映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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スチュアート・リトル(1999)

’90年代後半のハリウッド映画を盛り上げた“しゃべる動物たち”
健気で愛くるしい子ネズミのスチュアートの奮闘に感動!

1995年に製作された『ベイブ』はCGでリアルな動物の口の動きを作り出し、画期的なテクノロジーと称賛されました。そんな“しゃべる動物”を主人公にした実写映画が、デジタルによる特殊効果技術が飛躍的に発展した1990年代後半、数多く製作されました。

『ベイブ』から4年、しゃべる動物が当たり前になり、動物を主人公にした実写映画が過渡期にある中で発表された本作は、新たな金字塔を打ち立てた作品と言っても過言ではないでしょう。

「目は口ほどにものを言う」とはこの物語の主人公、スチュアートのためにある言葉。たった“1人”ではなく“1匹”で、大きな、大きな人間世界に飛び込んだ子ネズミのつぶらな瞳に輝く希望の光が胸を貫きます

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【ストーリー】
ニューヨーク郊外に住むリトル家は、優しいパパ(ヒュー・ローリー)とママ(ジーナ・デイビス)、幼いひとり息子のジョージ(ジョナサン・リップ二ッキー)の3人家族。リトル夫妻は弟を欲しがるジョージのために孤児院から養子をもらうことにします。
2人は早速速孤児院へ向いますが、大勢の元気に遊ぶ、かわいい子どもたちを前にして、とてもその中から1人を選ぶことなどできずにため息をついていました。
すると下の方から声がします。「あの子は明るいよ。その子はスポーツが得意だよ」と、懇切丁寧に子どもたちの長所を説明しているのはスチュアート(声/マイケル・J・フォックス)。自分も孤児で家族に憧れているはずなのに他の子は薦めるのは彼がネズミだから。そんなスチュアートの健気さと聡明さに惹かれたリトル夫妻は、孤児院の職員がとめるのも聞かずにスチュアートを養子にします。
しかし、かわいい〈人間〉の弟を待ち望んでいたジョージは落胆し、スチュアートを相手にしません。さらにリトル家の飼い猫スノーベルが、ネズミのペットになるのは御免とばかりに野良猫のボス、モンティに協力を要請し、スチュアート追い出し作戦を企てるなど、やっと憧れの家族を持つことができたスチュアートの前途は多難に満ちていました。

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小さなネズミのスチュアートの出来がすべての鍵を握る作品ですが、スチュアートの表情の豊かさに驚かされます。

家族ができた喜び、ジョンに弟と認めてもらえない悲しみ、ネズミであることへの誇り、意地悪なスノーベルに対しても向ける親愛の情など、さまざまな感情を胸に秘めながら、人間さえも生きにくい現代の人間社会をたくましくくぐり抜けるスチュアートの姿に拍手を送りたい! この映画を観た人なら誰もが、この世にスチュアートが存在しないことを心から残念に思うでしょう。

人間の養子になったネズミのスチュアートが、家族として迎え入れられるための試練を持ち前の聡明さと勇気で乗り越え、最後に家族愛をつかみ取る姿をさわやかに描いたファミリー映画の傑作です。

原作は1945年に発表されて以来、世界中で愛され続けているE.B.ワイトの児童書。ソニー・イメージワークスが視覚効果とデジタルキャタラクターを製作し、ブーン・ナー率いるアニマルズ・フォー・ハリウッド社が動物の調教を担当。

スチュアートをオールデジタルで製作するという画期的なテクノロジーを成功させ、さらにCG動物に観客の共感を誘うために、視覚効果シニア・スーパーバイザーのジョン・ダイクストラ、アニメーション・スーパーバイザーのヘンリー・アンダーソン、特殊視覚効果スーパーバーザーのジェローム・チェンら、視覚効果の権威者たちが集結しています。

製作当時、パーキンソン病の闘病中だったマイケル・J・フォックスが心優しいスチュアートの声を演じていることにも心を動かされます。

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