映画の中の人生 ~50歳からの人生設計~

人生に迷えるアラフィフ女性が、映画を通して人生について考える。ネタバレなしの映画レビューサイト。

第9地区(2009)

ナンセンス度も衝撃度も超一級
独創的な世界観が必見のエイリアン映画

監督も主演俳優も無名の低予算SFアクション映画が、米アカデミー賞作品賞ノミネートを始め、多くの批評家や観客から大絶賛を受けたのはひとえにずば抜けた斬新さのためです。

エイリアンを難民として受け入れた南アフリカ共和国ヨハネスブルグ第9地区を舞台に予測不能な物語が幕を開けます。

********

【ストーリー】
ヨハネスブルク上空で巨大UFOが故障、内部にいたエイリアンたちは南ア政府が処遇を決めるまで難民キャンプ「第9地区」に住むことになります。
それから28年、不潔なエイリアンたちのせいでスラムと化した第9地区では、市民とエイリアンの対立が激化、エイリアンの管理事業を委託された民間企業MNU社はエイリアンたちを郊外の第10地区へ強制移動させる計画を立てます。

********

計画の現場責任者、MNU社の社員ヴィカス(シャルト・コプリー)の身に起こった衝撃的な出来事が描かれます。

ヴィカスの同僚や家族、一般市民の証言を集めたドキュメンタリータッチの導入部で、ヴィカスの身に何かが起こったことが分かります。当のヴィカスが責任者に抜擢されたことを得意げに語る映像もありますが、実は立ち退きを迫る嫌な役割を押し付けられただけでした。

そんなお人よしのヴィカスが第9地区に乗り込み、エイリアンの家を回り、あの手この手で立ち退きのサインをさせようとする場面はナンセンス度全開で笑いが止まりません

しかし、キャットフードが大好物という情けなくも滑稽なエイリアンの退去作業は笑ってばかりもいられない事態に。誤ってエイリアンのウイルスに感染したヴィカスがエイリアン化し始めたのです。

アパルトヘイトを想起させる舞台設定、エイリアン化したヴィカスが政府に追われる理由など、強欲で無慈悲な人間たちを皮肉る社会風刺が効いています。加速度的に盛り上がるアクションシーンも度肝を抜かれます。

巧妙なストーリーとアクションシーンによって描かれるのはエイリアンになった男の悲劇。果たして哀れなヴィカスが人間に戻れるのか、最後までハラハラドキドキしてしまいます!

南ア出身の人気映像作家ニール・ブロムカンプの監督デビュー作。製作は『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソン監督。ファンタジーの奇才ジャクソン監督が光を当てた独創的な世界観は必見の価値ありです。

第9地区 (字幕版)

第9地区 (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
第9地区 [Blu-ray]

第9地区 [Blu-ray]

  • 発売日: 2011/04/21
  • メディア: Blu-ray


Amazonプライム・ビデオ