映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

人生に迷えるアラフィフ女性が、映画を通して人生について考える。ネタバレなしの映画レビューサイト。

しあわせの隠れ場所

絶望から幸せを見つけた、NFLスターの実話を映画化
人に対する優しさや温かさが心に染みる傑作ヒューマンドラマ

現在、アメフト全米代表としても活躍するNFLの黒人スター選手マイケル・オアーは、家庭環境に恵まれず、10代の頃はホームレス同然の生活をしていたといいます。しかし、そんな彼を“家族”に迎えた白人一家がいました。

テューイ一家との出会いでオアーの絶望的な人生が一変した実話が感動的であることは想像に難くありませんが、本作の出来栄えはその予想を大きく上回るはず。笑いと涙溢れるヒューマンドラマの傑作です。

*****************************

【ストーリー】
物語は10代のマイケルが、彼の不幸な境遇を見かねた友人の父親の懇意で、私立高校に編入するところから始まります。カトリック精神の下、マイケルを受け入れたものの、先生たちはまったく勉強を理解できないマイケルをもてあまし、マイケル自身も学校に馴染めずにいました。マイケルの悲惨な状況はさらに続き、行方不明の父親の自殺が判明、友人宅でも邪魔者扱いされてしまいます。
リー・アン・テューイ(サンドラ・ブロック)は家族と車で帰宅途中、真冬の雨夜にTシャツ、短パン姿で歩くマイケルと出会います。行き場を失い、「体育館で寝る」と言うマイケルを見かねたリー・アンは家に泊めることにします。

*****************************

序盤から孤独と諦観をにじませるマイケルの姿に胸が痛みます。父親を知らず、母親は薬漬け、幼い頃から施設を転々とし、大勢いる兄弟とも生き別れに。貧困層に生まれたマイケルの生い立ちは本当に悲惨なものです。それでも慎ましさを失わないマイケルがまず素晴らしいです。そして、誰も気付かなかったマイケルの深い愛情に心を打たれ、「自分こそが彼に変えられた」と言い切り、彼の後見人となったリー・アン、彼女の決断を潔く受け入れたテューイ家の家族もまた素晴らしい!

監督・脚本は『オールド・ルーキー』のジョン・リー・ハンコック。ユーモアを交えた巧みな人物造形で、観る者の感情移入を誘います。魅力的な家族に扮した俳優たちの好演も光ります。特に、髪をブロンドに染めたサンドラ・ブロックは、良心のままに突き進む聡明で快活なリー・アンに成り切り、2010年、第82回アカデミー賞主演女優賞を受賞しました。

マイケルのサクセスストーリーは“家族”の応援によって生み出されました。人に対する優しさや温かさが素直に心に染み、「自分ならどうするか」と考えずにはいられないでしょう。


しあわせの隠れ場所【Blu-ray】 [ サンドラ・ブロック ]


Amazonプライム・ビデオ