ライオン 25年目のただいま
日本にいてはわからない世界の現実に驚愕
グーグルアースが生みだした奇跡の実話
25年もの間、迷子だった男性が、グーグルアースで故郷を見つけ、家族に再会します。
2012年、今や日常生活に不可欠となった便利なツール、グーグルアースが起こした奇跡として、大きな話題を呼んだ実話ですが、この感動の実話が生まれるまでの過程に心底驚かされます。
そして、数奇な人生をたどったインド人男性サルーの幸せを願わずにはいられません。
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【ストーリー】
1986年、インドのとある町で、母と4人の兄妹と暮らしていた5歳のサルーは、列車で夜の仕事へ向かう兄に着いていきます。ところが、兄のいない間に乗り込んだ回送列車が走り出してしまいます。
数晩走り続けた列車から降りた駅は、インドならではの混雑ぶりで、幼いサルーを気に留める人もいません。サルーは自分の住所はおろか、母の名前、自分の苗字さえもわからず、家に帰る術がまったくありませんでした。
ホームレスの子どもに混ざったり、子どもの売買をする大人たちに狙われたり、インドの過酷な現実が5歳の子どもに容赦なく襲いかかります。警察に保護され、送られた施設で、オーストラリアに住む夫婦から「サルーを養子にしたい」という申し出があります。
オーストラリアへ渡ったサルーは、理解ある養父母に愛情いっぱいに育てられ、大学にも通い、何不自由ない生活を送っていました。ところが、インドでの出来事を話した友人から、「グーグルアースで故郷を探せるかもしれない」と提案されます。そして、サルーの人生をたどる、“仮想”の旅が始まります。
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グーグルアースが人助けをした、ということでドラマチックに思えますが、サルーの25年間を思うと、丁寧に触れなくてはいけないデリケートな問題が数多く含まれ、映画化するのは難しい題材だと思います。
5歳の子どもがオーストラリアへ行かざるを得なかったインドの現実、インドの孤児を育てる養父母の存在など、遠く離れた世界の現実に驚くと同時に胸のつぶれる思いがすします。グーグルアースでの捜索は、サルーに新たな苦悩や葛藤を生みだしますが、それらを乗り越えた先にある再会シーンは、涙なしには見られなません!
『英国王のスピーチ』の製作陣による、堅実な作りに好感が持てます。サルーを支える養父母の心情、そして、タイトルの『ライオン』という意味など、さりげなく明かされる真実の数々にも心を打たれます。