奮闘が、悩んで弱った心に、深く、強く響いたのでしょう。

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【ストーリー】
カンザスの農場に住む少女ドロシーは、処分されそうになった愛犬トトを助けるために、家出をします。どこか遠くへ行きたいと願うドロシーでしたが、水晶玉を操る謎の教授に出会い、彼女の家族が心配していると知り、家へ戻ります。
しかし、激しい竜巻によって、家もろとも吹き飛ばされてしまったドロシーは、花が咲き乱れた、明るく美しい世界へたどり着きます。虹をわたったと感激するドロシーの前に、優しい北の魔女が現れます。そこは善良な魔法使い・マンチキンたちの住む魔法の国オズで、図らずも飛んできたドロシーの家の下敷きになり、悪い西の魔女が死んだことからドロシーは盛大な歓迎を受けます。ところが、死んだ魔女の妹が現れ、ドロシーを脅します。
カンザスへ帰りたいドロシーは、エメラルドの都にいるオズの魔法使いに会うよう勧められ、黄色いレンガの道をたどって歩き始めます。その道中で、「脳ミソが無い」と嘆くおしゃべりな藁の案山子、「心が無い」と嘆く、さび付いたブリキ男、「勇気が無い」と嘆く弱虫なライオンと出会います。そして、4人はそれぞれの望みを叶えるために、エメラルドの都へ向かいます。

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今から81年前、第2次世界大戦という暗黒時代の前に、こんな素敵な映画が製作されたということに不思議な感慨を覚えます。冒頭のカンザスのシーンはセピア色で、魔法の国オズのシーンからカラーになりますが、まだモノクロフィルムが一般的だった時代に、カラーフィルムで撮影された画期的な作品だったようです。カラフルで明るく、躍動感あふれる映像を観た、当時の人々の感動や興奮を想像すると、映画好きの私にはたまらないものがあります。

特殊メイクや着ぐるみで、案山子やブリキ男、ライオンを熱演するおじさん俳優たちを始め、現代から見れば、チープで子ども騙しのような演出も、当時でできる最良のパフォーマンスだったはず。私がクラシック映画に惹かれる理由は、どんな状況をも努力して乗り越えようとする、映画人の心意気と温かさが感じられるからです。
もちろん、努力して悩みを克服し、願いを叶えるキャラクターたちの姿をしっかり描いていることが本作の本当に良いところ。

今年、ドロシーを演じたジュディ・ガーランドの晩年を描いた『ジュディ』が公開されましたが、彼女は『オズ~』の撮影以来、人気スターで居続けるために、映画会社に自由を奪われ、薬漬けの生活を強いられたそうです。
レネー・ゼルウィガーがジュディを演じ、絶賛された『ジュディ』も素晴らしい映画なので、改めて紹介したいと思います。


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