ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
魔法使いの孤児ハリーの出生の秘密に迫る
大人も楽しめるダークファンタジー
2004年に公開された『ハリー・ポッター』シリーズ3作目。不気味な魔法使いたちが暗躍し、ハラハラドキドキ。真っ暗なお化け屋敷をずんずん進んでいくようなスリルを感じ、個人的にはシリーズで一番好きな作品です。
ハリー・ポッターは赤ん坊のときに両親を殺された魔法使いの孤児。陰険なおじ夫婦のダーズリー家でずっと虐げられてきましたが、13歳になったハリーはもう我慢しません。
亡き両親を侮辱したマージ叔母さんを風船のように膨らませ、空のかなたに飛ばしてしまうという暴挙に出たのもその意思表示。両親への思いは募るばかりなのに、なす術がなく苛立つハリーの鬱屈した心を表わすように、第3作は暗く重々しい雰囲気に包まれます。
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【ストーリー】
アズカバン監獄から囚人シリウス・ブラックが脱走。噂によると彼はハリーの両親を死に追いやった張本人で、今度はハリーを殺そうとしているそうです。ホグワーツには生徒たちの安全のために、アズカバンの看守“吸血鬼ディメンター”が駐在することになります。
しかし、ディメンターは相手の辛い記憶を探り出し、その辛さを糧にするという恐ろしい集団。なぜかハリーに対してその黒い魔力を使おうとします。
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運命を予言する占い学や闇の魔術に対する防衛術など、魔法の授業は死と隣り合わせになり、嵐の中のクイディッチも危険に満ちています。ホグワーツも楽しいばかりではなくなりましたが、これでようやくシリアスなハリーの出生の秘密に迫る準備が整いました。
シリーズ初登板となる『天国の口、終わりの楽園。』のアルフォンソ・キュアロン監督は、遊び心を配しながらも、やるときはバッチリ決めてきます!
軽快なジャズに合わせ踊るように疾走する〈夜の騎士のバス〉、エマ・トンプソン演じるビン底メガネのダサい女教師トレローニー、足跡がペタペタと浮かび上がる〈忍びの地図〉など、陰鬱な雰囲気の中にほどよい軽妙さを加えました。
暴れ柳の迫力のあるアクションシーンを経て、いよいよ極悪犯シリウスが登場する後半ではシリウス役のゲイリー・オールドマンや、謎の新任教師ルービン先生のデイビッド・シューリス、怪しげなスネイプ先生のアラン・リックマンら、3人の演技派男優たちの助けを借りながら見事に恐怖を演出。
3人の子役たちは思春期特有の成長を巧みに表現することで、何かと話題にのぼる年齢の問題を解決しています。