映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

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ブロードウェイブロードウェイ コーラスラインにかける夢(2008)

30年の時を超えて明かされるミュージカル『コーラスライン』の真実
ひたむきに夢の舞台に挑戦するダンサーたちに心から感動!

2006年、16年ぶりに再演された伝説的ミュージカル『コーラスライン』の8か月にわたるオーディションの様子を捉えたドキュメンタリー映画

1975年の初演以来15年にわたるロングラン公演、トニー賞9部門獲得など、ミュージカル史に輝く記録を残した『コーラスライン』は、ブロードウェイのオーディションに集まった若者の姿を描いた青春群像劇。純粋な夢のため、どん底からの復活のため、自分自身の尊厳のためなど、それぞれの理由からオーディションに臨む若者たちが苦悩や葛藤、ライバルとの熾烈な争いを乗り越えて、見事ステージへの切符をつかみとります。

ミュージカルのオーディションをミュージカルで描く生々しい物語には、ミュージカルへの強い思いが宿り、多くの人々を魅了しました。そんな『コーラスライン』のオーディションに密着したライブ版『コーラスライン』といえる本作からもミュージカルへの強い思いがずしりと伝わってきます。

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【ストーリー】
オーディションには、わずか19人の出演枠に全世界から3000人の受験者が集まったといいます。本作では、実際のオーディションの光景と、受験者や審査員たちのインタビューなどから、受験者たちが絞られていく過程が描き出されています。

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受験者といえども、多くはすでにミュージカルや舞台、映画などで活躍しているプロのダンサー。彼らの本格的なダンスや歌にはミュージカルの醍醐味が堪能できます。

同じ役の受験者のオーディションを対比させて見せる構成が巧み。ダンスや歌など、人それぞれの違いが分かって興味深いですが、自分の個性を信じて踊る受験者たちの姿に周囲に流されず生きることの大切さを痛感させられます。

審査にあたるボブ・エイヴィアン(初演版の共同振付)やバイヨーク・リー(初演版のコニー役)を始め、初演版でキャリーを演じた天才ダンサー、ドナ・マケクニーや作曲家マーヴィン・ハムリッシュなど、懐かしい面々が登場し、初演版の製作秘話を語るのも見どころ。

今は亡き『コーラスライン』の生みの親、マイケル・ベネットが残した録音テープが初公開されるなど、スターの後ろで踊る、いわば端役のコーラスラインをめざすダンサーたちの物語に秘められた真実のドラマに深く心を打たれます。

現実には受験者たちも苦悩や葛藤を背負い、それでも夢や希望を求めて、オーディションに参加しています。19人の魅力的な『コーラスライン』の役柄同様、本作の中心となる受験者たちもみな魅力的。彼らが緊張や重圧の中、力の限り踊る最終オーディションの迫力に圧倒されます。

そして、終幕、過酷な試練を乗り越えて、光輝くステージ衣装に身を包み、コーラスラインを踊る合格者たちの生き生きとした姿に涙が止まらなくなります。

単にミュージカル製作の舞台裏ではなく、人間ドラマの秀作。世界的不況となり、人々の心が沈む今の時代、ぜひ多くの人に見て欲しいです。あきらめない力の素晴らしさに心から感動します!

ブロードウェイで活躍する日本人ダンサー・高良結香がオーディションに参加し、奮闘しています。


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